ただ、笑ってほしいだけ

古川優亜

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???side
真っ暗。
どこをどんなに歩いても暗くて寒い。
それなのに。
どうして、こんなにも明るくなるんだろう。
温かいんだろう。
私は、どうすればいいの??



シャーロットside
「王子様!!先輩!!」
私は大きな庭を走り回る。
「見てみて!!」
綺麗な花の壁をくるくる回りながら言うと
「危ないからやめろ。」
と、王子様が。
「本当に子供だな。」
小馬鹿にしたような感じで先輩が笑い、私は先輩の後ろに回り込み膝の裏を思い切り蹴る。
「~~~~!!!!!!」
体を小さく震わせながら先輩がしゃがみ込み王子様は
「いい加減仲良くなれよ、お前ら。」
と呆れたように私の頭を撫でてくれる。
温かい。
「シャーロット!!あとで、文字の綴り練習だ!!」
「鬼!!」
元気になった先輩とそんな他愛もない喧嘩をする。
それが私の毎日。




???side
「NO.3068。」
「はい。」
私はいつものように頭を下げる。
「計画は順調のようだな。」
目を閉じる。
次に来る痛みに備えて。
がっ!!!
思い切り横腹を蹴られて痛みに耐える。
声出すともっと蹴られる。
だから、どんなに痛くても泣かない。
声はださない。
なるべく早く起き上がって片膝をつく。
体はふらつかせない。
「次の計画に進めろ。」
「御意。」




シャーロットside
布団の中で寝てると部屋の扉がノックされた。
私とニコラス先輩はそっとベットから出る。
2人で頷きあい私はドアノブを握る。
私と反対側の壁にいるニコラスは箒を持っていて。
「誰ですか?」
私が震える声で言えば
「俺だ。」
と落ち着いた声が聞こえた。
思わずニコラスと顔を見合わせれば勢いよく扉を開く。
「王子様!!!」
「どうしたんですか?」
「お前ら、黙れ。」
「「はい、すみません。」」
とりあえず私のベットの上に座った王子様は私を膝に乗せる。
「お前らに相談があるんだ。あと、もう少ししたら俺はここを出ていこうと思う。」
「「え!?」」
「うるせぇ!!」
思わず大きな声を出した私とニコラス先輩の口を慌てて塞ぐ王子様。
小さな声で怒られた。
「どうしてですか?」
ニコラス先輩は焦ったように言い、私も頷く。
「俺の扱い知ってるだろ。で、シャロンは連れていくつもりだがニコラス、お前はどうする?」
「愛称付けたんですか!?しかも、普通に連れていくんですか!?」
「俺にはこいつが必要だからな。」
顎が外れそうなくらい先輩は口を開いていた。
「絶対に俺も行きます!!連れて行ってください!!!」
ニコラス先輩は食いつくように言った。
「もちろん、シャロも付いてくるよな?」
「うん!!!」
誰かに必要とされる。
それは、本当に嬉しいことで。
私は王子様と別れた後眠れなかった。
ずっとずっと。
一緒が良かった。
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