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Past#3 一日-oneday-
Past#3 一日-oneday- 3
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シズさんのメモ用紙は警告レベル5段階中4。
でも彼はここに一日しかいないわけで。
その約束を彼が守るかどうかも信じきれないところがあって。
とはいえ、自分は高校を行かせてもらっている身分。
「学校、休んだのか」
その時、彼が短くそう聞いた。
知られたくなかったけど、今さら隠せるわけもなく頷く。
それに彼は少し眉を寄せる。クマを指摘した時同様、理解しがたいって表情。
「行ってこいよ」
「でも」
「ここにいる。……約束、したろ?」
そんなに信じられねぇ?
おどけて、なんなら小指でもかけるか。と彼は冗談(だと果てなく思いたい)冗談を口にする。
いや、その価値が分からない一般人相手に小指をかけられたって、それがどれほどの信用に値するのかさっぱり分からないんだけど。
しばしの沈黙の後、折れたのは自分。
「本当に居ますか」
「居る」
「安静にしてて下さいよ?」
「了解」
「絶対ですからね!?」
「信用、ねぇなぁ」
仕方ねぇか。呟きに大きく頷けば、また小さく笑われた。
そうして自分が離れを出るまで、彼はずっと笑っていたと思うけど、正直よく覚えがない。
最初はやっぱり今日も休もうと思ってた。
でも、こういう結論になってしまったのは、ひとえに沈黙に耐えられなくなったのと。
葛藤があった。
頭が言う。
本当は学校に行きたくないと。
でも体が全力で拒否するんだ。
近くには、居たくないと。
「恐怖に鈍いわけじゃねぇのな」
走る去る自分の背に彼がそう呟いていたなど、この時の自分が知るはずもない。
でも彼はここに一日しかいないわけで。
その約束を彼が守るかどうかも信じきれないところがあって。
とはいえ、自分は高校を行かせてもらっている身分。
「学校、休んだのか」
その時、彼が短くそう聞いた。
知られたくなかったけど、今さら隠せるわけもなく頷く。
それに彼は少し眉を寄せる。クマを指摘した時同様、理解しがたいって表情。
「行ってこいよ」
「でも」
「ここにいる。……約束、したろ?」
そんなに信じられねぇ?
おどけて、なんなら小指でもかけるか。と彼は冗談(だと果てなく思いたい)冗談を口にする。
いや、その価値が分からない一般人相手に小指をかけられたって、それがどれほどの信用に値するのかさっぱり分からないんだけど。
しばしの沈黙の後、折れたのは自分。
「本当に居ますか」
「居る」
「安静にしてて下さいよ?」
「了解」
「絶対ですからね!?」
「信用、ねぇなぁ」
仕方ねぇか。呟きに大きく頷けば、また小さく笑われた。
そうして自分が離れを出るまで、彼はずっと笑っていたと思うけど、正直よく覚えがない。
最初はやっぱり今日も休もうと思ってた。
でも、こういう結論になってしまったのは、ひとえに沈黙に耐えられなくなったのと。
葛藤があった。
頭が言う。
本当は学校に行きたくないと。
でも体が全力で拒否するんだ。
近くには、居たくないと。
「恐怖に鈍いわけじゃねぇのな」
走る去る自分の背に彼がそう呟いていたなど、この時の自分が知るはずもない。
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