僕らの姉弟は

古川優亜

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目を開けばなじみある天井が見えた。
「姉さま!!」
安心したように笑うルドの表情が見えた。
「よ!遅すぎだぞ、リティ。」
レオンが暇そうに言う。
でも、目の下のクマすごい。
心配してくれてたんだ。
声も心なしか空元気だし。
「おはよう、リティ。」
ジョーが温かい飲み物を持って立っていた。
「白湯だけど、飲む?」
私の近くに座ると温かい容器を渡してくる。
「ん、ありがと。」
起き上がろうとしたらルドが手伝ってくれる。
少しづつ飲むけど味がしない。
「はは、驚いたかい?体調が悪い時はただの水を温めて飲むんだ。それを白湯と言うんだよ。」
ジョーは柔らかく微笑む。
「何が『驚いたかい?』よ!!めちゃくちゃ不味い!!」
「おいおい、処女が‶不味い!”だよ。言っちゃいけねえだろうが!」
「うっさい、単細胞!」
「んだと!?」
「はいはい、そこまで!!」
私と、レオンがいがみ合てるとジョーが割って入ってくる。
ルドは嬉しそうにくすくす笑ってるし。
私もレオンもなんだかおかしくなって4人で笑いあった。
体は少し痛くて、眠る前の記憶も鮮明なのに。
それでも、私の家族はいつもと変わらずに受け止めてくれる。
それが、ただただ嬉しくて。
私は目の前にいるルドとレオンを力強く抱きしめる。
2人は何も言わずに抱きしめ返してくれて。
「僕も入れてもらおうかな。」
そう言ってジョーはレオン・ルドの後ろから私たち3人を包み込む。
本当にこの兄弟は温かくて憎めない。
3人の元にいると安心する。
私の居場所はここだと感じることができる。
閉じていた眼を開けば私たち兄弟を温かい目で見守る護衛の人たち。
皆、安心したように笑ってる。
笑うな!って言いたいけどさすがに言っちゃいけないのは私でもわかる。
「「「ぷっ!!くく、はははは!!!!」」」
3人が突然笑い出す。
え?え?
「思いっきり声に出てたよ、姉さま!!」
「相変わらずだなぁ。」
「リティと一緒だと飽きることはないだろうね。」
3人とも苦しそうにお腹を抱えてる。
あ、また声にでてたか。
「開き直ってますね、リティ様。」
護衛騎士まで苦笑してる。
私、そんなに変?
「あ、そういえばリティに聞きたいことがあったんだ。」
ジョーは何か思い出したのか、護衛騎士に目配せをする。
「あー、確かにリティに会わせないとな。」
レオンも納得したように頷いてる。
何か、めちゃくちゃやな予感がすんだけど。
護衛騎士に連れてこられたのは独りの青年。
体が小さくてまだ少年にも見える。
けど、彼は青年で間違いない。
「さて、リティに問題です。彼の年齢はいくつでしょうか。」
突然、変なこと言うな、ジョー。
「声に出てるよ、リティ。」
あ、やばい。
笑顔の裏ですごい怖い顔してる。
目が笑ってない。
「あはは~。」
乾いた笑顔で視線を逸らす。
「で、答えは?」
レオンが珍しく助け船を出した。
明日は嵐か?
「んだとぉ、も一回言ってみろ!!」
「姉さま!!」
あ、また声に出てたのね。
「答えは、10~13。」
もう、めんどくさくなって答える。
「何がめんどくさいだよ。」
ぶつぶつと言いながらレオンは離れていき、ルドとジョーは驚いたように私を見つめる。
「なんで、分かるんだよ。」
青年は、驚いたように私を見る。
長い髪から見える瞳はとても、綺麗だ。
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