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「えーと、リティは。とりあえず、平民で親がいない設定だよな。」
レオンが確かめるように呟いた。
「そうだ。出会ったきっかけは護衛騎士をまいて3人で歩いてたら暴漢に出くわし、
囲まれたときに突然現れて助けてくれた、だからな。」
ジョーが頷きながら言う。
それにしても
「まさか、護衛騎士を味方につけてるなんて思ってなかった。」
そう、ジョーはこの計画の為に護衛騎士をどうやってか知らないが味方につけていた。
「リティ様、疲れているのなら運ばせていただきますが。」
そっと後ろから声をかけられる。
「げ。いらないいらない。一人で大丈夫だから。」
私はそう言って先に前に進む。
「あ、姉さま待って!」
ルドが慌てて私の隣に並び手を繋いでくる。
あぁ、本当に小さくてかわいい。
「リティ、ルド。あまり先に行くな。本当に暴漢に会ったらどうすんだよ。」
レオンが慌てて私たちの所に来る。
「いや、レオンハルト坊ちゃんもですからね!?」
後ろ、騒がしいなぁ。
「「うっせぇ。」」
あ、レオンと同じこと言った。
二人してにやりと笑う。
「はぁ。二人とも、言葉遣いを直さないとなぁ。」
「姉さま、前まではそこまでひどくなかったのに。兄さまのが絶対うつってる。」
ため息をついてるジョーと頬をぷくーと膨らませているルド。
この兄弟、美形ばかりで疲れる。
「わかります、お嬢様。なぜかこの3兄弟むかつくことにみんなイケメンなんですよね。」
後ろで数人の男性騎士が頷いてる。
もしかして
「はい、また声に出てましたよ。姉さま。」
まじか。
考えていることが口にでるのは直さないとなぁ。
そんなことを考えていたら
『ひゅっ』
と風を切る音が聞こえ反射的にルドを抱え後ろに下がる。
「お嬢様、けがは!?」
私たち兄弟を守るように騎士の3人が囲んでくれる。
「ない!!」
私は来ていた上着をルドの頭に巻く。
少しでも顔を狙われないようにするために。
「おやまぁ、可愛い顔のお嬢ちゃんじゃねぇか。」
何、このしゃべり方。
「おい、他にもいるぞ。しかも全員美形だ。」
「まじかよ。全員売ったらどんだけ高い値がつくんだろうなぁ、楽しみだぜ。」
私たちを取り囲むように物陰から薄汚い男たちがでてくる。
・・・何人か、女性も混じってるし。
なるほどね。人身売買か。
呆れて笑うことしかできない。
「ね、姉さま。いかないよね?あんな怖い人たちと戦わないよね。ね?」
ルドが青い顔でそんなことを言ってくる。
そんな顔してその潤んだ瞳は頼むからやめてくれ。
「ごちゃごちゃ言ってないでいくぞ、リティ!」
そっと私と背中を合わせていたレオンが合図を送ってくる。
私はレオンの合図で騎士の後ろからばっとでて近くにいた、敵である女の人に斬りかかる。
「きゅああぁぁ!!!」
ちゃんと、足とか腕だから、命に別状はないでしょ。
ドクン。
赤い、血?
綺麗な赤。
もっともっと見たい。
「綺麗。」
うっとりとした声が口から出る。
あぁ、すごく楽しい。
ぞくぞくして、すごく快感を感じる。
ねぇ、もっと痛いって顔して?
もっともっと苦しんで?
もっと私を楽しませてよ。
そんな顔で見てる暇あるなら攻撃してこないと死ぬよ?ww
もっと綺麗な赤を私に見せて。ね?ww
「リティ!我を忘れるな!!」
ジョーの声が聞こえて快楽がすーっと消える。
あ、れ。
何してるんだろう、私は。
気が付いたら剣には赤い雫がしたたり落ちていた。
上に振り上げた剣を力なく下す。
「ねえ、さま?」
ルドの声が震えてる。
「服が・・・どこかけがしてない?痛いところは?」
ルドが青い顔で私の所に走ってくる。
それがどこか儚くて。
直感的にこれ以上近づいてはいけない気がする。
一歩一歩後ずさりながら私はこの状況を考える。
あの快感は何?
あの心地よさは。
今まで感じたことのなかった満たされたのは。
何、何がどうなってんの。
「「「リティ!!/姉さま!!」」」
気が付いたら私は耳をふさいで走っていた。
怖い、怖い!!
いつか、自分の手で。
あの可愛い弟の笑顔を。
やさしくて暖かい兄の笑顔を。
私に喧嘩を売ってくるイラつくけどずっと隣で戦える笑顔を。
壊してしまうかもしれない。
奪ってしまうかもしれない。
そんな未来が来てしまいそうで。
私は走った。
恐ろしいありえるかもしれない未来から逃げるために。
大切な人を傷つけないように。
ただ、ひたすら走り続けた。
レオンが確かめるように呟いた。
「そうだ。出会ったきっかけは護衛騎士をまいて3人で歩いてたら暴漢に出くわし、
囲まれたときに突然現れて助けてくれた、だからな。」
ジョーが頷きながら言う。
それにしても
「まさか、護衛騎士を味方につけてるなんて思ってなかった。」
そう、ジョーはこの計画の為に護衛騎士をどうやってか知らないが味方につけていた。
「リティ様、疲れているのなら運ばせていただきますが。」
そっと後ろから声をかけられる。
「げ。いらないいらない。一人で大丈夫だから。」
私はそう言って先に前に進む。
「あ、姉さま待って!」
ルドが慌てて私の隣に並び手を繋いでくる。
あぁ、本当に小さくてかわいい。
「リティ、ルド。あまり先に行くな。本当に暴漢に会ったらどうすんだよ。」
レオンが慌てて私たちの所に来る。
「いや、レオンハルト坊ちゃんもですからね!?」
後ろ、騒がしいなぁ。
「「うっせぇ。」」
あ、レオンと同じこと言った。
二人してにやりと笑う。
「はぁ。二人とも、言葉遣いを直さないとなぁ。」
「姉さま、前まではそこまでひどくなかったのに。兄さまのが絶対うつってる。」
ため息をついてるジョーと頬をぷくーと膨らませているルド。
この兄弟、美形ばかりで疲れる。
「わかります、お嬢様。なぜかこの3兄弟むかつくことにみんなイケメンなんですよね。」
後ろで数人の男性騎士が頷いてる。
もしかして
「はい、また声に出てましたよ。姉さま。」
まじか。
考えていることが口にでるのは直さないとなぁ。
そんなことを考えていたら
『ひゅっ』
と風を切る音が聞こえ反射的にルドを抱え後ろに下がる。
「お嬢様、けがは!?」
私たち兄弟を守るように騎士の3人が囲んでくれる。
「ない!!」
私は来ていた上着をルドの頭に巻く。
少しでも顔を狙われないようにするために。
「おやまぁ、可愛い顔のお嬢ちゃんじゃねぇか。」
何、このしゃべり方。
「おい、他にもいるぞ。しかも全員美形だ。」
「まじかよ。全員売ったらどんだけ高い値がつくんだろうなぁ、楽しみだぜ。」
私たちを取り囲むように物陰から薄汚い男たちがでてくる。
・・・何人か、女性も混じってるし。
なるほどね。人身売買か。
呆れて笑うことしかできない。
「ね、姉さま。いかないよね?あんな怖い人たちと戦わないよね。ね?」
ルドが青い顔でそんなことを言ってくる。
そんな顔してその潤んだ瞳は頼むからやめてくれ。
「ごちゃごちゃ言ってないでいくぞ、リティ!」
そっと私と背中を合わせていたレオンが合図を送ってくる。
私はレオンの合図で騎士の後ろからばっとでて近くにいた、敵である女の人に斬りかかる。
「きゅああぁぁ!!!」
ちゃんと、足とか腕だから、命に別状はないでしょ。
ドクン。
赤い、血?
綺麗な赤。
もっともっと見たい。
「綺麗。」
うっとりとした声が口から出る。
あぁ、すごく楽しい。
ぞくぞくして、すごく快感を感じる。
ねぇ、もっと痛いって顔して?
もっともっと苦しんで?
もっと私を楽しませてよ。
そんな顔で見てる暇あるなら攻撃してこないと死ぬよ?ww
もっと綺麗な赤を私に見せて。ね?ww
「リティ!我を忘れるな!!」
ジョーの声が聞こえて快楽がすーっと消える。
あ、れ。
何してるんだろう、私は。
気が付いたら剣には赤い雫がしたたり落ちていた。
上に振り上げた剣を力なく下す。
「ねえ、さま?」
ルドの声が震えてる。
「服が・・・どこかけがしてない?痛いところは?」
ルドが青い顔で私の所に走ってくる。
それがどこか儚くて。
直感的にこれ以上近づいてはいけない気がする。
一歩一歩後ずさりながら私はこの状況を考える。
あの快感は何?
あの心地よさは。
今まで感じたことのなかった満たされたのは。
何、何がどうなってんの。
「「「リティ!!/姉さま!!」」」
気が付いたら私は耳をふさいで走っていた。
怖い、怖い!!
いつか、自分の手で。
あの可愛い弟の笑顔を。
やさしくて暖かい兄の笑顔を。
私に喧嘩を売ってくるイラつくけどずっと隣で戦える笑顔を。
壊してしまうかもしれない。
奪ってしまうかもしれない。
そんな未来が来てしまいそうで。
私は走った。
恐ろしいありえるかもしれない未来から逃げるために。
大切な人を傷つけないように。
ただ、ひたすら走り続けた。
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