47 / 74
第5章 黒い目玉
08 風の覚醒
しおりを挟む
コンコン。
ベルクリットと入れ替わるようにミュゼリアがイリスたち四人の見習い魔法師を連れて戻ってきた。
「イリスさんたちをお連れいたしました」
「ありがとミュゼちゃん。さあみんな、入ってちょうだい」
ミュゼリアがドアを大きく開くと四人の少女たちが入ってきた。
「失礼しましゅ!」
「失礼します」
「失礼するのじゃ」
「失礼いたします」
イリス、もーざ、フランサ、メリアが順番に入ってきて壁際に一列に並び右拳を左胸に充てて敬礼をした。
「わざわざ呼び出してごめんね。それとさっきコースケ隊長から話を聞いたわよ。いろいろと情報ありがとう」
シャリーナは椅子から立つと四人にねぎらいの言葉をかける。
「それでイリス」
「ふぁい!」
ビクッとなって返事をするイリス。
「あんたの瞳のことで来てもらったの。今からそれについて話するから真剣に聞くように」
「あ、はい。わかりまちた!」
と顔をこわばらせた。
「それから他の三人もよく聞いててね」
「はい!」
三人は同時に返事をした。
「ただし、このことは他の人にしゃべったらダメ。本来は風属性を持つ者にだけ教えることなの。だから決して他言無用。いいわね」
シャリーナはいつもと違い真剣な目を四人の見習い魔法師に向けている。
「は、はい!」
四人は左胸に右拳を当てもう一度返事をした。
「そうなんですか、ラナーシア副隊長もいないのはそれでですか。じゃ俺も…」
功助が退室を申し出ようとするとその腕をガシッとつかむシャリーナ。
「ラナーシアはあたしの親友だから知ってるわよ。他の人ならともかく、ダーリンだけはいてていいからね。あたしの特別な人なんだから、うふっ」
そういうとつかんでいた腕にムギュッと抱き着いた。その爆乳に挟まれた功助の腕。四人の娘たちはなんとも言えない苦笑を浮かべていた。ただしイリスはうらやましそうに腕を挟んでいるその爆乳を見ていた。
「そ、それでは私は失礼いたします」
ペコリと頭を下げて退室しようとしているミュゼリア。
「あっ、いいのいいの。ミュゼちゃんもいてていいのよ。でも絶対に他言無用よ、、ベルクリット隊長にも内緒だからね」
とニコリとほほ笑む。
「えっ、はい。よろしいのですか私などがご一緒してても」
「いいわよ。あっそうそう、ねえミュゼちゃん。この部屋に防音の魔法かけてくれない?」
「へ?あ、はい。わかりました」
ミュゼリアは両手を広げると一瞬のうちにこの控室の中に結界を張った。
「……」
口をパクパクさせて何かを言っているシャリーナだが何も聞こえない。四人の見習いもキョロキョロしているが何が起こっているのかわからない様子。
「………」
功助はミュゼリアに向かって何かをしゃべりかけているがこちらも何を言っているのかわからない。
「あ、ああっ!すみません!」
ミュゼリアがあわてて両手を振り張った結界を消すとシャリーナと功助の声が聞こえてきた。
「ちょっとミュゼちゃんそれ違う!」
苦笑するシャリーナ。
「ミュゼ、何したんだ?」
頭に疑問符を浮かべる功助。
「も、申し訳ございません!」
とペコペコと頭を下げるミュゼリア。
「すみません!防音と消音の結界を間違えました。すみませんシャリーナ隊長、コースケ様!それにイリスさんたちもすみません」
とまた頭をペコペコさせて恥ずかしそうに顔を真っ赤にするミュゼリア。
「あははは。いいのいいの。ちょっと驚いちゃったけど気にしないでねミュゼちゃん」
と笑うシャリーナ。
「そうだったのか。急に何も聞こえなくなったからびっくりしたよ」
「申し訳ございませんでしたコースケ様」
と今度はすまなさそうなミュゼリア。
「ははは。いいって、そんなに気にしない気にしない。なあみんな」
功助は四人の見習いたちに顔を向けた。
「へ?は、はい。気にしないでくだしゃいミュゼリアさん!」
とイリスが代表して返事をした。
「はいはい。それじゃ改めて防音の結界張ってくれるかしらミュゼちゃん」
「あっ、はい!」
ミュゼリアはそう言い手を大きく広げると今度こそ防音の結界を張った。
「うん。さすがはミュゼちゃん。完璧な防音結界ね」
シャリーナはぐるっと見渡すとミュゼリアに向けて親指を立てた。
「さてと、お待たせ。話するわね。そんなに硬くならず楽にして。でも、ちょっとその前にみんなに質問させてちょうだい」
と言うと四人の見習いを見渡した。
「最初に、ねえメリア」
「はい!」
自分が呼ばれるとは思っていなかったメリアがそれでもあわてずに返事をした。
「あなたのその目、いつからブラウンの瞳なのか覚えてる?」
「はい。わたくしのこの瞳の色は生まれた時からだそうです」
そう言うとシャリーナは大きく頷く。
「それじゃフランサは?」
「はい。我も生まれつきと両親から気化されておりますです」
「そう。それじゃもーざは?」
「はい。私も生まれつき緑の目と髪です」
「そう。ありがと」
三人の返事を聞き頷くシャリーナ。
「さてとイリス」
「はいっ!」
「あなた今までは何色の瞳だったかしら?」
「はいっ、私の目の色は青紫でしたっ!髪の毛はちょっとくすんだ銀色ですっ!」
と元気よく返事をした。
「そう。みんなとは違って、髪と同じ銀色じゃなく青紫色だったのね」
「はいっ、そうですっ!」
またも元気に返事をする。
「えっとね、火、土、水の属性を持っている者は生まれつき瞳の色にその影響が出て来るの。でも風属性を持つ者は生まれた時は別の色なのが普通なのね。でもちゃんと髪は銀色系統の色になるのよ。イリスはくすんだ銀色、そしてあたしは白に近い銀色なの。知り合いには赤っぽい色や青っぽい色の銀髪もいたわね」
シャリーナは話をしながら自分の白銀の髪をその細い指先でくるくる巻いていじっている。
「瞳の色のことに話を戻すけど、あたしの瞳の色はもともと緑色だったのよ。それで、なぜ瞳の色が変わったかってことなんだけど」
そう言うと四人の見習いを一人一人見た。
「恐怖よ」
イリスを見てニヤリとするシャリーナ。ビクッと少し首を竦めるイリス。
「それはどういうことなんですシャリーナさん」
功助が少し緊張感のある雰囲気の中尋ねた。
「イリス、あなたあの黒い一つ目を見て怖かったでしょ?」
「は、はい。とても怖かったです」
とイリス。すると横にいるモーザがそれに続いた。
「イリスはとても怖がっていました。しゃがみ込みガタガタと震えていました。最後にはこの小さな身体からよくこんな声がというほどの絶叫をあげていました」
モーザはイリスを横目で見ながらシャリーナに話をした。
「そう。かなり怖かったようね。実はその恐怖が風属性を覚醒させるスイッチになってたのよ。風属性を持ってうまれてきた者は今のあなたたちの歳くらいに恐怖や強い興奮状態になると真の風属性が覚醒するの。ちなみにあたしが覚醒したきっかけはやはり恐怖だったわ。14歳の時にあたしの出身の村近くの森に薬草を採りにいった時にゴブリンに遭遇したの。それもなんと十匹のゴブリンに襲われかけたのよ。そこで真の風属性に覚醒してさ、それで襲ってきたゴブリンをズッタズタにしてやったわ。ほんっとスーッとしたのを覚えてるわ」
うふふと薄ら笑いをするシャリーナ。イリス以外の三人の見習いはすこしひいていた。ちなみに功助とミュゼリアもひいていた。
「イリス」
「はいシャリーナ隊長!」
「わかってくれたかしら?」
「はいっ!ゴブリンはズッタズタにすればいいんですねっ!」
ガクッ!
その場にいた全員がずっこけた。
「ちょっとイリス!あんたボケ過ぎ!ちゃんと話聞いてたのあんた?」
「へ?う、うん、聞いてたけど…。なんかおかしい?」
「ふう。ほんっとイリスねあんた」
「へ?」
頭の上に疑問符をたくさん浮かべるイリスだった。
「ふふ。まあいいわ。これが風属性の真の覚醒についてよ。このことはあまり他言しないようにね。で、何か質問あるかしら?」
と四人を見渡す。
「ないようね。質問が無いなら今日はもうあがってちょうだい。ダーリン」
「は、はい」
急に声をかけられた功助。
「悪いんだけどこの娘たちと外に出て訓練中の見習いたちに今日はあがってって言ってきてくれるかしら」
「あ、はい。了解しました。それじゃみんなお疲れ。さあ、外行こうか」
「はい」
四人の見習いは最後に敬礼をして功助とミュゼリアとともに控室から外に出た。
「お疲れ様ですコースケ様」
対策会議を終えて部屋に戻ってきたのは23時を少し回ったころだった。
「ふう」
といいながら会議の緊張で凝り固まった首をぐるぐる回す功助。
「お茶でもどうぞ」
「ありがと」
ミュゼリアが出したお茶をふうふうと言いながら一口飲む。
「はあ。一息ついたぁ」
「ふふふ。かなりお疲れですね」
「ああ、うん」
「それで、何か決まりましたか?」
「うん。まあたいしたことは決まってないんだけどね」
と功助。
決まったことといえば引き続き魔具が場内に入り込んでいないかを巡回し気を付けること、そしてこのことが魔王ゼドンの仕業として白竜城の警備の強化と食料や武器の整備と備蓄。そのほか諸々である。
「そうですか。まあ、今はそれくらいかもしれませんね」
「うん。まあ、気を付けるって言ってもどう気を付けるのかって思ったんだけど俺の場合は魔力砲のことをなるべく口に出さないようにするくらいかな」
「うふふ。そうですね。でもあれを知られたとしても対抗策なんてないんじゃないでしょうか」
となぜか胸を張るミュゼリア。
「あはは」
苦笑する功助。
「さてと。コースケ様そろそろお休みになってください。もうこんな時間です」
ミュゼリアが壁の時計を見ると23時半を過ぎていた。
「うん、そうだな。そろそろ休むとするか。明日はまた魔法師隊の訓練があるしな」
それではおやすみなさいとミュゼリアは退室し功助も寝室に向かった。
ベルクリットと入れ替わるようにミュゼリアがイリスたち四人の見習い魔法師を連れて戻ってきた。
「イリスさんたちをお連れいたしました」
「ありがとミュゼちゃん。さあみんな、入ってちょうだい」
ミュゼリアがドアを大きく開くと四人の少女たちが入ってきた。
「失礼しましゅ!」
「失礼します」
「失礼するのじゃ」
「失礼いたします」
イリス、もーざ、フランサ、メリアが順番に入ってきて壁際に一列に並び右拳を左胸に充てて敬礼をした。
「わざわざ呼び出してごめんね。それとさっきコースケ隊長から話を聞いたわよ。いろいろと情報ありがとう」
シャリーナは椅子から立つと四人にねぎらいの言葉をかける。
「それでイリス」
「ふぁい!」
ビクッとなって返事をするイリス。
「あんたの瞳のことで来てもらったの。今からそれについて話するから真剣に聞くように」
「あ、はい。わかりまちた!」
と顔をこわばらせた。
「それから他の三人もよく聞いててね」
「はい!」
三人は同時に返事をした。
「ただし、このことは他の人にしゃべったらダメ。本来は風属性を持つ者にだけ教えることなの。だから決して他言無用。いいわね」
シャリーナはいつもと違い真剣な目を四人の見習い魔法師に向けている。
「は、はい!」
四人は左胸に右拳を当てもう一度返事をした。
「そうなんですか、ラナーシア副隊長もいないのはそれでですか。じゃ俺も…」
功助が退室を申し出ようとするとその腕をガシッとつかむシャリーナ。
「ラナーシアはあたしの親友だから知ってるわよ。他の人ならともかく、ダーリンだけはいてていいからね。あたしの特別な人なんだから、うふっ」
そういうとつかんでいた腕にムギュッと抱き着いた。その爆乳に挟まれた功助の腕。四人の娘たちはなんとも言えない苦笑を浮かべていた。ただしイリスはうらやましそうに腕を挟んでいるその爆乳を見ていた。
「そ、それでは私は失礼いたします」
ペコリと頭を下げて退室しようとしているミュゼリア。
「あっ、いいのいいの。ミュゼちゃんもいてていいのよ。でも絶対に他言無用よ、、ベルクリット隊長にも内緒だからね」
とニコリとほほ笑む。
「えっ、はい。よろしいのですか私などがご一緒してても」
「いいわよ。あっそうそう、ねえミュゼちゃん。この部屋に防音の魔法かけてくれない?」
「へ?あ、はい。わかりました」
ミュゼリアは両手を広げると一瞬のうちにこの控室の中に結界を張った。
「……」
口をパクパクさせて何かを言っているシャリーナだが何も聞こえない。四人の見習いもキョロキョロしているが何が起こっているのかわからない様子。
「………」
功助はミュゼリアに向かって何かをしゃべりかけているがこちらも何を言っているのかわからない。
「あ、ああっ!すみません!」
ミュゼリアがあわてて両手を振り張った結界を消すとシャリーナと功助の声が聞こえてきた。
「ちょっとミュゼちゃんそれ違う!」
苦笑するシャリーナ。
「ミュゼ、何したんだ?」
頭に疑問符を浮かべる功助。
「も、申し訳ございません!」
とペコペコと頭を下げるミュゼリア。
「すみません!防音と消音の結界を間違えました。すみませんシャリーナ隊長、コースケ様!それにイリスさんたちもすみません」
とまた頭をペコペコさせて恥ずかしそうに顔を真っ赤にするミュゼリア。
「あははは。いいのいいの。ちょっと驚いちゃったけど気にしないでねミュゼちゃん」
と笑うシャリーナ。
「そうだったのか。急に何も聞こえなくなったからびっくりしたよ」
「申し訳ございませんでしたコースケ様」
と今度はすまなさそうなミュゼリア。
「ははは。いいって、そんなに気にしない気にしない。なあみんな」
功助は四人の見習いたちに顔を向けた。
「へ?は、はい。気にしないでくだしゃいミュゼリアさん!」
とイリスが代表して返事をした。
「はいはい。それじゃ改めて防音の結界張ってくれるかしらミュゼちゃん」
「あっ、はい!」
ミュゼリアはそう言い手を大きく広げると今度こそ防音の結界を張った。
「うん。さすがはミュゼちゃん。完璧な防音結界ね」
シャリーナはぐるっと見渡すとミュゼリアに向けて親指を立てた。
「さてと、お待たせ。話するわね。そんなに硬くならず楽にして。でも、ちょっとその前にみんなに質問させてちょうだい」
と言うと四人の見習いを見渡した。
「最初に、ねえメリア」
「はい!」
自分が呼ばれるとは思っていなかったメリアがそれでもあわてずに返事をした。
「あなたのその目、いつからブラウンの瞳なのか覚えてる?」
「はい。わたくしのこの瞳の色は生まれた時からだそうです」
そう言うとシャリーナは大きく頷く。
「それじゃフランサは?」
「はい。我も生まれつきと両親から気化されておりますです」
「そう。それじゃもーざは?」
「はい。私も生まれつき緑の目と髪です」
「そう。ありがと」
三人の返事を聞き頷くシャリーナ。
「さてとイリス」
「はいっ!」
「あなた今までは何色の瞳だったかしら?」
「はいっ、私の目の色は青紫でしたっ!髪の毛はちょっとくすんだ銀色ですっ!」
と元気よく返事をした。
「そう。みんなとは違って、髪と同じ銀色じゃなく青紫色だったのね」
「はいっ、そうですっ!」
またも元気に返事をする。
「えっとね、火、土、水の属性を持っている者は生まれつき瞳の色にその影響が出て来るの。でも風属性を持つ者は生まれた時は別の色なのが普通なのね。でもちゃんと髪は銀色系統の色になるのよ。イリスはくすんだ銀色、そしてあたしは白に近い銀色なの。知り合いには赤っぽい色や青っぽい色の銀髪もいたわね」
シャリーナは話をしながら自分の白銀の髪をその細い指先でくるくる巻いていじっている。
「瞳の色のことに話を戻すけど、あたしの瞳の色はもともと緑色だったのよ。それで、なぜ瞳の色が変わったかってことなんだけど」
そう言うと四人の見習いを一人一人見た。
「恐怖よ」
イリスを見てニヤリとするシャリーナ。ビクッと少し首を竦めるイリス。
「それはどういうことなんですシャリーナさん」
功助が少し緊張感のある雰囲気の中尋ねた。
「イリス、あなたあの黒い一つ目を見て怖かったでしょ?」
「は、はい。とても怖かったです」
とイリス。すると横にいるモーザがそれに続いた。
「イリスはとても怖がっていました。しゃがみ込みガタガタと震えていました。最後にはこの小さな身体からよくこんな声がというほどの絶叫をあげていました」
モーザはイリスを横目で見ながらシャリーナに話をした。
「そう。かなり怖かったようね。実はその恐怖が風属性を覚醒させるスイッチになってたのよ。風属性を持ってうまれてきた者は今のあなたたちの歳くらいに恐怖や強い興奮状態になると真の風属性が覚醒するの。ちなみにあたしが覚醒したきっかけはやはり恐怖だったわ。14歳の時にあたしの出身の村近くの森に薬草を採りにいった時にゴブリンに遭遇したの。それもなんと十匹のゴブリンに襲われかけたのよ。そこで真の風属性に覚醒してさ、それで襲ってきたゴブリンをズッタズタにしてやったわ。ほんっとスーッとしたのを覚えてるわ」
うふふと薄ら笑いをするシャリーナ。イリス以外の三人の見習いはすこしひいていた。ちなみに功助とミュゼリアもひいていた。
「イリス」
「はいシャリーナ隊長!」
「わかってくれたかしら?」
「はいっ!ゴブリンはズッタズタにすればいいんですねっ!」
ガクッ!
その場にいた全員がずっこけた。
「ちょっとイリス!あんたボケ過ぎ!ちゃんと話聞いてたのあんた?」
「へ?う、うん、聞いてたけど…。なんかおかしい?」
「ふう。ほんっとイリスねあんた」
「へ?」
頭の上に疑問符をたくさん浮かべるイリスだった。
「ふふ。まあいいわ。これが風属性の真の覚醒についてよ。このことはあまり他言しないようにね。で、何か質問あるかしら?」
と四人を見渡す。
「ないようね。質問が無いなら今日はもうあがってちょうだい。ダーリン」
「は、はい」
急に声をかけられた功助。
「悪いんだけどこの娘たちと外に出て訓練中の見習いたちに今日はあがってって言ってきてくれるかしら」
「あ、はい。了解しました。それじゃみんなお疲れ。さあ、外行こうか」
「はい」
四人の見習いは最後に敬礼をして功助とミュゼリアとともに控室から外に出た。
「お疲れ様ですコースケ様」
対策会議を終えて部屋に戻ってきたのは23時を少し回ったころだった。
「ふう」
といいながら会議の緊張で凝り固まった首をぐるぐる回す功助。
「お茶でもどうぞ」
「ありがと」
ミュゼリアが出したお茶をふうふうと言いながら一口飲む。
「はあ。一息ついたぁ」
「ふふふ。かなりお疲れですね」
「ああ、うん」
「それで、何か決まりましたか?」
「うん。まあたいしたことは決まってないんだけどね」
と功助。
決まったことといえば引き続き魔具が場内に入り込んでいないかを巡回し気を付けること、そしてこのことが魔王ゼドンの仕業として白竜城の警備の強化と食料や武器の整備と備蓄。そのほか諸々である。
「そうですか。まあ、今はそれくらいかもしれませんね」
「うん。まあ、気を付けるって言ってもどう気を付けるのかって思ったんだけど俺の場合は魔力砲のことをなるべく口に出さないようにするくらいかな」
「うふふ。そうですね。でもあれを知られたとしても対抗策なんてないんじゃないでしょうか」
となぜか胸を張るミュゼリア。
「あはは」
苦笑する功助。
「さてと。コースケ様そろそろお休みになってください。もうこんな時間です」
ミュゼリアが壁の時計を見ると23時半を過ぎていた。
「うん、そうだな。そろそろ休むとするか。明日はまた魔法師隊の訓練があるしな」
それではおやすみなさいとミュゼリアは退室し功助も寝室に向かった。
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説
完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。
音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。
だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。
そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。
そこには匿われていた美少年が棲んでいて……
女神のチョンボで異世界に召喚されてしまった。どうしてくれるんだよ?
よっしぃ
ファンタジー
僕の名前は 口田 士門くちた しもん。31歳独身。
転勤の為、新たな赴任地へ車で荷物を積んで移動中、妙な光を通過したと思ったら、気絶してた。目が覚めると何かを刎ねたのかフロントガラスは割れ、血だらけに。
吐き気がして外に出て、嘔吐してると化け物に襲われる…が、武器で殴られたにもかかわらず、服が傷ついたけど、ダメージがない。怖くて化け物を突き飛ばすと何故かスプラッターに。
そして何か画面が出てくるけど、読めない。
さらに現地の人が現れるけど、言葉が理解できない。
何なんだ、ここは?そしてどうなってるんだ?
私は女神。
星系を管理しているんだけど、ちょっとしたミスで地球という星に居る勇者候補を召喚しようとしてミスっちゃって。
1人召喚するはずが、周りの建物ごと沢山の人を召喚しちゃってて。
さらに追い打ちをかけるように、取り消そうとしたら、召喚した場所が経験値100倍になっちゃってて、現地の魔物が召喚した人を殺しちゃって、あっという間に高レベルに。
これがさらに上司にばれちゃって大騒ぎに・・・・
これは女神のついうっかりから始まった、異世界召喚に巻き込まれた口田を中心とする物語。
旧題 女神のチョンボで大変な事に
誤字脱字等を修正、一部内容の変更及び加筆を行っています。また一度完結しましたが、完結前のはしょり過ぎた部分を新たに加え、執筆中です!
前回の作品は一度消しましたが、読みたいという要望が多いので、おさらいも含め、再び投稿します。
前回530話あたりまでで完結させていますが、8月6日現在約570話になってます。毎日1話執筆予定で、当面続きます。
アルファポリスで公開しなかった部分までは一気に公開していく予定です。
新たな部分は時間の都合で8月末あたりから公開できそうです。
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
異世界転移したら女神の化身にされてしまったので、世界を回って伝説を残します
高崎三吉
ファンタジー
その乙女の名はアルタシャ。
『癒し女神の化身』と称えられる彼女は絶世の美貌の持ち主であると共に、その称号にふさわしい人間を超越した絶大な癒しの力と、大いなる慈愛の心を有していた。
いかなる時も彼女は困っている者を見逃すことはなく、自らの危険も顧みずその偉大な力を振るって躊躇なく人助けを行い、訪れた地に伝説を残していく。
彼女はある時は強大なアンデッドを退けて王国の危機を救い
ある国では反逆者から皇帝を助け
他のところでは人々から追われる罪なき者を守り
別の土地では滅亡に瀕する少数民族に安住の地を与えた
相手の出自や地位には一切こだわらず、報酬も望まず、ただひたすら困っている人々を助けて回る彼女は、大陸中にその名を轟かせ、上は王や皇帝どころか神々までが敬意を払い、下は貧しき庶民の崇敬の的となる偉大な女英雄となっていく。
だが人々は知らなかった。
その偉大な女英雄は元はと言えば、別の世界からやってきた男子高校生だったのだ。
そして元の世界のゲームで回復・支援魔法使いばかりをやってきた事から、なぜか魔法が使えた少年は、その身を女に変えられてしまい、その結果として世界を逃亡して回っているお人好しに過ぎないのだった。
これは魔法や神々の満ち溢れた世界の中で、超絶魔力を有する美少女となって駆け巡り、ある時には命がけで人々を助け、またある時は神や皇帝からプロポーズされて逃げ回る元少年の物語である。
なお主人公は男にモテモテですが応じる気は全くありません。
異世界召喚された俺は余分な子でした
KeyBow
ファンタジー
異世界召喚を行うも本来の人数よりも1人多かった。召喚時にエラーが発生し余分な1人とは召喚に巻き込まれたおっさんだ。そして何故か若返った!また、理由が分からぬまま冤罪で捕らえられ、余分な異分子として処刑の為に危険な場所への放逐を実行される。果たしてその流刑された所から生きて出られるか?己の身に起こったエラーに苦しむ事になる。
サブタイトル
〜異世界召喚されたおっさんにはエラーがあり処刑の為放逐された!しかし真の勇者だった〜
退屈な人生を歩んでいたおっさんが異世界に飛ばされるも無自覚チートで無双しながらネットショッピングしたり奴隷を買ったりする話
菊池 快晴
ファンタジー
無難に生きて、真面目に勉強して、最悪なブラック企業に就職した男、君内志賀(45歳)。
そんな人生を歩んできたおっさんだったが、異世界に転生してチートを授かる。
超成熟、四大魔法、召喚術、剣術、魔力、どれをとっても異世界最高峰。
極めつけは異世界にいながら元の世界の『ネットショッピング』まで。
生真面目で不器用、そんなおっさんが、奴隷幼女を即購入!?
これは、無自覚チートで無双する真面目なおっさんが、元の世界のネットショッピングを楽しみつつ、奴隷少女と異世界をマイペースに旅するほんわか物語です。
錬金術師カレンはもう妥協しません
山梨ネコ
ファンタジー
「おまえとの婚約は破棄させてもらう」
前は病弱だったものの今は現在エリート街道を驀進中の婚約者に捨てられた、Fランク錬金術師のカレン。
病弱な頃、支えてあげたのは誰だと思っているのか。
自棄酒に溺れたカレンは、弾みでとんでもない条件を付けてとある依頼を受けてしまう。
それは『血筋の祝福』という、受け継いだ膨大な魔力によって苦しむ呪いにかかった甥っ子を救ってほしいという貴族からの依頼だった。
依頼内容はともかくとして問題は、報酬は思いのままというその依頼に、達成報酬としてカレンが依頼人との結婚を望んでしまったことだった。
王都で今一番結婚したい男、ユリウス・エーレルト。
前世も今世も妥協して付き合ったはずの男に振られたカレンは、もう妥協はするまいと、美しく強く家柄がいいという、三国一の男を所望してしまったのだった。
ともかくは依頼達成のため、錬金術師としてカレンはポーションを作り出す。
仕事を通じて様々な人々と関わりながら、カレンの心境に変化が訪れていく。
錬金術師カレンの新しい人生が幕を開ける。
※小説家になろうにも投稿中。
【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる