白猫3兄弟

猫幸世

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白猫3兄弟

第2話

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一潤の犬と猫の耳と尻尾の姿を見て犬のボスが「猫目石の力か」と口にすると一潤がユウジに向かって口を開いた。 

「猫族を全滅させたボスとなぜ一緒にいるのですか」

「無駄だ」

「……」

一潤がユウジから目線を犬のボスに向けると犬のボスが口を開いた。  

「ユウジに一潤の声は届かない」

「ボスの声しか届かない」

「その通り」

「猫族を全滅させて気分は良いですか?」 

「白猫3兄弟の命が消えれば俺の気分は最高に良いだろう」

「そうですか…」

魔法の杖を掴んだまま地面に突き刺すと魔法の杖に力を込めた。 

「何をしようとしてるのかわからないが止めさせてもらう」

一潤に近づき魔法の杖に触れようとした瞬間、結界に弾かれた。 

「結界か」

「悪い犬族は消滅しなさい」

魔法の杖を地面から抜き天に翳すと光の光線を何本も放ち犬族の家来達を全滅させた。 

その後、一潤は魔法の杖をおろし犬のボスに魔法の杖を向け口を開いた。 

「家来達を全滅させた」

「何だと」

「ボス、家来達の元にいきなさい」

魔法の杖を左右に振り光の光線を放つと犬のボスは険しい顔をしながら一潤を見つめその後、光線を受けると犬のボスはその場から消えた。 

「消えた…いや誰かがボスを助けた…」

「ボス!」

「ユウジ」

「よくもボスを」

ユウジが殴りかかると一潤は魔法の杖でユウジの腹を殴り気絶させた。 

その後、一潤は魔法の杖を消しユウジをお姫様抱っこするとその場から消え家に向かった。 

ー一潤の家ー 

部屋でジュンイチとシズルが猫目石の力を最強に高めているとユウジをお姫様抱っこしたまま一潤が現れた。 

「一潤!」

「ユウジ!」 

ジュンイチとシズルが見つめると一潤はユウジをお姫様抱っこしたままベッドに近づき仰向けで寝かせた。 

その後、一潤は振り返りジュンイチとシズルに向かって「2人に話があります」と言って部屋を出ていくとジュンイチとシズルも部屋を出ていった。 

ーリビングー 

「話って何だ」

「犬族の家来達を全滅させたけどボスには逃げられました」

「凄いな一潤を1人で犬族の家来達を全滅させるなんて」

「ジュンイチ、シズル」

「何だ」

ジュンイチとシズルが見つめると一潤が口を開いた。 

「ボスに逃げられたのは何者かがボスを助けたから」

「犬族の家来は全滅したんだよな」

「犬族の家来達は全滅しました、ボスを助けたのは人間だと思います」

 「人間…まさか…」

「ただの人間じゃない、ボスが逃げるとき猫目石の気を感じた」

「猫目石は世界で1個だけだ」

「そんなこと言われても」

「俺、調べてみるよ」

シズルが玄関に向かうと一潤が声をかけた。 

「シズル」

「……」

無言で振り向くと一潤が再び口を開いた。 

「気をつけて」

「ユウジのこと頼む」

「……」

無言で一潤が頷くとシズルは家を出ていった。 

その後、一潤は部屋に戻りユウジを見つめるジュンイチに近づいた。 

「暴れないように両足を掴んでて」

「わかった」

ジュンイチがユウジの両足を掴むと一潤は顔を近づけ唇を重ねた。

その後、唇を離し一潤もユウジの両手首を掴んだ。 

それから暫くしてユウジが苦しみ暴れだした。 

「うあああー」

「大丈夫だから」

暴れるユウジを落ち着かせようと一潤は両手首を掴みながら再び唇を重ねた。

「……」

その姿をジュンイチはユウジの両足を掴みながらじっと見つめた。

5分後、暴れていたユウジがおとなしくなった。 

「……」

唇を離しユウジの顔を見つめると一潤が口を開いた。 

「ジュンイチ、もう大丈夫だから両足を掴まなくて良いよ」

一潤が両手首から手を離すとジュンイチも両足から手を離し一潤に近づいた。 

「ユウジは本当に大丈夫なのか?」

「大丈夫、目を覚ませば元のユウジに戻ってる…リビングにいるからユウジが目を覚ましたら知らせて」

「一潤」

「何?」

「ありがとう」

「ユウジを助けたのは俺じゃない猫目石だ」

優しくジュンイチに微笑み一潤が部屋を出ていきリビングに向かうとジュンイチは立ったままユウジを見つめた。

ーリビングー 

猫目石の力を使いすぎで疲れが出た一潤はソファーに近づき座ると猫と犬の耳と尻尾姿のままで眠りについた。 

その頃、ジュンイチは立ったままユウジの目覚めを見守っていた。 

1時間後、ユウジが目を覚ました。

「…ここは…」

「ユウジ!」

「ジュンイチ」

身体を起こしユウジが目を向けるとジュンイチが口を開いた。 

「おかえりユウジ」

優しくジュンイチが抱きしめると涙を流しながら小さな声でユウジが「ただいま」と口にした。 

「一潤に知らせないと」

ユウジから離れ部屋を出ていくとリビングに向かいソファーに近づいた。 

小さな声で「一潤…一潤…」と口にしながらジュンイチが身体を揺らすと目を閉じたまま一潤が「う~ん」と口にしながら顔を右から左に向けた。 

「一潤…」

眠る一潤の顔を見つめながらジュンイチは顔を近づけ唇を重ねた。

「……」

一潤が目を覚ますとジュンイチは唇を離し顔を見つめた。 

「ユウジが目を覚ましたのか」

「あぁ」

「……」

ジュンイチを退かせソファーから立ち上がると一潤はジュンイチと共にリビングを離れ部屋に向かった。 

ー一潤の部屋ー 

ベッドからおり自分の姿をユウジが見つめていると一潤とジュンイチが現れた。

「……」

近づいてくる一潤をユウジが見つめると一潤が口を開いた。 

「ユウジ、あらためて猫目石の力を授けます」

「え…」

近づいてくる一潤の唇にユウジは唇を受け入れ姿が猫耳に2本の尻尾の人間になった。 

唇を離し「俺の役目は終わった」と言って一潤は倒れかけユウジに抱き止められた。 

「おい!」

「気絶してるだけだからゆっくり休めば目を覚ますさ、それよりユウジ話がある」

「わかった」

一潤をベッドに仰向けで寝かせるとユウジはジュンイチと共に部屋を出てリビングに向かった。 

ーリビングー 

「話って何だ」

背を向けているジュンイチにユウジが声をかけるとジュンイチは振り返り口を開いた。 

「弟でも負けないからな」

「何を言ってんだよ」

「シズルも俺も一潤に恋してるお前もそうだろ…嘘つくなよ」

「ジュンイチの言う通り俺も一潤に恋してる」

「……」

ジュンイチとユウジが見つめ合っている頃、ベッドで眠っている一潤が目を覚ました。

その後、一潤が身体を起こすと猫と犬の耳と尻尾が消えた。

「……」

ベッドからおり部屋を出た一潤はリビングに向かいジュンイチとユウジに出くわした。 

「誰ですか?」

「何を言ってんだ、一潤」

「出ていかないと警察を呼びますよ」

近づこうとするジュンイチに少し離れ口にするとユウジが口を開いた。 

「すぐ出ますので、すみません」

一潤に頭を下げジュンイチの腕を掴むとユウジはリビングを離れ家を出ていった。 

「何で出たんだ」

家の前でジュンイチが問いかけるとユウジが口を開いた。 

「一潤の姿を見て築かなかったのか」

「姿?」

「猫と犬の耳と尻尾が消えてただろ」

「そういえば」

「猫目石の力が無くなっているから一潤の姿が元に戻ったんじゃないかな」

「だから俺達のことも忘れた」

「……」

ユウジが頷くとジュンイチが口を開いた。

「猫目石の力が回復するまでどうする?」

「今の俺達の力ならボスに勝てる」

「そうだな今の俺達なら」

「シズルと合流しよう」

「あぁ」

ジュンイチとユウジは一潤の家を離れシズルの元に向かった。 

その頃、犬のボスは部屋のベッドで眠っていた。 

そこへ1人の男性が部屋の中に現れベッドに近づいた。 

「犬族の家来達は全滅してしまったけどボスを助けられて良かった」

「ううう…」

ゆっくりボスが目を覚ますと男性が口を開いた。 

「ここなら安心だからゆっくり休んでください」 

「ここはどこだ」

「俺の部屋です」

「……」

男性に目を向け身体を起こすと男性に向かって口を開いた。

「お前は何者だ、なぜ俺を助けた」

「俺の名前は静流(せいる)です、あなたを助けたのは犬族の主だから」

「ただの人間じゃないな」

「……」

無言で手に力を込めると猫目石を出現させ掴むと犬のボスに見せた。 

「一潤から奪ったのか」

驚いた口調で犬のボスが口にすると静流が口を開いた。 

「この猫目石は一潤が持ってる猫目石の欠片です」

「猫目石の欠片」

静流から猫目石を受け取り犬のボスが見つめると猫目石が小さな欠片を左右の目に向かって飛ばし中に入ると痛み犬のボスが猫目石を落とすと目の色が青色に変わった。 

「目の中に何か入った」

「大丈夫ですか?」

「チクっとしたがもう大丈夫だ」

犬のボスが目を向けると静流が口を開いた。 

「目の色が青色になってる」

「え…」

「これで見てください」

「……」

差し出された手鏡を受け取り見ると青色に犬のボスは驚いた。 

「どうなってんだこれ」

「ちょっとすみません」

犬のボスの顔を自分の方に向かせ目を見ると小さな欠片を見つけ口を開いた。 

「目の中に小さな猫目石の欠片があります」

「何だと」

「目を閉じてください」

「……」

「痛いですか?」

左右の目を閉じる犬のボスに問いかけると犬のボスが「痛くない」と返事をし目を開いた。 

「なぜ猫目石の欠片がボスの目の中に入ったのかわからないけど今はゆっくり休んでください」 

「休んでる暇はない」

「仕方ありませんね」

部屋を出ていこうとする犬のボスの手首を掴み振り向かせ犬のボスが無言で見つめると静流は目をじっと見つめ犬のボスを眠らせ身体を支えた。 

その後、静流は犬のボスをベッドに仰向けで寝かせ猫目石を拾うと身体の中に入れ犬耳と犬の尻尾姿の人間になった。 

「俺が戻るまでゆっくり休んでいてください」

犬のボスの唇を奪うと静流は魔法の杖で部屋から姿を消し人混みの中に姿を現すと歩き始めた。 

その頃、ジュンイチとシズルとユウジも別の人混みの中を歩いていた。 

それから暫くしてジュンイチとシズルとユウジは女性達が騒いでいる姿を目撃した。 

「何だろ」

「行ってみようか」

シズルとユウジが女性達の元に向かうとジュンイチはその場を動かずまわりを見渡した。

そしてジュンイチは険しい顔になった。 

「一潤の猫目石ではない猫目石の気が近づいてる」

「さすが長男だね、2男と3男は俺の技にはまってるのに君は俺の技にはまってない」

「どこだ、姿を現せ」

口にしながらジュンイチがまわりを見渡すと犬耳と尻尾姿の人間、静流が現れた。

「……」

静流に目を向けたジュンイチは一潤と同じ人間に驚いた。 

「一潤の家を教えて欲しいんだけど」

「教えるわけないだろ」

ジュンイチが断ると「そうだよね」と口にしながら静流は魔法の杖を出現させ掴みジュンイチに光線を放った。

突然の攻撃にジュンイチは光線を受け倒れた。 

その瞬間、女性達に囲まれていたシズルとユウジがジュンイチの危険を察知し駆け寄りジュンイチから静流を離れさせた。 

「ジュンイチ、大丈夫か」

身体を支えながらシズルがジュンイチを立たせるとジュンイチが口を開いた。 

「奴の力は強力だ気をつけろ」

「……」

険しい顔でシズルとユウジが見つめると静流が口を開いた。 

「ジュンイチは教えてくれなかったけど君達は一潤の家、教えてくれるよね」

「教えるわけないだろ」

「君達もか、仕方ない自分で探すよ」

「一潤をなぜ狙う」

「そんなこと言わなくてもわかるだろ」

魔法の杖を構えるとジュンイチが叫んだ。 

「シズル、ユウジ、逃げろ」

「……」

「……」

慌てて離れたシズルとユウジは静流が放った光線を受けそのままジュンイチの目の前で消えた。

「シズル!ユウジ!」

驚いた顔でジュンイチが口にすると静流は魔法の杖でその場から消えていった。 

1人になったジュンイチは静流への復讐を思いながら歩き始めた。 

その頃、一潤は遅くなっても男子校に向かって人混みの中を歩いていた。 

1時間後、一潤が男子校の校門の前に着くと静流に声をかけられた。

「すみません」

「……」

一潤が振り向き目を向けると静流は優しい笑顔で近づいた。 

「一潤さんですね」

「そうですが…」

「これに触れてください」

「……」

差し出された魔法の杖を言われた通り手を伸ばし触れると眠気に襲われ倒れかけると静流に抱き止められた。 

その後、静流は一潤の身体を支えながら魔法の杖で自宅に向かった。 

ー静流の家ー 

玄関に姿を現した静流は一潤の身体を支えながら部屋に向かい中に入り一潤を床に寝かせベッドに近づいた。 

「ボス、一潤を連れてきたよ」

眠る犬のボスの唇に唇を重ねその後、静流が唇を離すと犬のボスが目を覚ました。 

「静流…」

「……」

無言で静流は犬のボスの身体を抱き起こし離れると床で眠っている一潤の姿を見せた。

「一潤…どうして一潤がここに居るんだ」

驚いた顔で一潤を見つめていると静流が口を開いた。 

「ボスのために俺が連れてきたんだ」

「……」

「嬉しそうじゃないね」

「一潤は俺の家来達を滅ぼした憎い男だ」

「今の一潤は憎い男じゃない」

「どういうことだ」

「見せてあげるね」

魔法の杖を一潤に向けながら静流が力を込めると猫目石の姿が見え犬のボスは力が落ちている猫目石に驚いた。 

その後、犬のボスはベッドからおり一潤に近づくと身体に触れた。 

「猫目石の力が落ちてる」

身体に触れながら犬のボスが口にすると一潤が目を覚まし身体を起こした。 

「ここはどこですか?」

「……」

「何で俺ここに…」

一潤が立ち上がると静流が犬のボスに向かって口を開いた。 

「猫目石の力が落ちている間にものにしたらボス」

「あなたは男子校の校門の前で会った」

静流に目を向けながら一潤が口にすると立ち上がり犬のボスが静流に向かって口を開いた。 

「静流、2人きりにしてくれ」

「わかった」

部屋を出て静流がドアを閉めると犬のボスが口を開いた。 

「一潤」

手首を掴み一潤を振り向かせると犬のボスは引き寄せ唇を重ねた。

その瞬間、一潤の身体の中にある猫目石が抵抗し一潤と犬のボスの唇が離れ距離も離れた。 

「唇が痛い…」

唇に触れながら犬のボスが口にすると一潤が口を開いた。 

「大丈夫ですか?」

心配そうな顔で一潤が見つめると犬のボスは再び一潤の手首を掴んだ。 

「手を離してください」

「力が回復してないのに猫目石は君の心を読み取り助けたようだ」

「……」

「一潤」

「……」

犬のボスに引き寄せられ再び唇を奪われると思った一潤が「やめて」と口にしたその時、猫目石が再び一潤から犬のボスを離れさせた。

その後、猫目石は一潤を水晶の中に閉じ込め一潤は眠りについた。 

「猫目石め完全に一潤を守ったか」

犬のボスがじっと見つめる頃、シズルとユウジは一潤の部屋で倒れていた。 

「うう…」

目を覚ましシズルが身体を起こし立ち上がるとユウジも目を覚まし立ち上がった。 

「俺達、助かったんだな」

ユウジが口にするとシズルが口を開いた。 

「ジュンイチを探さないとジュンイチが危ない目に遭ってしまう」

「ジュンイチが危ない目に遭うってどういうことだよ」

「ジュンイチは俺達が生きていることを知らない」

「シズル…」

「ジュンイチを探しに行くぞ」

「あぁ」

返事をするとユウジはシズルと共に家を出ていきジュンイチを探しに走り始めた。 

その頃、ジュンイチは静流の居場所を突き止め家の前で立っていた。

「ここにアイツはいる」

険しい顔をしその後、ドアを蹴り壊し中に入ると静流に出くわした。

「静流…」

「俺の家がよくわかったね」

「お前への復讐を思いながら家を探しやっと見つけた、覚悟しろ」

魔法の杖を左右の手で掴み構えながらジュンイチが静流に向かって口にすると静流が口を開いた。 

「俺にそんな物を向けるより部屋に行ったら」

「部屋…なぜ部屋に行くんだ」

「行ってみればわかるよ」

「俺が部屋に行ってる間に逃げるきだろ」

「俺はどこにも逃げない」

「本当だろうな」

「部屋に行って見たら俺への復讐なんて忘れるさ」

静流が玄関を離れリビングに向かうとジュンイチは魔法の杖を持って玄関を離れ部屋に向かいドアを開くと水晶の中に閉じ込められながら眠っている一潤の姿にジュンイチは驚いた。 

「一潤!」

魔法の杖を手から離し一潤に近づき水晶に触れながらジュンイチが見つめると一潤が目を覚ました。

「一潤…一潤…」

水晶に触れながらジュンイチが何度も声をかけると水晶の中で一潤の姿が猫耳に2本の猫尻尾に白いロングコートに白いロングマントを羽織った姿に変わり水晶が壊れた。 

驚いた顔でジュンイチと犬のボスが見つめると一潤がジュンイチに向かって口を開いた。 

「ジュンイチ、行くよ」

手のひらに猫目石を出現させると一潤は驚いた顔で見つめるジュンイチを連れてその場から消え森林に向かい犬のボスは部屋の中で立ち尽くした。 

森林の中に姿を現すと一潤は手のひらに出現している猫目石をかざし力を込め家を出現させると猫目石を身体の中に入れた。 

「凄い」

驚いた顔でジュンイチが見つめると一潤がジュンイチに向かって口を開いた。 

「話しは中で」

一潤がドアを開き中に入るとジュンイチも中に入りドアを閉めた。 

「……」

無言でジュンイチが見つめると背を向けたまま一潤が魔法の杖を床に突き刺したまま家ごと結界を張った。 

「ジュンイチ、部屋から出ないように」

「わかった」

「魔法の杖を触らないように」

「わかった」 

ドアの前でジュンイチが返事をすると一潤がジュンイチに向かって口を開いた。 

「こちらへ」

「……」

無言でジュンイチが近づくと一潤はジュンイチを抱きしめた。 

「一潤?」

「シズルとユウジが亡くなったと調べもしないで勘違いし復讐に向かう、そんなことでは犬のボスには勝てない」

「それじゃシズルとユウジは」

「生きてる」

「良かった」

ジュンイチの目から涙が流れると一潤が口を開いた。 

「長男のジュンイチが弱い心を持っていたらシズルとユウジの心も弱くなる」

「そうだよな」

「……」

ジュンイチから離れ顔を見つめると一潤は手を伸ばしジュンイチの涙を拭い唇を重ねた。

その後、一潤は唇を離しドアを開き外に出てドアを閉めた。 

「なぜキスしたんだろ」

唇に触れながら一潤が口にしたその時、中から倒れる音がし一潤はドアを開いた。

「ジュンイチ!」

一潤はジュンイチの身体を支えながら螺旋階段を上がり一番奥の部屋に行くと中に入りベッドに寝かせた。 

「ゆっくり休みなさい」

眠るジュンイチの顔を見つめその後、部屋を出ると螺旋階段を下り家を出ると左右の目を閉じ気を集中しシズルとユウジを目の前に現した。 

驚いた顔でシズルとユウジが同時に「一潤!」と口にすると左右の目を開きシズルとユウジに向かって一潤が口を開いた。

「中へどうぞ」

「一潤、ジュンイチは?」 

「中へ」

ドアを開き一潤が中に入るとシズルとユウジも中に入りドアを閉めた。

「ジュンイチは上の部屋で眠ってる」

一潤が螺旋階段を上がって行くとシズルとユウジも螺旋階段を上がり一潤についていき一番奥の部屋に行くと一潤と共に部屋の中に入った。 

「ジュンイチ!」 

シズルとユウジがベッドに近づき見つめると一潤がシズルとユウジに向かって口を開いた。 

「シズル、ユウジ」

「……」

シズルとユウジが振り返り目を向けると一潤が口を開いた。 

「猫目石の力で俺は最強の力を手に入れた、その力をジュンイチとシズルとユウジにも与えます」

左右の手に力を込め魔法の杖を出現させると左右の手で魔法の杖を掴みその後、シズルとユウジに向け猫目石の力を送った。 

「何だ…」

「今まで感じたことのない猫目石の力を感じる」

猫目石の力を感じながらシズルとユウジは2本の猫尻尾に白いロングコートそして白いロングマントを羽織った姿に変わった。 

「凄い力だ」

「この力ならボスに勝てる」

「シズル、ユウジ」

「……」

声をかけられシズルとユウジが目を向けると一潤が照れながら口を開いた。 

「暫くの間…ジュンイチと2人きりにしてくれないかな…」

「……」

照れながら口にする一潤の姿を見てシズルとユウジは一潤の気持ちを知り返事をした。 

「真ん中の部屋で作戦を練ってるから用事があるとき呼んで」

「わかりました」

返事をし部屋を出ていくシズルとユウジを見送ると一潤は魔法の杖を床に置き白いロングコートと白いロングマントを脱ぎ全裸になると眠るジュンイチを見つめた。 

「ジュンイチ…」

ベッドにあがりジュンイチに覆い被さると一潤はドキドキしながら唇を重ねた。

「……」

ジュンイチが目を開くと同時に一潤は唇を離し口を開いた。 

「ジュンイチと交わりたい」

「……」

「今はそんな気分じゃないですよね」

全裸姿でベッドからおり白いロングコートを掴み着ようとしたその時、ジュンイチに抱きしめられ一潤はドキっとし手から白いロングコートを離した。 

「……」

「後悔のないように俺も一潤と交わりたい」

「後悔って何ですか?」

「ボスと戦って命を失ったら後悔するだろ」

「……」

ジュンイチの手を離れさせ振り返ると一潤が口を開いた。 

「最強の力を手に入れればボスに勝てます、ジュンイチは死なない」

「一潤…」

「俺が最強の力を授けるから」

「俺は死なない」

「……」

「泣くな」

涙を流す一潤の唇を奪いその後、全裸になるとジュンイチは一潤をベッドに寝かせ愛撫をし始めた。 

1時間後、ジュンイチと愛し合った一潤はベッドからおり白いロングコートを着て白いロングマントを羽織ると眠っているジュンイチに声をかけた。 

「ジュンイチ…ジュンイチ…」

「……」

無言でジュンイチが目を覚まし全裸で身体を起こすと一潤が魔法の杖を持って口を開いた。

「今からジュンイチに猫目石の力を授けます」

「……」

全裸でベッドからおり無言でジュンイチが見つめると一潤は魔法の杖をジュンイチに向け猫目石の力を送った。 

「凄い力だ」

猫目石の力を感じながらジュンイチは2本の猫尻尾に白いロングコートそして白いロングマントを羽織った姿に変わった。 

「一潤、凄い力だ」

「……」

優しい顔で一潤が見つめるとジュンイチが違和感を感じ口を開いた。   

「尻尾はあるけど猫耳ないよな」

「それがジュンイチの姿だから受け入れなさい」

「シズルとユウジもこの姿なのか?」

「シズルとユウジは気にしてないみたいけど」

「……」

「猫耳がないと力がでない?」

「今は人間だから猫耳はいらない」

「猫耳も素敵だけど今のジュンイチの方が俺は好きですよ」

「嬉しいよ」

ジュンイチと一潤が口づけを交わす頃、犬のボスと静流は人々を襲っていた。 

「誰か助けて」

「……」

男性の叫び声を感じ取った一潤はジュンイチから唇を離し口を開いた。 

「男性が襲われてる」

「ボスと静流か」

「助けにいかないと」

「俺が先にいく場所を教えてくれ」

「魔法の杖が教えてくれる」

「……」

差し出された魔法の杖をジュンイチが受け取ると一潤が口を開いた。 

「俺もシズルとユウジを連れて向かうから無理はしないで」

「わかった」

魔法の杖でジュンイチがその場から消えると一潤は部屋を出て真ん中の部屋に行きシズルとユウジに知らせた。 

「男性が襲われてる助けにいきますよ」

「ジュンイチは?」

「先に向かってます」

左右の手に力を込め魔法の杖を出現させ掴むと口を開いた。 

「シズル、ユウジ、俺の側に」

「……」

シズルとユウジが側に近づくと一潤が「行きますよ」と言って魔法の杖でその場から消えジュンイチの元に向かった。 

「ジュンイチ」

一潤とシズルとユウジが駆け寄るとジュンイチが口を開いた。 

「一潤…逃げろ…」

「……」

様子がおかしいと感じた一潤はジュンイチの肩に触れ振り向かせ、そして一潤はジュンイチのお腹に突き刺さっている猫目石で作られた矢に驚いた。

「ジュンイチ!」

倒れかけるジュンイチの身体を抱き止めそのまま倒れると一潤はすぐに身体を起こしジュンイチの身体を抱き起こした。 

「今、外すから」

「ダメだ」

矢に触れようとする一潤の手を握り止めると口を開いた。 

「一潤…ゴメン…」

「俺の力をあげるから死なないで」

「俺はもうダメだ」

「死なないで」

「泣かないで」

手を伸ばし一潤の涙を拭うとジュンイチは一潤の頬に触れながら別れの言葉を口にした。 

「一潤、シズルとユウジを頼むそれと愛してる」

「俺も愛してる」

涙を流しながら消えていくジュンイチを一潤は見送り残った矢を掴み握りしめながら立ち上がると笑みを浮かべながら見つめる犬のボスを一潤は睨みつけた。 

「俺が憎いか」

犬のボスが声をかけると一潤は矢を握りしめながら犬のボスに向かって矢を放った。 

「ボス」

静流が声をかけると犬のボスは矢を防ぎ魔法の杖で向かってくる一潤と戦いを始めた。 

「ボス」

「静流はシズルとユウジの命を奪え」

一潤と戦いながら犬のボスが声をかけるとそれに従い静流はシズルとユウジに向かっていき戦いを始めた。 

「一潤、そんなに俺が憎いか」

一潤の魔法の杖を交わしながら犬のボスが口にすると一潤が口を開いた。 

「許さない…許さない…」

魔法の杖を握りしめながら一潤が口にすると力が爆発し魔法の杖が弓矢に変わった。 

「ジュンイチの命を奪ったあなたのこと許さない」

弓矢を構えると犬のボスに向かって猫目石で作った矢を放った。 

「こんなもの」

結界で矢を防いだ犬のボスは勝てると余裕を持っていたが矢の強さに結界が破れ犬のボスは矢を受け倒れた。 

「ボス!」

「……」

助けにいこうとする静流を魔法の杖で攻撃し気絶させると一潤は倒れている犬のボスに近づき魔法の杖を突きつけた。 

「猫族ではない人間に殺られるとはな」

「……」

力のない笑みを浮かべる犬のボスの顔を見つめると一潤は魔法の杖に力を込めながら犬のボスの腹に突き刺した。 

その瞬間、犬のボスの命は消え姿も消えていった。 
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『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

鬼上司と秘密の同居

なの
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恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

紹介なんてされたくありません!

mahiro
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普通ならば「家族に紹介したい」と言われたら、嬉しいものなのだと思う。 けれど僕は男で目の前で平然と言ってのけたこの人物も男なわけで。 断りの言葉を言いかけた瞬間、来客を知らせるインターフォンが鳴り響き……?

【第1章完結】悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
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「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼第2章2025年1月18日より投稿予定 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
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普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

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