光の姫巫女

古川優亜

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始まり

1 恐れを捨てて

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「綺麗になったことですし、そろそろ行きましょうか。」
ルイスは少女の髪の毛を乾かし終えると少女を抱っこしながら外に出た。
「僕とジークは行きたい場所があるんです。君にも来てほしい場所です。ついてきてくれますか?」
ルイスが前髪で隠れた少女のマリンブルーとサファイアの瞳をのぞき込みながら言った。
少女は小さく頷くとルイスの服の袖を掴む。
ジークとルイスは馬に乗ると少女を連れてどこかに駆け出した。


しばらく馬で走っていたら広い草原に出た。
「ほら、あのテントが僕たちの行く場所ですよ。」
ルイスは少女にテントを見せながら説明し始めた。
「テントに行けば美味しいご飯、食べれますから、もう少しだけ我慢してくださいね。」
ルイスは笑いながら言うとジークの方をみて
「出発しましょうか。」
「あぁ、だな!」
2人は馬を走らせる。
すると
ジークの頬すれすれに風魔法が通った。
すぐに異変に気付いた2人は後ろを振り返る。
「な!」
「あれは。」
大きな魔獣が何故か2人の後をついてくるように立っていた。
2人は慌てて魔獣の攻撃をよける。
「ジーク!」
「おう、任せとけ!!」
ルイスは少女を連れて魔獣から離れ、ジークがおとりになろうとするが
「何でそっちに行くんだ!?」
ルイスが離れようとするが魔獣はなぜかルイスの方に行く。
「くっ!馬ではここまでですか。」
ルイスは笑いながらも焦っていた。
(せめてこの女の子だけでも助けたい。)
ルイスは少女に微笑んだ。
少女はルイスの顔をずっとみており不思議そうに首を傾げる。
「大丈夫ですよ。貴方は僕とジークが守りますから。だからもう大丈夫。」
ルイスはそう言いながら少女の髪をそっと撫でる。
すると
『大丈夫だよ、私が守るから。』
ルイスの頭に声が響きわたり、ルイスは驚いた。
「え?」
そしてルイスが乗っている馬の周りが暗くなる。
「ルイス!!!」
ジークが叫ぶ。
すると少女の体から温かいピンク色の光が溢れだした。
光はルイスや馬、少女を守るように徐々に大きくなる。
魔獣の足は大きな光によって阻まれ態勢を崩した魔獣は大きな音を立てて倒れた。
「ルイス!女の子!大丈夫か?!」
ジークは青い顔で急いでくる。
「私は大丈夫です!しかし、女の子が!!!」
ルイスもジークに負けないくらいの青い顔で少女を見つめる。
少女の体は優しいピンク色の光に包まれ浮いていた。
「すげぇ、魔力。」
ジークが少女を見つめながら言った。
少女は自分自身を見ながら怯えている。
ルイスがそっと手を伸ばすと少女は怯えて離れる。
「・・・大丈夫ですよ。貴方の魔力で僕は傷つきません。だから、ほらおいで。」
ルイスは腕を広げ少女自ら来るように言う。
少女はガタガタと震えながらもルイスとジークをかわるがわる見ていた。
「んな顔すんな!俺もルイスもそんなにやわな体してねぇ。
 お前ひとりの魔力で俺たちがどうにかなるとでも思ってんのか?」
ジークは少女に力強く微笑む。
少女は決心したかのようにゆっくりとルイスとジークに抱き着いた。
するとさっきまで少女を包んでいた光が消え慌てて少女をジークがを抱きしめる。
「あっぶねぇ。」
ジークは小さな声で言うとルイスは
「安心して魔法を解いたんですね。」
と、嬉しそうに微笑んでいる。
少女も安心しているからか眠そうにあくびをしながらルイスとジークの服を掴んでいた。
「「・・・。」」
2人は無言でうなずくとルイスは少女の手をそっと離し自分のマントを少女に巻いた。
ジークは少女が眠りやすいようにお姫様抱っこをする。
―――――――――。
次に少女が目を覚ました時はテントの中だった。
少女はボーとしながらも辺りをきょろきょろと見ていた。
そしてさっと顔色が悪くなると怯えたように体全身が震え始める。
少女の周りを知らない男たちがいたのだ。
少女は今にも泣き出しそうな表情でルイスとジークを探している。
そして、2人がいないことに改めて少女が知ると少女の体はピンク色に光始めた。
「え、ちょ魔力が暴走してる!?」
「魔道具を付けてるのに!?」
「落ち着いて!!」
周りの男たちは少女の異変にすぐに気づき少女に魔法をかける。

『怖い!!!!』
頭に響いた声により少女にかけた魔法は解ける。
少女の体は徐々に浮きはじめもはや周りの音でさえ聞こえていなかった。



「これは・・・。」
ルイスとジークが戻ってきたころには少女の姿はぼんやりとしか見えなかった。
「あの少女がお前ら2人の言っていた子か?」
ルイスとジークの後ろから金髪の髪の気品にあふれた青年が立っていた。
2人が頷くと青年は何も言わずに少女に近づいた。
「!いけません!!」
周りが止めようとするが青年は聞く耳を持たずに少女を後ろからそっと抱きしめる。
「!!」
少女は体を小さくし、さらに光が強くなった。
銀色の光で青年の服はボロボロになり肌からも赤い血が滴り落ちている。
痛みに顔をゆがめながら青年は同じ言葉を少女にかけていた。
「大丈夫、大丈夫だよ。ここには君を傷つけるものはいない。ルイスとジークもあそこにいる。」
2人の名前を聞くと少女の体の震えが少し収まった。
青年は少女を抱きしめながら地面に膝をつく。
「ジョン様!!」
ルイスが近づこうとするとジークは慌てて止めた。
「今は近づかない方がいい!!」
「ですが・・・。」
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