白猫3兄弟

猫幸世

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白猫3兄弟

最終話

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犬のボスの命を奪いジュンイチの仇をうった一潤は魔法の杖を持ったままその場から消えシズルとユウジは立ち尽くした。

「一潤を1人にして良いのか」

「今は1人のほうが良いだろ」

口にしながらシズルが立っている静流に目を向けるとユウジも目を向け口を開いた。 

「アイツがまだいたな」

「最強の力を手に入れたら一潤に復讐してやる」

険しい顔でシズルとユウジを見つめると静流はその場から消えていった。 

「おい、待て」

「追うな」

追いかけようとするユウジを止めるとシズルが口を開いた。

「ユウジ、森林の家に帰るぞ」

「静流を無視して良いのか」

「帰るぞ」

シズルがその場から消えるとぶつぶつ言いながらユウジもその場から消え森林の家に向かった。 

その頃、一潤は自宅の部屋のベッドでジュンイチの死を悲しんでいた。 

「…ジュンイチ…」

泣き疲れた一潤はうつ伏せで左右の目を閉じ眠りについた。

それから時間が過ぎ夜7時になった。 

暗い部屋に明かりがつくとシズルが現れた。 

その後、シズルはベッドに近づきうつ伏せで眠っている一潤に声をかけた。 

「一潤…」

「……」

「一潤…一潤…」

「……」

声に築き目を覚ますと一潤は身体を起こし振り向きシズルに目を向けた。 

「シズル、どうしてここに」

「一潤のことが気になって様子を見に来た」

「ユウジは?」

「森林の家にいる」

「俺は大丈夫だから森林の家に帰りなさい」

「……」

ベッドからおりる一潤の手首を掴み顔を見つめながらシズルが口を開いた。

「目を赤くして大丈夫じゃないだろ」

「…シズル」

「ほっとけないんだ」

「……」

「ジュンイチが亡くなったからじゃない」

「……」

「一潤のことが好きだから悲しんでる一潤の顔は見たくない」

「シズル…俺は…」

「わかってる…それでも俺は…」

「シズル」

シズルの手を離れさせると真剣な顔で一潤はジュンイチへの思いを口にした。 

「俺はジュンイチを愛してる」

「……」

「シズルの思い嬉しかった嬉しかったけど俺はジュンイチ以外の人と恋はしない」

「……」

「ゴメンなさい」

「…わかりました…」

「シズル」

背を向けるシズルに一潤が声をかけると背を向けたままシズルが口を開いた。 

「ユウジが心配するといけないから帰ります」

「シズル…」

背を向けたまま部屋を出ていくシズルの姿を一潤がじっと見つめると部屋のドアが閉まった。 

そして1人シズルが夜道を歩いていると謎の女性が現れた。 

「シズルさんですよね」

「……」

見たことない女性にシズルが警戒していると女性が歩み寄ってきた。 

「怪しい者じゃないから警戒しないで」

「離れろ」

シズルが突き放すと女性の態度が変わった。 

「私の魅力に落ちないなんて、静流が言ってた通りね」

「静流だと、お前アイツの仲間か」

「私は静流の女、静香」

「静流はどこにいる」

「しらな~い」

「……」

姿を消した静香にシズルが驚いていると背後から静香に抱きしめられ囁かれた。 

「ボスの命を奪った一潤に復讐するって言ってたんだけど変わったみたいよ」

「……」

「何だと思う?」

「…まさか…」

「一潤の身体を奪い続けることそれが静流の目的」

「……」

助けにいかないとそう思ったシズルは静香を退かそうともがき始めた。

「助けにいかせないわよ」

シズルの身体を抱きしめながら力を込めシズルを眠らせると静香は手を離しシズルは地面にうつ伏せで倒れた。

その頃、一潤は部屋のベッドで静流に押し倒され左右の手首を掴まれていた。 

「手を離しなさい」

「ボスの命を奪ったときなぜ俺の命も奪わなかった」

「……」

「俺もお前と同じ人間で猫目石を持っているから命を奪わなかったのか」

「悪さをすれば命を奪います」

「悪さってどういう悪さ?」

「手を離しなさい」

「嫌だ」

掴んでいる一潤の左右の手首に力を込め固定すると手を離し静流はベッドからおりた。

もがきながら一潤が「外しなさい」と口にすると全裸になりながら静流が口を開いた。 

「最初は復讐を誓ったのに今はあんたの身体が欲しい」

口にしながら振り向くと静流は左右の手を一潤に向け白いロングコートを引き裂いた。 

そして静流は一潤に近づき覆い被さり唇を重ねた。 

「ん…」

一潤がエロい声を出すと静流は唇を離しエロい顔で見つめる一潤の顔を見つめながら口を開いた。 

「ねぇ一潤、猫目石を持つ者同士一緒に暮らさないか」

「お断りします」

「ジュンイチはいないんだよ」

「あなたと一緒に暮らすぐらいなら死を選びます」

「……」

一潤の言葉に笑みを浮かべその後、真剣な顔になると無言で静流は一潤の足を広げさせ大事な部分をお尻の穴に入れ腰を揺らし愛撫した。 

「やめて…ああ…」

抵抗できない一潤は静流に何度も愛撫され続けその後、気を失った。 

「……」

満足げな顔で静流が一潤から離れベッドからおりるとシズルを連れて静香が現れた。 

「静香!」

「どういうことか説明してくれるかしら」

シズルを床に寝かせると静香は静流の服を掴み近づき静流に服を投げつけた。 

「何で全裸なのよ」

「何、怒ってんだ」

「怒るわよ、だって私は」

「静流の女」

「そうでしょ?」 

「めんどくさい女だ」

「何ですって」

「静香、お前はもういらない消えろ」

右手に力を込めながら静香に右手を向けると一瞬で命を奪い消し去った。 

ー天界ー 

「犬のボスよりやっかい者が現れたな」

全てを見ていた神が口にするともう1人の神が現れ口を開いた。 

「幸雄(ゆきお)の出番だな」

「幸雄の力がないと猫目石の欠片を持った静流には勝てないよな」

「妹の幸紀(ゆき)と幸せに暮らしている幸雄の邪魔をしたくないのはわかるわかるが」

「幸紀ちゃんに文句を言われるな」

「その時は俺も一緒だ」

「……」

友の言葉に嬉しそうに微笑むと神は真剣な顔になり友に背を向け左右の手に力を込めながら左右の目を閉じ気を送り始めた。 

その頃、幸雄と幸紀は喫茶店で楽しくお喋りをしながらコーヒーを飲んでいた。 

「何だ」

「どうしたのお兄ちゃん」

椅子から立ち上がりドアの方に歩いていく幸雄についていくと突然、ドアから光が現れ幸雄と幸紀はその光に飲み込まれた。 

その後、幸雄と幸紀は記憶を取り戻したまま神の前に姿を現した。 

「幸紀ちゃんと幸せに暮らしていたのに呼び出してすまない」

左右の目を開き神が振り返ると幸雄が口を開いた。 

「何かあったから俺を呼んだんだろ」

「……」

神が真剣な顔で頷くと幸雄は友の神に幸紀を託し神の側に近づいた。 

「何があったんだ」

「口で言うより見て貰った方がいいだろ」

「……」

神の力で映像が現れ幸雄は今の出来事の映像を見て驚いた。

「猫目石を持つ一潤っていう男も凄い力だけど猫目石の欠片を持つ静流っていう男の方が凄い力だ」

「お前もそう思うか」

「神、指輪を」

「……」

水晶で作った指輪を無言で神が差し出すと幸雄は指輪を受け取り左手の中指にはめると力を込めた。 

その後、幸雄は白いロングコートに白いロングマントを羽織った姿に変身し次に魔法の杖を出現させ掴んだ。 

「神、幸紀のこと頼む」

「わかった」

「……」

「幸雄、気をつけろ」

「わかってる」

返事をし魔法の杖に力を込めると幸雄はその場から消え一潤の家に向かった。 

ー一潤の部屋ー 

静香の命を奪いうつ伏せで倒れているシズルの命も静流が手で奪おうとしたその時、幸雄が魔法の杖を静流に突きつけ止めた。 

険しい顔をしながら静流が見つめると幸雄が口を開いた。 

「今の君じゃ暴走した猫目石の欠片を静めるのは無理だな」

「誰だお前」

「幸雄、正義の戦士だ」

「正義の戦士だと」

「君はボスと違って人間だ、暴走した猫目石の欠片から君を助けられるのなら助けたい」

「……」

幸雄の言葉に一瞬、目に涙を浮かべた静流は猫目石の欠片によってその場から消えていった。 

「逃げたか」

「あんた誰だ、静流の仲間か」

立ちながらシズルが声をかけると魔法の杖を消し背を向けながら幸雄が口を開いた。 

「話しはあとだ」

ベッドに近づき一潤の左右の手首を自由にすると引き裂かれた白いロングコートを魔法で元に戻した。 

「この家を出るぞ」

一潤をお姫様抱っこし振り返るとシズルが口を開いた。 

「どこに行くんだよ」

「俺の家に行く」

「あんたの家に行くなら森林の家に行った方がいい」

「森林の家は静流に知られてる」

「知られていても森林の家にはユウジがいる」

「あとから俺が連れてくるから肩に掴まれ」 

「断る」

「好きにしろ」

会話を終えると幸雄は一潤をお姫様抱っこしたままその場から消え自宅に向かった。 

シズルもその場から消え森林の家に向かった。 

ー幸雄の家ー 

一潤をお姫様抱っこしたまま部屋の中に姿を現すと幸雄はベッドに近づき一潤を仰向けで寝かせた。 

その後、幸雄はベッドから少し離れ背を向けながら魔法の杖を出現させると魔法の杖に向かって口を開いた。 

「神、俺だ」

「どうした」

「一潤は助けたがシズルは森林の家に向かった」

「一緒じゃないのか」

「一緒に行くぞって言ったんだが」

「幸雄」

「何だよ」

「静流の命を奪うか助けるかはお前に任せる」

「見てたのかよ」

「解決するまで連絡してくるな、わかったな」

「わかったよ」

幸雄が通信を切ると身体を起こしながら一潤が口を開いた。 

「あなたが俺を助けてくれたんですか?」

「そうだ」

魔法の杖を消し振り返ると幸雄はベッドに近づいた。

「どうして俺を助けてくれたんですか」

「神に頼まれたから助けに来たんだ」

「神?」

「詳しい話しはあとでする、シズルとユウジを連れてくるからここから出るなよ」

「わかりました」

一潤が返事をすると幸雄はベッドから離れ魔法の杖を出現させるとその場から消え森林の入り口の前に姿を現した。 

「この中に家があるのか」

魔法の杖を持ったまま森林の中に入ると長い森林を歩き始めた。 

2時間後、家の姿が見え幸雄は駆け寄りドアを開き中に入った。

「あんたは!」

「一潤が待ってる行くぞ」

「俺は行かない」

「シズル」

「お前は?」

「俺は…」

ユウジが戸惑っていると静流の気を感じとり幸雄は険しい顔になり魔法の杖を床に突きつけ結界を強くした。 

「どうしたんだ?」

ユウジが問いかけると2人に背を向けながら幸雄が口を開いた。 

「静流がこの家に迫ってる」

「何だと」

「俺が強い結界を張ってるから静流は築かず離れる、それまで静かにしていろ」

「静流は俺が倒す」

「俺も行く」

「お前ら待て」

ドアを開き出ていくシズルとユウジに声をかけ魔法の杖から手を離すと幸雄も家を出ていった。 

シズルとユウジが静流と向き合っていると幸雄が声をかけた。 

「シズル、ユウジ、家の中に入れ」

「うるさい、静流は俺が倒す」

「お前らを倒して一潤を手に入れる」

「シズル」

「あなたは一潤を頼みます」

「お前らじゃ静流には勝てない、やめろ」

幸雄が止めるもシズルとユウジは静流に向かっていき戦いを始めた。 

「バカなヤツらだ」

手に力を込め魔法の杖を出現させるとその杖を掴みシズルとユウジと一緒に静流と戦い始めた。 

ー幸雄の部屋ー

幸雄に言われた通りベッドに座りながら帰りを待っていると一潤はシズルとユウジと幸雄と静流の気を感じた。 

「シズルとユウジと俺を助けてくれた男性と静流が森林で戦ってる…助けに行かないと」

ベッドから立ち上がり手に力を込めると魔法の杖を出現させ掴むとその場から消え森林に向かった。 

その後、一潤は森林の家の前に姿を現し戦っているシズルとユウジと幸雄と静流の姿を見つめた。 

「シズル!ユウジ!」

「一潤!」

静流から目を離しシズルとユウジは静流の攻撃を受け倒れた。 

「シズル!ユウジ!」

静流の攻撃から守ろうと一潤と幸雄はシズルとユウジの前に立ち魔法の杖で静流の攻撃を防ぐと一潤と幸雄は力を合わせ魔法の杖の力で静流を攻撃し気絶させた。 

その後、一潤と幸雄はシズルとユウジを連れてその場から消えると幸雄の家の部屋に姿を現した。 

「ここから出るなよと言ったのになぜ来た」

一潤に向かって幸雄が口にすると一潤が口を開いた。 

「シズルとユウジとあなたと静流の戦っている気を感じたから…助けたくて…ゴメンなさい」

「怒ってるわけじゃないんだ、君に何かあったら」

一潤と目が合うと幸雄は頬を赤らめ顔をそらしたその様子をシズルとユウジは見つめ幸雄に向かって口を開いた。 

「話がある」

「……」

「すぐ戻るから」

先にシズルが幸雄を連れて部屋を出るとユウジも部屋を出ていった。 

その後、シズルは部屋から少し離れた場所で幸雄に向かって口を開いた。 

「もしかしてお前」

「ちょっといいか」

「何だ」

「俺の名前はお前じゃない幸雄だ」

「ゴメン、幸雄」

「何だ」

「一潤のこと好きか?」

「いきなり何だよ」

「いいから答えろ」

「綺麗だけど一潤は男性だろ俺は男性を好きにならない」

「それ本音か」

「本音に決まってるだろ」

「一潤のこと」

部屋に戻ろうとする幸雄に声をかけ幸雄の動きを止めるとシズルは振り返り再び口を開いた。 

「一潤のこと好きなら俺達の代わりに一潤の側にいて欲しい」

「何で俺なんだ」

「幸雄なら一潤の傷ついた心を癒してくれるんじゃないかと思って」

「俺はジュンイチの代わりか」 

「そういう意味で言ったんじゃ」

シズルが口にしたその時、部屋から一潤が出てきた。 

「まだ話しは終わらないのか」

「話しは終わった、ユウジ」

「……」

シズルとユウジが玄関に向かうと一潤が口を開いた。 

「どこに行くんだ」

「見回り、一潤は幸雄と作戦を練っててくれ」

「何かあったら知らせろよ」

「わかった」

背を向けたままシズルとユウジがドアを開き出ていくと幸雄は嫌な予感を感じ玄関のドアに駆け寄り外に出るとシズルとユウジの姿はなかった。 

「アイツ…」

「どうしたんですか?」

一潤が近づくと幸雄は振り返り口を開いた。 

「シズルとユウジは死ぬ気だ」

「え…」

「……」

「シズルとユウジが死ぬ気ってどういうことですか?」

「……」

無言で幸雄は一潤に近づき家の中に入りドアを閉めると口を開いた。 

「シズルとユウジは俺に一潤を任せて静流が待つ森林に向かったんだ」

「2人じゃ無理だ、俺達も行きましょう」

「……」

「どうしたんですか?」

手首を掴む幸雄に一潤が問いかけると幸雄が口を開いた。 

「ジュンイチが死んで悲しいのはわかる」

「……」

「ジュンイチのために新しい恋をしないか」

「今はそんな気持ちになれません」

「そうだよね」

「シズルとユウジを助けに行きましょう」

「……」

幸雄が手を離すと魔法の杖を持って一潤が口を開いた。 

「行きましょう」

「行く前に俺の気持ちを話しとく」

「……」

「俺は一潤のこと好きです」

「……」

「それと俺は静流を助けたい」

「……」

幸雄の言葉に驚いた顔で一潤が見つめると幸雄が口を開いた。 

「俺が助けたいと言ったら静流は涙を流したんだ」

「静流が涙を」

「静流の身体の中から猫目石の欠片を抜き取りその欠片を壊せば静流は普通の人間に戻る」

「記憶は?」

「無い、だから安心だ」

「本当は俺も命は奪いたくなかった」

「シズルとユウジと静流を助けに行こう」

「はい」

差し出された幸雄の手を一潤が握ると幸雄は魔法の杖でその場から消え森林に向かった。 

ー森林の中ー 

手を握りながら姿を現した一潤と幸雄は倒れているシズルとユウジに驚いた。 

「遅かったか」

「シズル…ユウジ…」

幸雄の手を握りながら一潤が涙を流すと幸雄が口を開いた。 

「猫目石を持つ者と水晶を持つ者が力を合わせれば静流を助けられる」

「……」

手を握りながら一潤と幸雄が見つめ合うと宙に浮いたまま2人の前に猫目石でできた弓矢と水晶でできた弓矢が現れた。 

互いの手を離すと一潤は猫目石の弓矢を掴み幸雄は水晶の弓矢を掴んだ。

その姿を静流は険しい顔で見つめ魔法の杖を構えながら口を開いた。 

「2人とも来い」

「……」

「……」

静流の言葉を合図に一潤と幸雄は猫目石の弓矢と水晶の弓矢を構えながら向かっていき戦いが始まった。 

「俺のものになっていればいい暮らしができたのに」

「最初はあなたを助けようと思ったが今はあなたを許さない」

会話をしながら一潤が激しい戦いをしていると静流から攻撃を受け倒れる一潤に幸雄は「一潤!」と言って一潤に近づき静流から一潤を守り静流を離れさせた。 

「大丈夫か?」

「大丈夫です」

一潤が立ち上がると幸雄が口を開いた。 

「静流も傷をおってる次で決着をつけるぞ」

「はい」

一潤と幸雄が猫目石の弓矢と水晶の弓矢を構えると静流は魔法の杖に力を込め最後の光線を放った。 

その瞬間、一潤と幸雄も猫目石と水晶の矢を放ちその後、2本の矢と光線はぶつかった。 

「こんなんで俺は倒せない」

魔法の杖で光線に力を与え強くすると光線は2本の矢を吹き飛ばしその後、光線は一潤と幸雄を攻撃し一潤と幸雄は倒れた。 

その後、静流は魔法の杖を持ったまま幸雄に近づき魔法の杖を突きつけた。 

「お前の命を奪えば一潤は俺のものになる…死ねー」

魔法の杖を幸雄の背中に突き刺そうとしたその時、幸雄の動きが止まり手から魔法の杖が離れ幸雄の側からも離れると静流は振り返り立っている一潤に目を向けた。 

「一潤…」

「静流、もう終わりだ」

「何だと」

「背中に突き刺さっている猫目石の矢は猫目石の欠片に突き刺さっている」

「何だと…うあああー」

叫びながら静流の姿が消えると猫目石の矢が突き刺さっている猫目石の欠片が現れた。 

無言で一潤は矢を掴み力を込めると矢ごと猫目石の欠片が消えていった。 

その後、一潤は倒れているシズルとユウジに近づき死を悲しんだ。 

「白猫3兄弟を守れなかった…ゴメンなさい」

涙を流しながら一潤が口にしたその時、幸雄に抱きしめられた。 

「……」

「ジュンイチ、シズル、ユウジの命は失われた」

「……」

「3兄弟は君に感謝してると思うよ」

「感謝?」

「3兄弟の思いを一潤はやり遂げた…だから3兄弟は感謝している」

「……」

「一潤」

涙が止まらない一潤を振り向かせ手で涙を拭うと幸雄は一潤に顔を近づけ唇を重ねた。 

その姿を天界で神と一緒に見ていたジュンイチが神に向かって口を開いた。 

「神様にお願いがある」

「何だ」

「幸雄さんなら一潤を幸せにできる」

「それでお願いって何だ」 

「一潤の記憶から白猫3兄弟の記憶を消して欲しいんだ」

「記憶を消さなくていいんじゃないか」

「俺の死を乗り越えて幸雄さんのキスを受け入れたんだ、そのまま幸雄さんと幸せになって欲しい」

真剣な顔でジュンイチが見つめると神が口を開いた。 

「わかった、お前の願い叶えてやる」

「ありがとう」

「……」

左右の目を閉じながら左右の手に力を込めると一潤と幸雄の動きを止めた。 

その後、神は一潤の記憶から白猫3兄弟の記憶を消しそのまま神は白猫3兄弟の姿を人間から白猫に戻した。 

「神様、これは」

「今から白猫3兄弟を猫の国に送る」

「猫の国はボスに滅ぼされて無いんだ」

「猫の国は俺が復活させた」

「……」

「他の猫達と両親も復活している」

「本当ですか?」

「本当だ」

「……」

嬉しさでジュンイチの目から涙が流れると神が口を開いた。 

「猫の国に帰りなさい」

左右の目を開き左右の手に力を込めると白猫3兄弟を猫の国に送り一潤と幸雄の動きを動かした。 

「神様」

幸紀が近づくと神は振り返り口を開いた。 

「幸紀、自宅に帰りなさい」

幸紀を自宅に送ると神は交信を繋いだ。 

「幸雄、聞こえるか」

「神、聞こえる」

森林で一潤の前で幸雄が返事をすると神が口を開いた。 

「今、幸紀を自宅に送った」

「そうか」

「それと一潤の記憶から白猫3兄弟の記憶を消した」

「どうして記憶を消したんだ」

「ジュンイチの願いだから」

「ジュンイチの願い?」

「お前達のキスを見てジュンイチはお前に一潤を任せることにしたんだ」

「見てたのか…」

「交信を切る前にもう1つ話がある…人間だった白猫3兄弟を白猫に戻し復活させた猫の国に送った」

「喜んだろ」

「幸雄、白猫3兄弟は復活した他の猫達、両親と幸せに暮らしていくだから幸雄は一潤と幸せに暮らしなさい」

「……」

「返事は」

「はい」

幸雄の返事後、交信は途切れた。 

「誰と話してたんですか?」

一潤が問いかけると幸雄は一潤を抱きしめその後、一潤と幸雄は一潤の自宅に向かい愛を育んだ。 
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