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天使と悪魔
第7話
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陽菜の寝室で全裸姿で倒れたソウは陽菜から私服を借り着ると口を開いた。
「せっかく料理を作ってくれたのに台無しにしてしまった」
「俺の分があるからそれを食べてください」
「それでは陽菜さんの分が」
「作りますから気にしないでください」
そう言って陽菜が落ちている食べ物を拾い皿に入れているとソウが口を開いた。
「手伝います」
陽菜に近づきソウも拾い始めた。
そして最後の食べ物を掴もうと手を伸ばしたソウと陽菜は手と手が触れお互いドキっとなると手を離した。
「……」
「……」
お互い無言になり陽菜が拾い立ち上がるとソウも立ち上がった。
「ここに持ってきますから待っててください」
そう言って陽菜が背を向け離れると黒い羽が現れ床に落ちた。
「黒い羽」
黒い羽を拾いソウが見つめたその時、黒い羽がソウの身体の中に入った。
「……」
無言でソウが立ち尽くすと陽菜に借りた私服が黒一色の長い服に変わり短い黒い髪が長い髪に変わった。
その頃、陽菜はキッチンで自分の料理を作っていた。
「1人で食べるより2人で食べた方が美味しいよな」
口にしながら料理を作っているとインターホンが鳴った。
「誰か来た」
火を止めキッチンを離れ玄関に向かいドアを開くと陽菜は傷ついた樹に驚いた。
「どうしたんですか?」
「今の凛は危険だ」
「危険ってどういうことですか?」
「悪魔になった凛は何をするかわからない…俺の傷は悪魔時代のソウにやられたんだ」
「悪魔時代のソウさんなら寝室に居ますよ」
「何かされなかった」
「記憶がないみたいです、黒い羽もないし」
「記憶がない…陽菜さん」
そう言って陽菜に目を向けた樹は立っているソウに目を向けた。
「樹さん?」
樹の目線の先に目を向けた陽菜はソウに声をかけた。
「ソウさん」
「……」
無言で近づくとソウは樹に向かって口を開いた。
「俺が君を傷つけた」
「記憶が戻ったのか?」
「全部じゃないが、記憶が戻りつつある」
「あんたなら蒼を助けることができる、蒼を助けてくれ」
「蒼さんに何かあったんですか?」
陽菜が問いかけると樹が口を開いた。
「黒い羽に包まれた」
「え…」
「蒼を助けてくれ」
樹がソウに向かって頭をさげるとソウは背を向け口を開いた。
「すまないが、今の俺には助ける力はない…すまない」
そう言ってソウが歩き出すと樹が叫んだ。
「蒼が黒い羽に包まれたのはあんたが来たからだ、蒼があんたの生まれ変わりじゃなかったら黒い羽に包まれることはなかったんだ、陽菜さんだって…」
樹が黒い羽のブレスレットを投げ捨て出ていくと陽菜は「樹さん」と言って追いかけていった。
「樹さん…樹さん…」
「……」
背後から名を呼ばれ足を止めると樹は振り返り駆け寄ってくる陽菜を見つめた。
「樹さん、ソウさんを庇う訳じゃないけどさっきのは言いすぎです、ソウさんだって記憶がないで苦しんでるんです」
「それを言いたくて彼のために靴を履かないで急いできたんだ」
「気がつかなかった」
そう言って陽菜が恥ずかしい顔をすると樹が口を開いた。
「俺みたいに悪魔時代のイツキも天使時代のヒナさんを好きだったのかな」
「何ですか?」
小さな声で聞き取れなかった陽菜が問いかけると樹は顔を近づけ唇を重ねた。
その後、樹が唇を離すと陽菜に向かって口を開いた。
「陽菜さんが蒼を好きでも俺は諦めない」
「樹さん」
「今の俺は陽菜さんを悲しみから守りたいその気持ちが大きい」
「樹さん」
「何かあったらここに連絡してください」
そう言って携帯の番号が書かれた名刺を陽菜に持たせると樹は歩いていった。
その姿を離れた場所からソウが見つめていた。
そしてソウは陽菜に声をかけないまま姿を消した。
その後、陽菜は名刺を持ったまま裸足で家に戻り中に入ると足を洗いに浴室に向かった。
その後、陽菜は玄関に向かい樹が投げ捨てた黒い羽のブレスレットを拾うと寝室に向かった。
そして陽菜は姿がないソウに驚いた。
「ソウさん…」
心配になった陽菜は黒い羽のブレスレットと名刺をベッドの上に置き玄関に向かうと靴を履き外に出て走ってソウを探し始めた。
その頃、ソウは歩きながら身体の中にある黒い羽に心の中で問いかけていた。
「蒼という人物に会いたいどこに居るのか教えてくれないか」
心の中で口にしたその時、まわりの景色が変わりソウは足を止めた。
そこへ白一色の長い髪に長い服そして背中に白い羽が生えた幽霊の女性天使ヒナが現れた。
「せっかく料理を作ってくれたのに台無しにしてしまった」
「俺の分があるからそれを食べてください」
「それでは陽菜さんの分が」
「作りますから気にしないでください」
そう言って陽菜が落ちている食べ物を拾い皿に入れているとソウが口を開いた。
「手伝います」
陽菜に近づきソウも拾い始めた。
そして最後の食べ物を掴もうと手を伸ばしたソウと陽菜は手と手が触れお互いドキっとなると手を離した。
「……」
「……」
お互い無言になり陽菜が拾い立ち上がるとソウも立ち上がった。
「ここに持ってきますから待っててください」
そう言って陽菜が背を向け離れると黒い羽が現れ床に落ちた。
「黒い羽」
黒い羽を拾いソウが見つめたその時、黒い羽がソウの身体の中に入った。
「……」
無言でソウが立ち尽くすと陽菜に借りた私服が黒一色の長い服に変わり短い黒い髪が長い髪に変わった。
その頃、陽菜はキッチンで自分の料理を作っていた。
「1人で食べるより2人で食べた方が美味しいよな」
口にしながら料理を作っているとインターホンが鳴った。
「誰か来た」
火を止めキッチンを離れ玄関に向かいドアを開くと陽菜は傷ついた樹に驚いた。
「どうしたんですか?」
「今の凛は危険だ」
「危険ってどういうことですか?」
「悪魔になった凛は何をするかわからない…俺の傷は悪魔時代のソウにやられたんだ」
「悪魔時代のソウさんなら寝室に居ますよ」
「何かされなかった」
「記憶がないみたいです、黒い羽もないし」
「記憶がない…陽菜さん」
そう言って陽菜に目を向けた樹は立っているソウに目を向けた。
「樹さん?」
樹の目線の先に目を向けた陽菜はソウに声をかけた。
「ソウさん」
「……」
無言で近づくとソウは樹に向かって口を開いた。
「俺が君を傷つけた」
「記憶が戻ったのか?」
「全部じゃないが、記憶が戻りつつある」
「あんたなら蒼を助けることができる、蒼を助けてくれ」
「蒼さんに何かあったんですか?」
陽菜が問いかけると樹が口を開いた。
「黒い羽に包まれた」
「え…」
「蒼を助けてくれ」
樹がソウに向かって頭をさげるとソウは背を向け口を開いた。
「すまないが、今の俺には助ける力はない…すまない」
そう言ってソウが歩き出すと樹が叫んだ。
「蒼が黒い羽に包まれたのはあんたが来たからだ、蒼があんたの生まれ変わりじゃなかったら黒い羽に包まれることはなかったんだ、陽菜さんだって…」
樹が黒い羽のブレスレットを投げ捨て出ていくと陽菜は「樹さん」と言って追いかけていった。
「樹さん…樹さん…」
「……」
背後から名を呼ばれ足を止めると樹は振り返り駆け寄ってくる陽菜を見つめた。
「樹さん、ソウさんを庇う訳じゃないけどさっきのは言いすぎです、ソウさんだって記憶がないで苦しんでるんです」
「それを言いたくて彼のために靴を履かないで急いできたんだ」
「気がつかなかった」
そう言って陽菜が恥ずかしい顔をすると樹が口を開いた。
「俺みたいに悪魔時代のイツキも天使時代のヒナさんを好きだったのかな」
「何ですか?」
小さな声で聞き取れなかった陽菜が問いかけると樹は顔を近づけ唇を重ねた。
その後、樹が唇を離すと陽菜に向かって口を開いた。
「陽菜さんが蒼を好きでも俺は諦めない」
「樹さん」
「今の俺は陽菜さんを悲しみから守りたいその気持ちが大きい」
「樹さん」
「何かあったらここに連絡してください」
そう言って携帯の番号が書かれた名刺を陽菜に持たせると樹は歩いていった。
その姿を離れた場所からソウが見つめていた。
そしてソウは陽菜に声をかけないまま姿を消した。
その後、陽菜は名刺を持ったまま裸足で家に戻り中に入ると足を洗いに浴室に向かった。
その後、陽菜は玄関に向かい樹が投げ捨てた黒い羽のブレスレットを拾うと寝室に向かった。
そして陽菜は姿がないソウに驚いた。
「ソウさん…」
心配になった陽菜は黒い羽のブレスレットと名刺をベッドの上に置き玄関に向かうと靴を履き外に出て走ってソウを探し始めた。
その頃、ソウは歩きながら身体の中にある黒い羽に心の中で問いかけていた。
「蒼という人物に会いたいどこに居るのか教えてくれないか」
心の中で口にしたその時、まわりの景色が変わりソウは足を止めた。
そこへ白一色の長い髪に長い服そして背中に白い羽が生えた幽霊の女性天使ヒナが現れた。
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