猫ホスト

猫幸世

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猫ホスト

会員番号3~後編~

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ー井上和歌が居る部屋ー

「……」

井上和歌が目を覚ますとマスクが話しかけた。

「目が覚めたか」

「……」

無言で身体を起こしうつ向くと井上和歌の目から涙が流れた。 

「どうした、何かあったのか?」

「菜々は帰っていなかった」

「菜々ってあの男か」

「マスクさんが居なくなるのを見届けると菜々は俺の前に現れ身体を奪った」

「……」

「俺…菜々から離れたい…菜々の側に居たくない…」

「……」

涙を流しながら訴える井上和歌の姿を見てマスクは井上和歌を抱きしめた。 

その光景を司の部屋で司と天と白黒猫のブリが水晶で見ていた。 

「和歌は本気で菜々って人から離れたがってる、司さん、和歌を助けてください」

「天、ブリ、あとは俺に任せろ」

そう言って司は部屋を出ていき井上和歌とマスクが居る部屋に向かった。 

ー井上和歌とマスクが居る部屋ー 

井上和歌の涙を手で拭いながらマスクは気持ちを口にした。 

「俺が君を守る、菜々を君に近づけさせない」

「マスクさん」

「泣くな」

再び涙を流す井上和歌の唇に唇を重ねた。

その時、ノックをする音がした。

マスクは井上和歌から唇を離しドアに近づくとドアを開き司と目が合った。 

「司…」

「お前に話がある今、良いか」

「わかった」

「……」

部屋を出ていくマスクの姿を井上和歌が見つめていると天が中に入りドアを閉めた。

「天!」

「マスクさんが戻るまで話しないか」

そう言って天がベッドに近づき座ると井上和歌が話しかけた。 

「天で遊んでいた菜々はそれができなくなりイラついてた」

「……」

「あれから菜々はイライラをおさえるために俺の身体を奪い続けた」

「和歌…」

「俺は辛くて逃げたかった…菜々から逃げたかった」

「そんな和歌の前にマスクさんが現れた」

「……」

「マスクさんなら菜々から救ってくれる…だから和歌はマスクさんに訴えた」

「見てたのか」

「和歌」

和歌の手に触れながら天は応援の言葉を口にした。 

「マスクさんが本気で好きなら俺、応援するから」

「ありがとう、天」

井上和歌と天が話を終えるその頃、マスクも司と井上和歌のことを話していた。 

「井上和歌さんのこと好きか」

「真剣な顔で話があるって」

「良いから正直に答えろ、井上和歌さんのこと好きか」

「…好きです…」

「マスク、井上和歌さんと久保菜々の記憶を消して井上和歌と出会い守れ」

「記憶を消したら俺が守らなくても」

「俺の願いを言う」

「……」

「お前に俺の願いを叶えてもらう」

「……」

「井上和歌さんの嫌な記憶だけを消し久保菜々は井上和歌さんの記憶を消す、それが俺の願いだ」

「わかりました」

返事後、マスクは1人で居る井上和歌の元に戻り井上和歌を自宅に送った。 

ー井上和歌の自宅ー 

「送っていただきありがとうございます」

そう言って井上和歌が家の中に入ろうとしたその時、マスクが手首を掴んだ。 

「……」

振り向き井上和歌が見つめるとマスクは井上和歌を抱きしめた。

「俺と共に生きよう」

そう言って井上和歌の顔を見つめるとマスクは唇を重ね井上和歌の嫌な記憶だけを消した。 

その後、マスクは井上和歌と別れ久保菜々の元に向かった。 

「見つけた」

道を歩いている久保菜々を見つけマスクは近づき背後から話しかけた。 

「久保菜々」

「……」

名を呼ばれ立ち止まり振り返った久保菜々はマスクの姿を見て驚いた。

「あんたは!」

「久保菜々、あんたの記憶を消しに来た」

「何、言ってんだ」

「久保菜々」

「さっきから久保菜々、久保菜々って呼び捨てで呼ぶな」

「井上和歌のことは忘れて新しい恋を見つけろ」

そう言ってマスクは行き交う人々の中で久保菜々の唇を奪い井上和歌の記憶を消した。 

その後、マスクは唇を離し行き交う人々に見られながら樹海に向かった。

ー大学ー 

次の日、嫌な記憶と井上和歌の記憶を消された井上和歌と久保菜々は廊下ですれ違っても無視で教室に入った。 

その後、授業が始まり井上和歌はいつも通り授業を受けた。 

それから時間が過ぎ授業が終わると井上和歌は鞄を持って教室を出た。 

その頃、門の前ではスーツ姿のマスクが女性達に囲まれていた。 

そこへ井上和歌が通りかかるとマスクが話しかけた。

「和歌」

「マスクさん」

女性達の中から現れ近づいてくるマスクを井上和歌が見つめるとマスクが話しかけた。

「デートしようか」

「店は良いんですか?」

「皆が和歌とデートしろって言うから」

「どこに行きますか?」

「和歌が行きたいところで良いよ」

「2人きりになりたいから俺の自宅で過ごしませんか」

「良いよ」

返事をしマスクが手を差し出すと井上和歌はその手を握り門を離れると井上和歌の自宅に向かった。

その後、井上和歌とマスクは部屋で最高の時を過ごし井上和歌の新しい人生と恋が始まった。 
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