僕らの姉弟は

古川優亜

文字の大きさ
上 下
9 / 19

しおりを挟む
「姉さま強い!」
ロザルド様がキラキラした目で私を見る。
「ルド、話は後だ。今はコイツラをどうにかしないと、いくら僕らが王族とはいえクリスティーナが危ないよ。」
ジョセフ様はそう言うと剣を構え直す。
「兄さん、どうする?数が多すぎるし、力の差が大きすぎる。」
レオンハルト様が小さく歯ぎしりしながら言う。
「呪われているくせに・・・!!!!!!!なめた真似しやがって。」
「別に誰かの真似してるわけではないし。おじさんをなめたら汚いし、しないよ?」
私は取り上げた短剣を持ち直す。
「ふざけやがって・・・。」
短剣を取り上げたおじさんは顔を手で抑えながら肩が震えていた。
「頼むから、挑発しないで。」
ジョセフ様が苦笑した。
「挑発してない。ただ、思ったことを伝えたまで。」
ていうか3人してその「困ったな」ていう顔やめて?
「ごちゃごちゃうるせぇ!!」
あ、無視していたら勝手に切れてる。
拳を振り上げて走ってくるし。
・・・馬鹿だな、この人。
私は振り上げられた拳を躱し短剣を足に突き刺す。
「うっ!!!」
前に倒れるおじさんを放っといて他のおじさんたちの相手をする。
私自身に向けられる剣とかを軽く躱しながら急所を狙う。
まさか、お母様から教わったことがこんなに役立つとは思わなかった。
数分後。
「これで全員かな?」
私が肩を動かしながら言うと3人の王子は口をぽかんと開けていた。
「姉さま、怪我してない?」
ロザルド様が私のところに走ってくると手を掴まれた。
「?怪我とかしてないけれど。私よりもこのおじさんたちを心配したほうがいいと思うよ。」
私がちらりと見てから言うとレオンハルト様が歩きながら
「確かに普通ならこのおっさんたちを心配するよな。でも今回は俺たちに関わらなければ良かったんだ。何をするのが得か馬鹿でもわかる。だから」
私の隣まで歩いてくると床に転がってるおじさんを足でつついて言った。
「俺たちは最高に強い家族ができたな。」
へらりと笑い、私よりも年下に見える。
「レオン、クリスティーナ!!話してる暇はないよ。早くここから逃げないと。」
ジョセフ様がカーテンやシーツを繋げながら言った。
「兄さま、もしかしてこれで下まで降りるの?ここ一応2階だよ?」
ロザルド様が私のスカートを引っ張りながら不安そうに言う。
「もう少し、太く結んだほうがいいよ。」
私はジョセフ様の隣で長いロープになったものに均等に結び目を作っていく。
「姉さままで・・・僕、降りれる自信ないからね!!」
ロザルド様はもうやけっぱちに言ってる。
こうやって見るとなんか可愛い。
「ところで、何してるんだ?なぜ、結び目を作る。」
レオンハルト様が私の隣にしゃがみ込みながら言った。
「こうやって結び目を作ると、足や手を結び目に引っ掛けることができるの。そうすれば、安全にしたまで降りれるし、安心でしょ。」
私は手を休めずに軽く説明し、余ったシーツを手に取る。
「ちょっと、我慢してて。」
シーツで私とロザルド様を結びつける。
「ね、姉さま!?」
「「クリスティーナ!!」」
驚いてる3人を放っといてロザルド様を背負い、ロープ片方をベットの足に結び付ける。
「私が下りた後に2人が下りてきて。運動神経はいいから私とこの子が落ちる心配はないから。安全性もかねて。それじゃぁ、また下でね。」
私はにこりと笑い窓からひらりと降りる。
すぐにロープをつかみ、少しづつ降りていく。
「ね、姉さま~。高いよ、寒いよぅ。」
耳元で泣かれるとうるさい。
でも、普通はこうだよね。
「大丈夫。ほら、目を開けて遠くを見てみなよ。すごくきれいだから。」
私はそう言って片手を離し指をさす。
「うわぁ。」
思わずといった感じで声が聞こえる。
太陽の光によってキラキラと青々とした緑が輝いている。
本当にきれい。
とりあえず、怖さを忘れてる今のうちに下りないと。
私はゆっくり丁寧に降りるのをやめて勢いよく降りる。
「ね、姉さまのばかーーーー!!」
後ろから叫び声が聞こえたのは無視した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜

月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。 だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。 「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。 私は心を捨てたのに。 あなたはいきなり許しを乞うてきた。 そして優しくしてくるようになった。 ーー私が想いを捨てた後で。 どうして今更なのですかーー。 *この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

命を狙われたお飾り妃の最後の願い

幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】 重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。 イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。 短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。 『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。

(完結)貴方から解放してくださいー私はもう疲れました(全4話)

青空一夏
恋愛
私はローワン伯爵家の一人娘クララ。私には大好きな男性がいるの。それはイーサン・ドミニク。侯爵家の子息である彼と私は相思相愛だと信じていた。 だって、私のお誕生日には私の瞳色のジャボ(今のネクタイのようなもの)をして参加してくれて、別れ際にキスまでしてくれたから。 けれど、翌日「僕の手紙を君の親友ダーシィに渡してくれないか?」と、唐突に言われた。意味がわからない。愛されていると信じていたからだ。 「なぜですか?」 「うん、実のところ私が本当に愛しているのはダーシィなんだ」 イーサン様は私の心をかき乱す。なぜ、私はこれほどにふりまわすの? これは大好きな男性に心をかき乱された女性が悩んで・・・・・・結果、幸せになったお話しです。(元さやではない) 因果応報的ざまぁ。主人公がなにかを仕掛けるわけではありません。中世ヨーロッパ風世界で、現代的表現や機器がでてくるかもしれない異世界のお話しです。ご都合主義です。タグ修正、追加の可能性あり。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

後宮の棘

香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。 ☆完結しました☆ スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。 第13回ファンタジー大賞特別賞受賞! ありがとうございました!!

処理中です...