僕らの姉弟は

古川優亜

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「姉さま、見てみて!!」
うるさい。
「妹にはこの色が似合うんじゃないかな?」
うざい。
「兄さん、そのドレスだとこの宝石がいいと思うぞ。」
だるい。
というか
「どうして私はアンタらに着せ替え人形状態なわけ!!」
私は我慢の限界と言わんばかりに叫んだ。
「姉さま、疲れちゃった?」
第三王子がスカートを軽く握られる。
ていうか
「どうしてあんたらはずっとついてくるわけ。」
城についてから一日のほとんどをこの3兄弟の誰かと過ごしている。
「3人で君を独り占めしたいからだよ。」
第一王子はしれっとそんな事を言いながら布を選んでる。
その言葉に第二王子も第三王子もうんうんと頷いている。
あほくさ。
私は第三王子に握られているスカートを引っ張る。
「うざい。」
強く睨みながら私に用意された部屋に入る。
マジでウザいあいつら。
何なのよ。
お母様以外の人に笑いかけてもらったことなんてない。
調子が狂う。
私はベットに横になろうと思って布団を持つ。
が。
「またなのね。」
ベットには蛇がいた。
この城に来てからあの3人がいつも一緒にいるから分かりやすい嫌がらせはなかった。
だけれどこんな風に地味で分かりにくい嫌がらせはある。
やっぱりあいつらも仲間じゃん。
ここは敵の城。
絶対に心を許してはダメ。
気を抜いてはダメ。
いつお母様みたいに殺されるか分からないから。
「姉さま、遊ぼう!!」
ベットに横になってたら第三王子が勢いよく私に抱き着いてきた。
「て、どうして蛇!?!?」
第三王子はシーツにくるまれてる蛇に驚いていた。
私は答えるのもめんどくさくてため息をつく。
「姉さま、けがはしてない!噛まれたりとか。」
第三王子は私の腕や足を勝手に確認する。
私は第三王子の首根っこを掴んで引きはがす。
「うざい、邪魔。」
「姉さま、手が少しあれてる!薬を塗らないと!!」
「・・・人の話聞けよ。」
私は第三王子の心配にほとほと嫌になる。
真剣な表情をして薬を塗る姿はどこか笑える。
「ねぇ。」
私が優しく話しかけると
「なに!姉さま!!」
第三王子は嬉しそうに恥ずかしそうにすぐに反応する。
私は優しく微笑みかけてみた。
キラキラと目を輝かせて私の言葉を待っている。
「いつまで演技を続けるの。」


「え?」
第三王子は笑ったまま固まる。
「あなたたちが私に優しくする必要はないでしょう。当ててあげようか、王妃の命令でしょ?よくもまぁ演技を続けられたよね。でも意味ないからもう二度と私に干渉してこないで。」
「ねえ、さま?」
私はベットの下に隠していた自分の荷物を持つ。
「それじゃぁ、さようなら。王子様。」
私の部屋は一階にある。
テラスに取り付けられてる柵を軽々と乗り越える。
「待って、姉さま!!」
後ろで私を呼ぶ声が聞こえるけれどそんなの知らない。
私はもともと住んでいたあのぼろい屋敷に向かって走る。
無駄に大きくて隙間風とか入ってくる。
虫や蛇だって普通に入って来る。
だけれど。
それでも私にとってお母様との大切な思い出の大事な家だから。
そして私はここにいてはいけない。
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