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「んー、まずなー媚薬や張形、長命丸は四ツ目屋で売られている大人の玩具なんだ。」
「へぇー、」
「俺も使わせてもらってるが、媚薬はいいぞ~!」
「そんなにいいのか……?」
「あぁ!媚薬を使うと、体が火照り始めて、欲求が生まれてくるんだ。そしたら、体がどんどん熱くなり我慢が出来なくなる。相手に触られると体全部が敏感になり、自然と声が漏れる。……宗介の美しい声聴いてみたいなぁー」と変態じみたことを言う菊助。
「そんなに凄いのか?」と媚薬に興味を持ち、菊助に尋ねた。
「あぁ!喜介とやっているとこを想像してみろ」と耳元で言われ、俺はドキッとした。
「媚薬を飲んだ宗介は徐々に体が火照り始め、喜介に自分のを触って欲しいという欲求に駆られてしまう。宗助の要求に答えようと喜介は宗助のモノを触るー、するとどこもかしこも敏感になっている宗助の体はビクビクと腰が動いてしまう。恥ずかしくて喜介の傍を離れたいのに上手く力が入らない。その姿に興奮した喜介は宗助の唇を優しく貪るように啄む。口中に喜介の舌が侵入し、宗助の舌を愛おしそうに絡めるー。」とそこまで言うと、菊助は俺の耳から離れた。
「どうだ?想像出来たか?」と悪戯っぽく言ってきた。
「…………」俺は、下を俯く。
何も話さない俺に菊助は「どうしたんだ?」と聞いてきた。
「菊助の話はとても想像しやすかったし、興奮した。」
「おー、そうか!ありがとうな!」と照れ臭そうに菊助は笑った。
「だが、もう喜介とは会わないだろう……」
「なんでだ?」
「噂知ってるだろ?喜介が吉原に出入りしていると……」
「それは…ただの噂だろ?」
「噂でも…だ。喜介は武士で俺はただの平民だ。喜介だって欲みたいなのは溜まるだろうし、第一男を好きになるわけないだろ。」
「……」
「女に飽きて俺を好きになったのなら、その気持ちはそろそろ冷める頃だろ。」
「随分と自分を卑下するんだな。」
「俺には魅力が何も無いからな…」
自然と会う回数を減らせば、喜介の気持ちも冷めていくだろう。それでいいはずなのに…胸が締め付けられる。
「宗助!」
そう呼ばれ、菊助に顎をクイッと持ち上げられる。何かに対して怒っているようだった。
「自分を卑下するのはやめろ!!宗助には親から受け継いだ魅力的なものが沢山ある!!喜介が信じられないか?喜介のこと、好きじゃなくなったのか?」そう問い詰められ、俺は口を閉ざした。
「もし仮に、喜介が宗助の事好きじゃなく、欲求で抱いてただけなら俺は、喜介を殺すかもな。」
「……物騒だな…。」
「当たり前だろ。宗助が自分の魅力を卑下するほど悩んでいるのに、喜介は悠々と吉原で遊んでいると思うと腹立たしい。」
「まだ、分からないんだぞ?」
「…もしもの話だよ」
「………………」
「ん……真実を確かめに行ってくる」と言うと、菊助はスッと立ち上がった。
「真実って…………?」と尋ねてみると、菊助は俺の頭をわしゃわしゃと優しく撫でると静かに微笑んだ。
「じゃ、俺はそろそろ帰るな…」と言うと、菊助は出て行った。
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