天然石猫の物語

猫幸世

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天然石猫の物語

第2話

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晴の部屋に姿を現したブルーは晴の匂いを探っていた。 

「やはりあの静夜っていう男に連れていかれたか」

そう言ってブルーは窓を開き静夜の匂いを探り始めた。 

「……」

静夜の居場所を見つけたブルーはブルーレースアゲートの石を使って静夜の自宅の前に瞬間移動した。 

そしてブルーはドアを開き築かれないように中に入った。 

その時、晴の声が聞こえた。 

ブルーは声の方に近づき部屋のドアを蹴り壊すと中に入った。 

「晴さん」

ベッドで静夜に襲われている晴にブルーが声をかけると静夜は晴から離れベッドからおりブルーに目を向けた。

「またお前か」

「先生と付き合っている晴さんの弱味を握り晴さんを自分の思い通りにするそれがお前の遊び」

「最初はそうだったが今は晴を愛している、だから自分のものにしたい」

「愛してるならなぜ晴さんが泣くようなことをするんだ」

「晴が泣いているだと」

「ラブホテルの部屋でお前に身体を捧げていたときの晴さんは泣いていた」

「奴が今、言ったこと本当か?」

静夜が見つめると晴は全裸姿でベッドからおりブルーに近づき唇を重ねた。 

その後、晴は唇を離し静夜に向かって話しかけた。

「俺はブルーさんが好きです、だから静夜さんの言う通りにはなりません」

「…そうか…わかった…」

静夜の言葉と同時に雰囲気が変わるとブルーは全裸姿の晴を抱きしめながらその場から消え晴の自宅の部屋の中に姿を現した。 

「ブルーさん」

「……」

晴に話しかけられブルーは晴から離れ話しかけた。 

「身体は静夜だけど心は完全に黒い玉に乗っ取られた」

「助けることはできないんですか?」

「わからない、俺の力で助けることはできるんだろうか」

ブルーが口にした後、晴は全裸姿でブルーに近づきブルーレースアゲートの石に触れながら口を開いた。 

「静夜さんは悪い人じゃないと思います、助けてあげてください」

口にした後、晴がブルーレースアゲートの石から手を離すとブルーレースアゲートの石が1本の矢を出現させた。 

その瞬間、驚いた顔でブルーと晴は見つめ合いその後、矢に目を向けた。 

「これで静夜さんを攻撃しろということでしょうか?」 

「晴さん、風邪を引いたら大変だ服を着てください」

「あ、はい、すみません」

慌てて晴はタンスに近づき上下の下着と服を取り出すと着始めた。 

「……」

矢を掴みブルーが見つめていると晴が話しかけた。 

「ブルーさん」

「君はここに居ろ、俺が黒い玉ごと静夜の命を奪う」

「気をつけてください」

「あぁ」

矢を持ったままブルーがその場から姿を消す頃、静夜は人混みの中に現れ人々を襲っていた。 

ー晴の部屋ー 

ベッドに座りながらブルーの無事を祈っていると晴は突然、祈りを止めベッドから立ち上がった。 

「女性や男性の叫び声が聞こえる」

そう言って晴は部屋を出て玄関に向かい靴を履くと外に出た。 

その後、晴は人気がある街に向かった。 

「キャーー」

「うああー」

「何があったんですか?」

逃げる男性に話しかけると晴は人々を襲っている静夜の姿を目にした。 

「静夜さん」

助けなくては、そう思った晴は静夜に近づき話しかけた。

「止めてください」

「……」

人々を襲っていた静夜は晴の声に手を止め晴に目を向けた。 

「晴…」

「人々を襲うのは止めてください」

涙を流しながら晴が訴えると晴の涙を拭おうと静夜が手を伸ばしたその時、赤い髪に赤い瞳そして足首まで長い赤い服姿の男性に手首を掴まれた。

「何だお前」

「彼に触れるな」

「手を離せ」

「……」

男性が手を離すと静夜は少し離れ光線を放った。 

男性は晴の前に立ち首筋につけているガーネットの石を使って光線を防いだ。 

「人間を解放して去れ」

静夜の身体を乗っ取っている黒い玉に向かって男性が話しかけると静夜は男性を無視し晴に向かって話しかけた。

「晴、また会おう」

そう言って静夜は人混みの中に消えていった。 

「助けてくれてありがとうございます」

背を向けている男性に向かって晴がお礼を言うとブルーが矢を持って現れた。

「晴さん、部屋に居ろと言ったのにどうしてここに」

「女性や男性の叫び声が聞こえて来てみたら静夜さんが人々を襲ってたんです」

「静夜は?」 

「彼が助けてくれて静夜さんは逃げていきました」

晴が口にした後、ブルーが目を向けると男性もブルーに目を向けた。

「俺はブルー」

「ガーです」

2人の名乗りが終わると晴が口を開いた。

「作戦会議をしませんか」

「そうだな」

「ガーさんも行きましょ」

そう言って晴が歩き始めると意識しながらブルーとガーも歩き始めた。 

その頃、静夜の元に黒い髪と黒い瞳に足首まで長い黒い服姿のタイトが近づいていた。 

そしてタイトと静夜は人気がない場所でヘマタイトの石と黒い玉を引っ付け力を高めた。 

「素晴らしい」

そう言って静夜が黒い玉を身体の中に入れるとタイトもヘマタイトの石をネックレスにし首筋につけた。 

「知ってるか」

「何を」

「黒い玉の力を高める石があることを」

「それは本当か」

「神様が人間の国のどこかに隠してある」

「なぜそんなことお前が知ってるんだ」

「生まれたときに俺は心を読む力を得たんだ」 

「心を読む力があるなら俺の心を読めるか?」

「お前は晴に本気で惚れてる、相手には伝わっていないが」

そう言ってタイトが人間から黒い猫に変身すると静夜が話しかけた。

「どこに行くんだ」

「用事があるときはヘマタイトの石に声を届けろ」

そう言って黒い猫、タイトが走ってその場を離れると静夜もその場から姿を消し自宅に向かった。 

ー晴の部屋ー 

「作戦会議をする前にご飯を食べないとな…買い物してくるから待ってて」

「1人じゃ危険だ、俺も行く、ブルーはお留守番な」

「わかった」

返事をしブルーがベッドに座ると晴とガーは部屋を出ていき玄関に向かい外に出た。 

その後、晴とガーは歩き出しスーパーに向かった。 

「皆、さっきの出来事、忘れてますね」

「忘れている方がいい」

「そうですね」

横並びで歩きながら晴とガーが話をしている姿を黒い猫、タイトが見つめていた。 

「見~つけた」

晴を見つけた黒い猫、タイトは晴とガーのあとを追いかけていった。 

その後、晴とガーがスーパーの中に入って行くと黒い猫、タイトは黒い髪に黒い瞳に足首まで長い黒いコート姿に変身した。

そしてタイトはスーパーの中に入り1人になった晴に近づき話しかけた。

「晴さん」

「はい…」

ガーに呼ばれたと思い目を向けた晴は違う人に驚いた。 

「ちょっと付き合ってくれませんか?」

「すみません、連れがいるんで」

「すぐ済むから」

「すみません」

そう言ってガーの姿を見かけた晴がガーを呼ぼうとしたその時、タイトはヘマタイトの石を使って晴を眠らせ倒れかける晴を抱き止めた。 

カゴに入っている物は散らばりタイトは晴をスーパーから連れ出した。 

そこへ肉を持ってガーが現れガーは散らばっている物を見て晴の身に何かあったと感じスーパーから出ていき晴を探し始めた。 

その頃、タイトは晴をお姫様抱っこしながら人混みの中を歩き樹海に向かっていた。 
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