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喜介に耳元で囁かれ、俺の身体はゾクリとした。
 俺は慌てて、両耳を手で塞いだ。
「耳元で言うな…。」
「あっ…。すいません…。」と申し訳なさそうに謝る喜介。
そして俺は、ふと疑問に思った事を喜介に尋ねた。
「喜介。俺が風邪引いたの…なんで知ってんだ?」と尋ねれば、喜介は俺から顔を逸らし俯いた。
「………。」
「答えられないのか…?」
「口止めされてるので…。」と申し訳なさそうに言う喜介に俺は、そうか。と返事を返した。
「「………」」
そこから、俺と喜介は黙り込んでしまい重苦しい空気が流れた。
 何か話さないとな…。と思っていると、木で作られた玄関の扉がガラリと開く音がした。
「………誰だ…?」と呟くと、「おーい」という浅黄さんの元気な声が聞こえてきた。
 俺は立ち上がり、浅黄さんのところへ行った。
「どうしたんだ…?浅黄さん」と聞くと、浅黄さんは嬉しそうに手に持っていた酒を俺に見せてきた。
「今日は、いい天気だし縁側で酒でも飲まねーか?」
「……!!!いいな!それ!」と久々の酒に俺は舞い上がった。
そして俺は、喜介のところへ行き、酒を一緒に飲もうと誘った。
「……僕は帰ります。」
「?どうしたんだよ?酒、好きだろ?」
「酒は好きですが、少し所用が…」と目を泳がせながら言う。
「分かった。…また、今度二人で飲もう。」と言う俺の言葉に喜介は驚いた。
「ふ…二人でって…」
「その時に、返事を出す。」と俺の言葉に、喜介が表情を崩したのが分かった。
 俺は、不安そうな喜介を落ち着かせる為、喜介の頭に手を置いて優しく撫でた。
「そんなに、不安そうな顔をするな…。」
「……。」
「俺も、良く考えた上で返事を出すから。」と言う言葉に喜介は、俺と視線をあわせ、ぎこちない笑顔を向けた。

「雰囲気を壊すようで悪いんだが、俺の事忘れてないか?」と俺と喜介の間から浅黄さんが入ってきた。
「うわっ!?!?」
「っ…!?」
 俺と喜介は驚き、離れた。
「そういえば、お前ら、俺がいない間に随分と親しくなったんだなー!」と嬉しそうに浅黄さんは言ってきた。
「二人で飲みに行った時に、少しな…。」
「そうかそうか。」とまるで、子供の成長を見守る親の様な笑顔に俺は、複雑な気持ちになった。
「ぼ…僕、これから所用があるので、失礼します!」と言い、喜介は出ていった。
 俺は、浅黄さんの酒を取り上げると、縁側へ移動した。
そして、酌を用意し、俺は浅黄さんに酒を注いだ。
ゴクゴクと喉を潤す音が隣で聴こえた。
「いい飲みっぷりだなー」と浅黄さんに言うと、浅黄さんは「だろー!」と言ってきた。
「宗介も飲め飲め!ほら、俺が入れてやる!」と言い、浅黄さんは俺の酌に酒を注いだ。
 そして、俺も久々の酒を浅黄さんと一緒に豪快に飲んだ。
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