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「いえ……宗助さんからどうぞ、」
「……………いや、何でもない…」
「そうですか……」
先程から喜介は話そうとしているが、まだ下を俯いたままで膝に置いている拳をギュッと力強く握り締めていた。
俺は、その手を見つめた。そして、やっと決心が着いたのか喜介は顔を勢いよくあげ俺を見つめる。
「宗助さんを不安にさせてしまい、すいませんでした。」
「………なんの事だ」先程まで眠気に襲われていたが、喜介の一言で完全に目が冴えた。わざと惚けると、喜介はすかさず言葉を繋いだ。
「昼頃に、菊助さんが道場に来たんです。」
「………。」
「それで…噂は本当なのかと尋ねられました。僕は噂が何なのか全く知らず、聞き返したんです。」
「…そうか……」
「はい。……吉原へ行って遊女と戯れているという話を聞いた時、僕は焦ったんです。」
焦った?……なんでだ?と思わず口から出ようとしたが、言うのを辞めた。
「吉原へ行っているのは事実ですが、遊女と戯れたりなどはしていません。信じて下さい!」と言うと、突然俺に詰め寄り、手をガシッと握ってきた。あまりの勢いに押されそうになるが、俺はぐっと堪えた。
「じゃ…………じゃぁ、何しに行ってたんだ?」
「最近、遊女たちを狙って襲う輩がいるので助けてほしい…と言われたんです。それが昨日やっと方が付いたんです。」
「……大変だったんだな…」
「宗助さんは信じてくれますか?」と力強い目で見られ、俺は頷いた。そして、バッと思い切り喜介が俺に抱き着いてきた。
吉原でそんな事があったのか……。噂を丸呑みにして俺は、とんだ勘違いをしてたんだな。と頬を赤く染めながら、反省をした。俺も、喜介に謝らないとな…。
「喜介、こっちこそごめんな… 」
「何がですか?」俺の胸に顔を埋めながらそう聞き返してきた。
「俺…出回っている噂を信じてしまっていたんだ。喜介に直接聞こうとしたんだが、その噂が本当だったらどうしようという不安で胸が苦しかった。告白の返事をもみ消そうとまでした。」
「………………。」
「喜介の事を忘れようとしたんだがな、ダメだったみたいだ。ふとした瞬間に喜介の顔が思い浮かんでしまうんだ。苦しくなるどころが胸が高鳴るんだ。病気だな……」苦笑交じりに喜介に伝えると、喜介は俺からすっと離れた。
そして、「今の話を聞いてる限り……宗助さんも僕のこと好きってことですか…………?」と顔を真っ赤にさせながらそう聞いてきた。
「はぁ?」と答え、先程自分が発していた言葉を思い返す。
「ッ////////////////////」一瞬で頬が熱く染まり、慌てて下を向いた。
「宗助さんそうなんですか??」としつこく聞いてくる喜介に俺は「ち……違う!///////////////」と言い返した。
「……………いや、何でもない…」
「そうですか……」
先程から喜介は話そうとしているが、まだ下を俯いたままで膝に置いている拳をギュッと力強く握り締めていた。
俺は、その手を見つめた。そして、やっと決心が着いたのか喜介は顔を勢いよくあげ俺を見つめる。
「宗助さんを不安にさせてしまい、すいませんでした。」
「………なんの事だ」先程まで眠気に襲われていたが、喜介の一言で完全に目が冴えた。わざと惚けると、喜介はすかさず言葉を繋いだ。
「昼頃に、菊助さんが道場に来たんです。」
「………。」
「それで…噂は本当なのかと尋ねられました。僕は噂が何なのか全く知らず、聞き返したんです。」
「…そうか……」
「はい。……吉原へ行って遊女と戯れているという話を聞いた時、僕は焦ったんです。」
焦った?……なんでだ?と思わず口から出ようとしたが、言うのを辞めた。
「吉原へ行っているのは事実ですが、遊女と戯れたりなどはしていません。信じて下さい!」と言うと、突然俺に詰め寄り、手をガシッと握ってきた。あまりの勢いに押されそうになるが、俺はぐっと堪えた。
「じゃ…………じゃぁ、何しに行ってたんだ?」
「最近、遊女たちを狙って襲う輩がいるので助けてほしい…と言われたんです。それが昨日やっと方が付いたんです。」
「……大変だったんだな…」
「宗助さんは信じてくれますか?」と力強い目で見られ、俺は頷いた。そして、バッと思い切り喜介が俺に抱き着いてきた。
吉原でそんな事があったのか……。噂を丸呑みにして俺は、とんだ勘違いをしてたんだな。と頬を赤く染めながら、反省をした。俺も、喜介に謝らないとな…。
「喜介、こっちこそごめんな… 」
「何がですか?」俺の胸に顔を埋めながらそう聞き返してきた。
「俺…出回っている噂を信じてしまっていたんだ。喜介に直接聞こうとしたんだが、その噂が本当だったらどうしようという不安で胸が苦しかった。告白の返事をもみ消そうとまでした。」
「………………。」
「喜介の事を忘れようとしたんだがな、ダメだったみたいだ。ふとした瞬間に喜介の顔が思い浮かんでしまうんだ。苦しくなるどころが胸が高鳴るんだ。病気だな……」苦笑交じりに喜介に伝えると、喜介は俺からすっと離れた。
そして、「今の話を聞いてる限り……宗助さんも僕のこと好きってことですか…………?」と顔を真っ赤にさせながらそう聞いてきた。
「はぁ?」と答え、先程自分が発していた言葉を思い返す。
「ッ////////////////////」一瞬で頬が熱く染まり、慌てて下を向いた。
「宗助さんそうなんですか??」としつこく聞いてくる喜介に俺は「ち……違う!///////////////」と言い返した。
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