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「心配かけたな…」と顔をうずめた一之介に俺は、謝った。
「宗介、すまなかったな。」と突然浅黄さんに謝られ、俺は混乱した。
「何がだ…?」
「最後まで看病したかったんだが、所用もあって最後までは看れなかったからな…悪いとは思ってる。」
「そんな…、浅黄さんのせいじゃない。俺の自己管理が悪かったんだ」といい、浅黄さんを安心させる。そして、軽く微笑む。
「俺、帰るな…話の邪魔して悪かったな…」といい、喜介と離れる為、家に帰ることにした。
「大丈夫か…?」と浅黄さんに心配されたが俺は、平気と答えた。
「俺が宗介の家まで送っていこうか?」と一之介に言われたが俺は断った。
「じゃぁ喜介、宗介を家まで送っていってくれ」と浅黄さんから言われ、俺は戸惑った。
「わかりました!」と笑顔で浅黄さんに返事をする喜介。
「いっ…いや…浅黄さん、俺は一人で帰るよ」と言うが、「いーや駄目だ!また、知らない輩に絡まれたらどうするんだ?」
「うっ……」俺は浅黄さんのその言葉に何も返せなかった。
「頼むぞ、喜介」と浅黄さんは、喜介の方を向き肩をポンと叩いた。
「分かりました」と喜介が再度返事をする。
「行きましょう、宗介さん」と俺の前に出てきた喜介と一瞬だけ目が合った。
それに俺は、慌てて目を逸らした。
そして「あ、あぁ…」と喜介に返事をすると、俺は家に帰る為、喜介と道場を出た。
「………」
「………」
道場を出て、数分程経つがお互い何も喋らない。
喜介は、昼頃の賑やかな江戸の町をキョロキョロと見渡して、子供達が遊んでいるのを見かけては微笑んでいた。
「………」
俺は、喜介の事を信じたいと思う。だが、吉原に出入りしているというのは本当みたいだった。道場に行く道を歩いている時、茶屋に座っていた男達が話しているのを耳にした。
ショックだった…。好きだと言ってきた奴がまさか吉原に出入りしているとは。俺がなかなか返事を出さない事にしびれを切らして吉原へ行ったのではないか。
俺だって、こんなひとりの男に高ぶる様な気持ちは初めてなんだ…。だから、喜介は返事を待っていてくれると勝手に思い込んでいた。俺は、チラリと隣を歩く喜介の方を見た。喜介は何事も無かったかのように微笑んでいた。
「っ………」俺は、唇を強く噛んだ。こんな苦しく切ない気持ちになるんだったら、2度と恋なんてするか…。と心に決めた。
そして、家に着くと喜介は「明日も道場に来ますよね?」と聞いてきた。
「明日は……来れない」と顔を俯けたまま、喜介に返事をした。
「そうですか…」と喜介がシュンと寂しそうな顔をしたのが分かった。
「次は、いつ頃来れますか?」と更に聞いてくる喜介に俺は、「分からない。」と答えて、喜介を外へ残したまま、俺は家の中へ入った。
「宗介、すまなかったな。」と突然浅黄さんに謝られ、俺は混乱した。
「何がだ…?」
「最後まで看病したかったんだが、所用もあって最後までは看れなかったからな…悪いとは思ってる。」
「そんな…、浅黄さんのせいじゃない。俺の自己管理が悪かったんだ」といい、浅黄さんを安心させる。そして、軽く微笑む。
「俺、帰るな…話の邪魔して悪かったな…」といい、喜介と離れる為、家に帰ることにした。
「大丈夫か…?」と浅黄さんに心配されたが俺は、平気と答えた。
「俺が宗介の家まで送っていこうか?」と一之介に言われたが俺は断った。
「じゃぁ喜介、宗介を家まで送っていってくれ」と浅黄さんから言われ、俺は戸惑った。
「わかりました!」と笑顔で浅黄さんに返事をする喜介。
「いっ…いや…浅黄さん、俺は一人で帰るよ」と言うが、「いーや駄目だ!また、知らない輩に絡まれたらどうするんだ?」
「うっ……」俺は浅黄さんのその言葉に何も返せなかった。
「頼むぞ、喜介」と浅黄さんは、喜介の方を向き肩をポンと叩いた。
「分かりました」と喜介が再度返事をする。
「行きましょう、宗介さん」と俺の前に出てきた喜介と一瞬だけ目が合った。
それに俺は、慌てて目を逸らした。
そして「あ、あぁ…」と喜介に返事をすると、俺は家に帰る為、喜介と道場を出た。
「………」
「………」
道場を出て、数分程経つがお互い何も喋らない。
喜介は、昼頃の賑やかな江戸の町をキョロキョロと見渡して、子供達が遊んでいるのを見かけては微笑んでいた。
「………」
俺は、喜介の事を信じたいと思う。だが、吉原に出入りしているというのは本当みたいだった。道場に行く道を歩いている時、茶屋に座っていた男達が話しているのを耳にした。
ショックだった…。好きだと言ってきた奴がまさか吉原に出入りしているとは。俺がなかなか返事を出さない事にしびれを切らして吉原へ行ったのではないか。
俺だって、こんなひとりの男に高ぶる様な気持ちは初めてなんだ…。だから、喜介は返事を待っていてくれると勝手に思い込んでいた。俺は、チラリと隣を歩く喜介の方を見た。喜介は何事も無かったかのように微笑んでいた。
「っ………」俺は、唇を強く噛んだ。こんな苦しく切ない気持ちになるんだったら、2度と恋なんてするか…。と心に決めた。
そして、家に着くと喜介は「明日も道場に来ますよね?」と聞いてきた。
「明日は……来れない」と顔を俯けたまま、喜介に返事をした。
「そうですか…」と喜介がシュンと寂しそうな顔をしたのが分かった。
「次は、いつ頃来れますか?」と更に聞いてくる喜介に俺は、「分からない。」と答えて、喜介を外へ残したまま、俺は家の中へ入った。
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