「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太

文字の大きさ
31 / 40
第一章

第31話 新・みんなのたまり場

しおりを挟む
 その日、いつものようにカオスねこ団本部という名の僕たち三人のたまり場へ向かうと、応接室のテーブルの上に一通の僕宛ての封筒が置いてあった。怪訝に思いつつも、中を確認してみると、そこにはセネリーからの手紙が入ってあった。

『ユイトへ
 カオスねこ団本部は移転したよ!
 新しい住所はここ↓ね!
 住所 エリュシウス ◯◯区 ◯◯通り ◯◯番地
 じゃあ新しい本部でミサキと一緒に待ってるから!

 貴方のセネリーより(キャ~♡)』

(…………え、なにこれ……)

 というか何が貴方のセネリー(キャ~♡)だよっ! こっちの方が恥ずかしくなるんですけど! 僕は心の中でツッコミを入れつつ、現在の状況を整理する。……えーと、どうやらカオスねこ団本部はクランマスターの僕の同意はもちろん事前連絡もなく、いつの間にか新しい場所へと引っ越してしまったということらしい。

 ……ほんとセネリーと一緒だと毎日飽きなくていいなぁ。

 僕はセネリーに指定された住所に向かうために部屋を出た。


「うーん、この通りのはずだけど………………げっ」

 僕はセネリーに指定された住所がある通りまでやってくると、すぐに新しいクラン本部がどの建物かわかった。なぜなら、そこには見るからに周りから浮いている何やら大きな酒場のような建物が建っていたからだ。外観的には現代で言うところの西部劇に出てきそうな酒場だった。

 そして、入り口の上にはでかでかと『カオスねこ団本部』と書かれた看板が掲げられていて、さらには何やら変なねこのような絵まで描かれていた。はっきり言って目立ちまくりだ。

 僕は何がどうなっているのかよくわからないまま建物のドアを開ける。すると、建物の一階は大きなラウンジのようになっていて、奥にはバーのようなものがあり、手前にはいくつかのテーブルやソファがあった。雰囲気はもう完全に酒場のそれだった。

「お、ユイト! ようやく来たね! ちょっと新しく建ててみたんだけどさ、どうこのデザイン? いいでしょ!」

 近くのテーブルに座って何やら魔導具の手入れをしていたセネリーが僕に話しかけてくる。

「……あのさ、これどういうこと? ちゃんと説明して欲しいんだけど」

 僕はそうセネリーに言った。

「ん? だから新しく建てたんだよ。やっぱり前のやつだとさ、ちょっと手狭だしクラン本部って感じしないでしょ? こっちのほうが広いし断然クランって感じがするかなと思って。……あ、も、もちろん別に私がもっと広い研究室を欲しいからとかそういう理由で新築したわけじゃないよ?」

 ……最後のセリフにセネリーの本音がだだ漏れだなと僕は思った。

「……ミサキは賛成したの?」

「ミサキなら『別にこれでも構わないし、むしろ広くなっていい』って言ってたよ。さすがミサキ、物わかりいいよね」

 セネリーはそう言った。きっとミサキはあんまり興味がないんだろうと僕は思った。

「二階にはクランマスターである君の部屋もあるし、隣には副クランマスターであるミサキの部屋もある。あと数部屋空きがあるかな。それでそこの階段は地下にある私の研究室へと続いているんだ」

 セネリーはそう言うと、地下の研究室に続いているという階段の方に顔を向けた。

「ま、そんな感じ。……あ、あと新築お祝いってことでネフィも呼んでおいたよ。ほらあそこ」

 セネリーがそう言ってバーの方を向くと、そこにはネフィの姿があった。ネフィは僕の姿に気づくと、ひらひらと軽く手を振る。僕はとりあえずネフィに挨拶するためにネフィの方へと歩いていった。

「や、やぁネフィ。……げ、元気?」

「元気だよ」

 ネフィはやや気だるげにそう返事をした。

「わざわざ来てもらってごめんね。僕も事前に知らされてなくてさ」

「別にいいよ。私も暇だったし」

「そ、そう? それならいいけど……」

 僕がそう言うと、ネフィは目の前のカップへと手を伸ばし、中に入った紫色の液体に口をつけた。その液体からは何とも形容しがたい香りが漂ってくる。……お茶か何かだろうか。

 僕がその液体を見て少し怪訝な表情をしていると、ネフィは言った。

「これね、私特製のハーブティーなんだ。飲むと心が安らいですごくリラックスできるの。たまにそこにあるはずがないものも見えたりもしてね……すごく楽しいよ。……ユイトも飲んでみる?」

「い、いや今はいいかな……」

 僕はやんわりと断った。……ネフィはさらっと言ったけど、あるはずがないものが見えるってそれ幻覚じゃない? 大丈夫?

「そう? 別に変なものは入ってないんだけどな……。まぁ新築祝いということでたくさん持ってきたから後で飲んでね」

 ネフィはそう言って隣の席に置いてあった箱を持ち上げてみせた。中には紫色の粉末状の粉がいっぱいに入っていた。僕は少し顔を引きつらせつつも「あ、ありがとう……」と言った。

「そ、そういえばミサキがどこにいるか知らない?」

「ミサキなら二階にいると思うよ。君の部屋も二階にあるんだっけ? ついでに見にいったら?」

「そ、そうしようかな」

 僕はそう答えて、二階へ上がる階段へと向かった。


 二階に上がると、ちょうど部屋から出てきたミサキに出くわした。

「あ、ユイト。……どう? 驚いたでしょ」

 ミサキは開口一番にそう言った。

「えっと、驚いたってレベルじゃないんだけど……。いきなりクラン本部の移転なんて聞いてないよ。しかも相談とか事前連絡もなかったし」

「私もびっくりしたわ。でもまぁ部屋とかは前よりも相当広くなってるし、悪くはないと思う」

「それはいいけど……費用はどうしたの? もしかしてクランのお金使った?」

 僕はそうミサキに尋ねた。クラン用のお金は魔石を売却したときなどに、その都度差し引いて貯めるようにしていた。そして、クラン用のお金の管理担当はミサキだった。とてもじゃないけど、セネリーにお金の管理を任せるわけにはいかなかった。

「一切使ってないわ。今回のクラン本部の建造は全てセネリーの私費によるものね。これだけの建物となると相当費用がかかっただろうから、セネリーにどうやって資金を捻出したのか聞いてみたんだけど、そしたら、なんかパパから出してもらったって」

「ぱ、パパ!?」

「そう、パパ……。詳しくは教えてくれなかったけど、多分セネリーってすごいお金持ちの家の生まれだと思う」

 ミサキはそう言った。セネリーの家族に関しては、僕は以前にセネリーに何気なく聞いてみたことがあったけど、そのときははぐらかされてほとんど何も教えてくれなかった。しかし、ここに来てまさかセネリーパパが建物の建造費用を全額出していたとは……。

 僕はいつかセネリーパパにお礼を言いに行かないとと思った。

しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク 普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。 だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。 洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。 ------ この子のおかげで作家デビューできました ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

嫁に来た転生悪役令嬢「破滅します!」 俺「大丈夫だ、問題ない(ドラゴン殴りながら)」~ゲームの常識が通用しない辺境領主の無自覚成り上がり~

ちくでん
ファンタジー
「なぜあなたは、私のゲーム知識をことごとく上回ってしまうのですか!?」 魔物だらけの辺境で暮らす主人公ギリアムのもとに、公爵家令嬢ミューゼアが嫁として追放されてきた。実はこのお嫁さん、ゲーム世界に転生してきた転生悪役令嬢だったのです。 本来のゲームでは外道の悪役貴族だったはずのギリアム。ミューゼアは外道貴族に蹂躙される破滅エンドだったはずなのに、なぜかこの世界線では彼ギリアムは想定外に頑張り屋の好青年。彼はミューゼアのゲーム知識をことごとく超えて彼女を仰天させるイレギュラー、『ゲーム世界のルールブレイカー』でした。 ギリアムとミューゼアは、破滅回避のために力を合わせて領地開拓をしていきます。 スローライフ+悪役転生+領地開拓。これは、ゆったりと生活しながらもだんだんと世の中に(意図せず)影響力を発揮していってしまう二人の物語です。

【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。 そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。 【第二章】 原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。 原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。

みそっかす銀狐(シルバーフォックス)、家族を探す旅に出る

伽羅
ファンタジー
三つ子で生まれた銀狐の獣人シリル。一人だけ体が小さく人型に変化しても赤ん坊のままだった。 それでも親子で仲良く暮らしていた獣人の里が人間に襲撃される。 兄達を助ける為に囮になったシリルは逃げる途中で崖から川に転落して流されてしまう。 何とか一命を取り留めたシリルは家族を探す旅に出るのだった…。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

社畜の異世界再出発

U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!? ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。 前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。 けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

処理中です...