男に好かれすぎて困ってます！！！

25

そこから、しばらく俺と喜介は庭を眺めているとー
「宗介ぇー！！！」と聞き慣れた声が、勢いよく俺の家の戸を叩く。
 俺は、立ち上がり、庭から戸へ行くと見覚えのある顔がいた。
「……一之介！？」
俺は、思わず大声を上げてしまった。
俺の声に反応した、小柄な男がバッとこちらを見た。
そして、「宗介ぇぇぇ！！！」といい、俺の懐へ飛び込んだ。
 体勢を崩しそうになったが俺は、耐えた。
「宗介会いたかったー！」
「一之介、久しいな！！元気にしてたか？」
「僕は元気にしてたよ！！宗介は元気にしてた？」
「あぁ！浅黄さんも会いたがっていたしな。」
「ほんと！！？！」
「あぁ」と返事をし、俺は、一之介の頭をわしゃわしゃと撫でた。


「あの……宗介…さん、」と後ろから名前を呼ばれ、俺は、喜介がいることをすっかり忘れていた。
「あ…あぁ、どうした？喜介」
「その人は？」
「あぁ、こいつは一之介だ。浅黄さんの道場の弟子だ。昔は、よく飲みに行く仲だったんだ。」
「そうなんですか、」と喜介が静かに頷いた。

「なぁなぁ！宗介！！」
一之介から名前を呼ばれ、俺は、前へ顔を向ける。
「どうしたんだ？」
「久々に二人で話したい！！宗介に話したいことがたくさんたるんだ！！」といい、ニコッと笑顔を向けた。
「あ、あぁ。分かった。」と返事をし、俺は、喜介に「喜介、悪いが一之介と二人で話したいんだ。だからー」
「分かりました。僕も、少し仕事を残しているので、お邪魔します。」と微笑んで、そそくさと帰った。


「縁側で話すか？それともー」
「縁側で話すよ！」といい、一之介は俺の手を握り縁側まで引っ張った。

 縁側へつくと、一之介は俺の手を離し、よいしょと座った。
「大阪から江戸への長旅お疲れさん、」と言うと、一之介はうん！と大きく頷いた。
「なぁ、疲れているところ悪いんだがー」
「宗介の父母ふぼ様の事？」と俺が聞きたい事を、一之介に言い当てられて俺は、こくりと頷いた。
「寝込んではいたけど、元気だったよ！宗介の事ばかり気にしていたよー」
「そうか…。」
ひとまず、母さんや父さんが元気だった事に安心した。
「安心した？」
「あぁ、俺が行けない間の看病ありがとうな。」と言うと、一之介は「これくらい朝飯前だよ！」と言って、俺の心を和ませた。
「ところで、江戸に来てから少しだけ喜介って奴の噂を聞いたんだがー」と突然、一之介の声が小さくなり、俺は？？？と首を傾げた。
「どんな噂なんだ…？」
 俺は、喜介の噂が気になり、一之介に近づいた。

「実はーー……」