ただ、笑ってほしいだけ

古川優亜

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「シャーロット、危ないでしょ!!」
「重たいもの持つなら声をかけなさいっていつも言ってるでしょ!!」
先輩メイドに持っていたタオルを取られる。
「ほら、あっちに行ってな、邪魔!!」
「はい!!」
先輩、そんなツンデレじゃ、彼氏できませんよ~ww
言葉はひどいけどただ私を心配してくれてるだけ。
知ってるもん!!
5歳である私は、まだまだ小さくて力もない。
そんな私を先輩たちはいつも心配してくれる。
それが嬉しくて嬉しくて。
つい、笑ってたら「気持ち悪い。」ってこの前がちで引かれてた。
「あ!!!」
走ってたら勢いよくこけて。
・・・すごく痛い。
「うぅ。」
一生懸命泣くのをこらえていたら。
「おい。」
上から声が聞こえてびくりと体が反応する。
顔をあげるとそこには黒い髪の毛の赤い目の男の子がいた。
黒い髪が太陽の光に当たってどこか綺麗で。
息をのんでみていた。
男の子は何も言わずに行って流れた涙を手の甲で拭いていたら。
また、足音が聞こえてそっちを見るとさっきの男の子が走ってきて、私の前にしゃがみこむ。
何も言わずに膝の上の血をハンカチでそっと拭いてくれて。
ひんやりしてたから濡らしてきてくれたんだろうな。
綺麗に拭いてくれた後男の子は、胸の前に結んでた白いタオル?で足を縛ってくれた。
慣れた手つきをぼうっと眺めていたら、男の子は立ち上がって行ってしまった。
「あ!!」
慌てて男の子の後を追いかけるけどもうすでに見つからなくて。
「お礼、言いたかったのに。」
小さな声で呟いて自分の部屋に戻るために歩く。
(絶対、次、会ったらお礼を言うんだから!!)



「シャーロット、これを離れに持って行って。」
「はーい!!」
小さなお盆に乗ったスープを持って慎重に歩く。
そういえば初めて離れに行くな。
いつも、みんな『絶対に行ってはだめ!!』ってみんなが口をそろえて言ってたから。
少しだけワクワクするな。
母屋とは少し、いやかなり離れたところにある少しだけ小さなお家みたいなもの。
でも、貴族の家であることに変わりはなく結局大きいんだよね。
「あ、どこに持っていけばいいんだろう。」
離れについても持っていく部屋がわからずうろうろと歩き回る。
歩き回ったせいで少し疲れて近くにあった椅子に座る。
「てか、このスープ全然具がない。」
もはや、ただの汁だけ。
「ふぁ~あ。」
歩き回ったせいか眠くなってきて椅子の上で横になる。
「少しだけ。少ししたら起きよう。」
そう言って目を閉じると体が沈み込むように寝た。
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