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第一章
第33話 魔石レース②
しおりを挟む 下校時間が来る度、不良達は血眼になって俺を探していた。
柊から連絡が行ってるみたいで、俺と同じくらいの背丈の女子にまで、声をかけて顔を確認していた。
そんな緊迫した中、俺は友紀の護衛のお陰で、不良どもに声をかけられずに済んでいた。
ーー成り行きで友紀が護衛をする事になったけど……友紀がいるおかけで、不良に絡まれる事がなくてすごく助かる……
灯台もと暗しじゃないけど、仲間が匿っているだなんて誰も思わないみたいで、驚くほどすんなりと帰ることが出来た。
元々はいじめっ子といじめられっ子の関係だったけど、下校の度少しずつ喋っていくうちに、わだかまりみたいなのは少しずつ溶けていった。
物心付く前からの長い付き合いで、同じ思い出を共有してるのもあって、一緒にいると落ち着いてまるで家族や兄弟みたいな感覚だった。
いつの間にか気を使うことなく、自然に話せるようになっていた。
「明日、決勝戦見に行くんだろ?俺も護衛としてついて行ってもいいか?」
「友紀いるとすげぇ助かる。ヤンキー達ピリピリしてて……休み中でもなんかヤバそうだしな」
「あいつら欺く為にも、制服はやめて私服にしないか?莉奈の服あるんだろ?他にも違う服やウィッグとか、莉奈に借りてきたんだ」
手にぶら下げている大きな紙袋を、ヒョイっと持ち上げ見せてきた。
「その方が安全そうだな。陽人や征爾達にも、何着てくか連絡しねぇと」
「画像送るようだろ?俺が写真撮るよ。自撮りより人に撮って貰った方が、服装ちゃんと写るだろうし……柚希の家、上がってもいいか?」
「別に、良いよ。じゃあ、写真頼むな」
玄関の鍵を開け、友紀を部屋まで案内する。なんとなく友紀はキョロキョロして、落ち着かない様子だった。
「服とかわかんねーから、友紀適当に選んでよ」
「俺が?良いのか?」
「何照れてんだよ。誤魔化す為にも、あんま変なコーデで目立ってもマズイだろ。莉奈ちゃんがよく着てるような奴選べば、間違いなさそうだし。兄貴なら妹の趣味わかるだろ?」
「まあ……でも莉奈は女子って感じの、可愛い服が好きだからな……そういうの嫌じゃないか?」
「バレない為なら我慢するし。いいから、選んでよ」
「俺は……これが良いと思うんだけど……」
友紀が紙袋から取り出したのは、俺が想像してた以上に甘くて可愛らしい、フリルやリボンが付いた白地に花柄のミニのワンピースだった。
「えっ、ちょっ、何これ……友紀の趣味?」
「だから!莉奈の趣味だから、俺のじゃねぇって!」
「顔、すげー真っ赤だけど、図星なんだろ?友紀こういう女子の服が好きなんだ」
「違うし……いいから、早く着替えろよ」
照れまくる友紀をからかいながら、何気なくシャツを脱いだ。
ーーあっ…………!
友紀もそれに気付いて、気まずそうな顔になってる。
陽人に付けられた紫色になったキスマークが、まだ身体中に残っていた。慌てて脱いだシャツを着て痣を隠した。友紀は背中を向けて「見てねぇから、早く着替えろよ」って気遣ってくれた。友紀が後ろを向いてる間に、急いでワンピースに着替えた。
柊から連絡が行ってるみたいで、俺と同じくらいの背丈の女子にまで、声をかけて顔を確認していた。
そんな緊迫した中、俺は友紀の護衛のお陰で、不良どもに声をかけられずに済んでいた。
ーー成り行きで友紀が護衛をする事になったけど……友紀がいるおかけで、不良に絡まれる事がなくてすごく助かる……
灯台もと暗しじゃないけど、仲間が匿っているだなんて誰も思わないみたいで、驚くほどすんなりと帰ることが出来た。
元々はいじめっ子といじめられっ子の関係だったけど、下校の度少しずつ喋っていくうちに、わだかまりみたいなのは少しずつ溶けていった。
物心付く前からの長い付き合いで、同じ思い出を共有してるのもあって、一緒にいると落ち着いてまるで家族や兄弟みたいな感覚だった。
いつの間にか気を使うことなく、自然に話せるようになっていた。
「明日、決勝戦見に行くんだろ?俺も護衛としてついて行ってもいいか?」
「友紀いるとすげぇ助かる。ヤンキー達ピリピリしてて……休み中でもなんかヤバそうだしな」
「あいつら欺く為にも、制服はやめて私服にしないか?莉奈の服あるんだろ?他にも違う服やウィッグとか、莉奈に借りてきたんだ」
手にぶら下げている大きな紙袋を、ヒョイっと持ち上げ見せてきた。
「その方が安全そうだな。陽人や征爾達にも、何着てくか連絡しねぇと」
「画像送るようだろ?俺が写真撮るよ。自撮りより人に撮って貰った方が、服装ちゃんと写るだろうし……柚希の家、上がってもいいか?」
「別に、良いよ。じゃあ、写真頼むな」
玄関の鍵を開け、友紀を部屋まで案内する。なんとなく友紀はキョロキョロして、落ち着かない様子だった。
「服とかわかんねーから、友紀適当に選んでよ」
「俺が?良いのか?」
「何照れてんだよ。誤魔化す為にも、あんま変なコーデで目立ってもマズイだろ。莉奈ちゃんがよく着てるような奴選べば、間違いなさそうだし。兄貴なら妹の趣味わかるだろ?」
「まあ……でも莉奈は女子って感じの、可愛い服が好きだからな……そういうの嫌じゃないか?」
「バレない為なら我慢するし。いいから、選んでよ」
「俺は……これが良いと思うんだけど……」
友紀が紙袋から取り出したのは、俺が想像してた以上に甘くて可愛らしい、フリルやリボンが付いた白地に花柄のミニのワンピースだった。
「えっ、ちょっ、何これ……友紀の趣味?」
「だから!莉奈の趣味だから、俺のじゃねぇって!」
「顔、すげー真っ赤だけど、図星なんだろ?友紀こういう女子の服が好きなんだ」
「違うし……いいから、早く着替えろよ」
照れまくる友紀をからかいながら、何気なくシャツを脱いだ。
ーーあっ…………!
友紀もそれに気付いて、気まずそうな顔になってる。
陽人に付けられた紫色になったキスマークが、まだ身体中に残っていた。慌てて脱いだシャツを着て痣を隠した。友紀は背中を向けて「見てねぇから、早く着替えろよ」って気遣ってくれた。友紀が後ろを向いてる間に、急いでワンピースに着替えた。
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