天然石猫の物語

猫幸世

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天然石猫の物語

第1話

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ー天然石の国ー

「もうすぐ猫が生まれる」

天然石の国の神様が口にしたその時、薄い青色の玉子が割れ薄い青色の猫が生まれた。 

「よく生まれましたね」

「ニャー」

「あなたの名前はブルー」

「ニャー」

「ブルー、あなたにこれを授けます」

そう言って神様はブルーレースアゲートの石のネックレスを薄い青色の猫の首にかけ口を開いた。 

「行ってらっしゃいブルー」

そう言って神様は薄い青色の猫を日本の樹海に送った。 

そして薄い青色の猫は樹海に到着し倒れた。 

それから暫くして薄い青色の猫は目を覚まし立ち上がった。 

 「ここはどこだ?」

薄い青色の猫が口にしたその時、ブルーレースアゲートの石と樹海が共鳴し石は薄い青色の猫を人間の姿に変身させた。

「何だこれ」

自分の姿にブルーが驚くと石が光の道を作った。 

「この光の道を歩けってことなのかな」

そう言ってブルーは光の道を歩き樹海から出ていくと人気が多い街に向かって歩き出した。 

「凄い人の多さだな」

人混みの中で立ち止まりまわりを見渡したブルーは1人の男性に目を向けた。

その後、ブルーは男性のあとを追いラブホテルの前に着いた。 

「ここはあの人の家か?」

そう言ってブルーは中に入っていく男性のあとを追いブルーも中に入りついていった。 

男性が部屋の前に立ちノックをするとドアが開き男性は中に入っていった。 

「……」

隠れてみていたブルーは部屋の前に近づきドアをゆっくり開き中を覗いたブルーは声の方に行きベッドで男性同士が身体を重ねていることに驚いた。 

「嘘だろ」

「……」

声に反応した2人の男性は慌てて離れブルーに目を向けた。

「誰だよ、あんた」

「俺は…」

「ここから出ていけ」

そう言って男性がベッドからおりるともう1人の男性もベッドからおり制服を着始めた。 

「晴(はる)、どこに行くんだ」

「あんたに身体を捧げたんだもう良いだろ」

「邪魔が入ったからダメだ」

「親に言うなら言えよ、俺はもうあんたに身体を捧げない」

「晴!」

部屋を出ていく晴に男性が呼びかけるも立ち止まらず晴はドアを閉めた。

男性はブルーに近づき胸ぐらを掴みながら口を開いた。 

「お前のせいで晴が逃げただろ、どうしてくれるんだよ」

「お前は悪い奴だ」

そう言ってブルーは胸ぐらを掴んでいる男性の手を離れさせ部屋を出ると晴のあとを追いかけていった。 

ーラブホテルの部屋ー 

晴に逃げられ全裸姿で男性がイライラしていると謎の声が男性に話しかけた。

「逃げた男を手に入れたいか」

「誰だ」

「答えろ」

「晴を手に入れたい」

「お前に力を授けよう」

「……」

まわりを見渡し壁に目を向けた男性は壁から現れた黒い煙に身体を乗っ取られうつ伏せで倒れた。 

5分後、男性は目を覚まし立ち上がると全裸から足首まで長い黒のコートを着た。

その後、男性はその場から姿を消し乗っ取った男性の自宅に向かった。 

ー人混みの中ー 

制服姿で晴が急いで自宅に向かっていると突然、ブルーに手首を掴まれ動きを止められた。 

「あんたは」

「どこに行くんだ」

「家に帰るに決まってるだろ」

「送るよ」

「1人で帰れるから良いよ」

「君に話があるんだ」

真剣な顔でブルーが見つめると晴が口を開いた。 

「わかったから手を離してください」

「……」

ブルーが手を離すと再び晴が口を開いた。 

「ついてきて」

そう言って晴が動き出すとブルーも動き出し晴についていった。 

ー蛍原家ー 

ドアを開き晴がブルーを連れて中に入ると母親が立っていた。 

「お帰り」

「ただいま」

「お友達?」

「…彼と部屋で話をするから来ないでね」

そう言って靴を脱ぎ晴が部屋に向かうとブルーも部屋に向かった。 

ー晴の部屋ー 

制服のまま晴がベッドに座るとブルーが話しかけた。

「泣きながら身体を重ねていたのはなぜだ」

「……」

「言えないのか?」

「あんたには関係ないだろ」

「人混みの中で君を見かけたとき俺は君から目が離せなかった」

「……」

「俺にもわからないけど、君のことが気になるんだ」

「……車の中で俺が担任の先生とキスをしているところをアイツは見てたんだ…アイツは先生に築かれないように俺に近づき言ったんだ…親に知られたくなかったら身体を捧げろって、だから俺は…」

そう言って晴が涙を流すとブルーは晴を抱きしめた。 

「……」

「俺が君を守る」

「え…」

「……」

晴の顔を見つめるとブルーは顔を近づけ唇を重ねた。 

その頃、黒い煙は身体を乗っ取った男性の自宅の部屋でじっと立っていた。 

「ここなら邪魔者が入らない」

そう言って男性は黒い玉を出現させ晴の居場所を探し始めた。 

「見つけた」

そう言って男性はその場から姿を消し晴の自宅に向かった。 

ー晴の部屋ー 

唇を交わした後、晴とブルーが無言でベッドに座っているとブルーレースアゲートの石が光出した。 

「ブルーさん、石が光ってる」

「本当だ」

ブルーがブルーレースアゲートの石に触れたその時、母親の叫び声が聞こえた。 

「キャー…」

「お母さんの声だ」

「何かあったんじゃ」

そう言ってブルーと晴がベッドから立ち上がったその時、黒い煙に身体を乗っ取られた男性が現れた。 

「静夜(せいや)さん!」

驚いた顔で晴が見つめると静夜は手をブルーに向け一瞬で吹き飛ばし壁に当てると気絶させた。

「ブルーさん!」

「晴」

「何てことを」

「俺と一緒に来い」

そう言って晴の動きを止めると静夜は晴を連れてその場から姿を消していった。 

静夜に攻撃され気絶させられたブルーは人間から薄い青色の猫に戻った。 

ー天然石の国ー 

ブルーのことを見ていた神様は晴の部屋で気絶している薄い青色の猫、ブルーを自分の前に現せ治療を始めた。 

暫くして薄い青色の猫、ブルーが目を覚ますと神様が話しかけた。

「大変な目に遭いましたね」

「神様!」

薄い青色の猫、ブルーが立ち上がると神様が話しかけた。

「黒い玉が復活したようですね」

「黒い玉?」

「黒い玉は悪い心を持った人間の身体を乗っ取りその者の思いを受け継ぎやり遂げ力を得る」

「黒い玉が完全な力を得たらどうなるんですか?」 

「見たことないからわからない」

「神様」

「ブルー、今のブルーじゃ身体を乗っ取られた人間には勝てない」

「……」

「だから暫くの間、ブルーレースアゲートの石と共に眠りなさい」

そう言って神様はブルーレースアゲートの石と共に薄い青色の猫、ブルーを水晶の中に閉じ込め眠らせた。 

10時間後、水晶の中から薄い青色の髪と瞳と足首まで長い服姿の人間が現れ首筋にはブルーレースアゲートの石のネックレスが輝いていた。 

「神様」

「パワーアップしたブルーとブルーレースアゲートの石なら乗っ取られた人間に勝てるはず」

「神様」

「さぁ…助けに行きなさい」

「はい」

神様に向かってお辞儀をするとブルーはブルーレースアゲートの石の力を使って天然石の国から消えていった。
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