兄妹の運命

猫幸世

文字の大きさ
上 下
2 / 22
兄妹の運命

第2話

しおりを挟む
男性から長年続いている龍と悪魔の戦いを聞き勉は怒った口調で口を開いた。 

「あんた達の戦いのせいで俺の妹は悪魔に連れ去られたんだ、どうしてくれるんだ」

「心配しなくても妹さんは無事だ」

「何で言いきれるんだよ」

「会ったことないけど君を見てればわかる」

「……」

「龍が刻まれた緑の玉を君は触れただけで俺を目覚めさせた」

「…吉瀬勉…」

「……」

無言で男性が見つめると勉が口を開いた。 

「俺の名前…あんたの名前は?」 

「ドラゴン」

「カッコ良い名前だな」

「龍は皆、ドラゴンと呼ばれてる」

「それじゃ、あんたを呼ぶとき困るな」 

「……」

考え込む勉を男性が見つめていると勉が口を開いた。 

「あんたのことミドリって呼ぶのどうかな」

「良いんじゃないか」

「ミドリさん、龍と悪魔の長年の戦いって原因は何なんですか?」 

「デーモンが大龍神様の石を奪ったんだ」

「それで戦いに」

「あぁ」

「ただの人間に何が出きるかわからないけど大龍神様の石を取り戻しましょうよ」

「手伝ってくれるのか?」

「美咲を助けたら一緒に大龍神様の石を取り戻しましょう」

「ありがとう」

「……」

無言で勉は差し出されたミドリの手を掴み握手をした。 

その頃、美咲はデーモンの部屋でデーモンに身体と心を奪われていた。 

「美咲、お前に頼みがあるんだが頼まれてくれるか」 

「デーモンさんの頼みなら何でもしますよ」

「お前の兄を俺の前に連れてきて欲しいんだ」

「良いですよ」

「すぐ行ってくれるか」

「わかりました」

そう言ってデーモンから離れ部屋を出ていくと美咲は兄の勉の元に向かった。 

その頃、勉は部屋でミドリと一緒に美咲の救出と大龍神様の石の取り戻しの作戦を練っていた。 

「美咲を救出したら俺がデーモンの相手をするからミドリさんは石を」

「ありがたいが危険すぎる」

「大丈夫だよ」

そう言って勉が微笑んだその時、部屋のドアが開き美咲が現れた。

「美咲!」 

驚いた口調で勉が口にするとミドリは怪しむ顔で美咲を見つめた。

「よく逃げられたな」

「必死に逃げてきたの」

そう言って美咲が勉に近づこうとしたその時、ミドリが止めた。 

「近づかないで」

「何、言ってるんですか」

「見た目は妹の美咲さんかもしれないけど心はデーモンのもの」

「どういう意味ですか?」

勉の問いかけにミドリは美咲に向かって話しかけた。 

「ここに来たのはデーモンの命令できた、そうですよね」

「……」

ミドリの言葉に無言で笑みを浮かべると美咲の左右の瞳が黒と赤に変わり普通の服が足首まで長い黒いスカートに変わった。 

その姿を見てミドリは「やっぱり」と口にし勉は驚いた顔で見つめた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】『ルカ』

瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。 倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。 クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。 そんなある日、クロを知る青年が現れ……? 貴族の青年×記憶喪失の青年です。 ※自サイトでも掲載しています。 2021年6月28日 本編完結

緋の翅

鯨井イルカ
BL
 ごく普通の会社員平川静一には『緊縛』という倒錯的な趣味があった。  元恋人にコレクションを全て捨てられた静一は、ある日黒い肌襦袢を身に纏った男性が緋色の縄に縛られていく配信のアーカイブを見つける。一目で心を奪われて他の動画を探したが、残っていたのはその一件だけだった。  それでも諦めきれず検索が日課になった日々のなか、勤め先で黒縁眼鏡をかけた美貌の男性社員、高山円と出会った。 ※更新はおそらく隔週くらいの頻度になる予定です。

高嶺の花宮君

しづ未
BL
幼馴染のイケメンが昔から自分に構ってくる話。

こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件

神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。 僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。 だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。 子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。   ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。 指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。 あれから10年近く。 ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。 だけど想いを隠すのは苦しくて――。 こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。 なのにどうして――。 『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』 えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をご覧になるとより一層楽しめるかもしれません)

初恋はおしまい

佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。 高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。 ※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。 今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。

出戻り聖女はもう泣かない

たかせまこと
BL
西の森のとば口に住むジュタは、元聖女。 男だけど元聖女。 一人で静かに暮らしているジュタに、王宮からの使いが告げた。 「王が正室を迎えるので、言祝ぎをお願いしたい」 出戻りアンソロジー参加作品に加筆修正したものです。 ムーンライト・エブリスタにも掲載しています。 表紙絵:CK2さま

子悪党令息の息子として生まれました

菟圃(うさぎはたけ)
BL
悪役に好かれていますがどうやって逃げられますか!? ネヴィレントとラグザンドの間に生まれたホロとイディのお話。 「お父様とお母様本当に仲がいいね」 「良すぎて目の毒だ」 ーーーーーーーーーーー 「僕達の子ども達本当に可愛い!!」 「ゆっくりと見守って上げよう」 偶にネヴィレントとラグザンドも出てきます。

美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした

亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。 カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。 (悪役モブ♀が出てきます) (他サイトに2021年〜掲載済)

処理中です...