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縁側で陽にあたり、俺はボーッと道場の庭を眺めた。
殺風景な庭は、雑草しか生えていない。
「………。」
ソッと片手で頬を抓る。
「夢じゃ…ねーんだな…。」とボソリと呟く。
喜介は何であんな世辞を言ったのか、重苦しい空気を断ち切る為についた嘘なのか、嫌味なのか、考えれば考えるほど悪い方向に持っていってしまう。
「はぁ……」少し肩を落とし溜息をつく。
するとー
バシンッ
背後から木刀が俺の頭に振ってきた。
「痛ってぇぇ…!!」と涙目で頭を抑えながら、俺は後ろを振り返った。
「よぉ!元気は出たか?」と呑気に挨拶をしてくる。
「浅黄さん…」
「隣いいか?」と浅黄さんは尋ねてきた。
「………あぁ。」と未だにズキズキする頭を抑えながら、俺は道場の庭に目を戻した。
「そんなに痛かったか?」とヘラヘラしながら聞いてくる浅黄さんに俺は無視をした。
「ハハハッ!悪い悪い!」と浅黄さんは笑いながら謝った。
「面白くねー…」
「すまんすまん」と少し笑みを零しながら、俺の頭をわしゃわしゃと優しく撫でた。
「嬉しくない…」
「そうか??これで少しは頭の痛みも治まると思ったんだがな~」と言ってくる浅黄さん。
「……。」独り言の様に言っている浅黄さんを無視し、俺はまた庭に目を戻した。
そして、ふと後ろを振り返る。
「なぁ、浅黄さん…」
「ん?どうした?」
「喜介は?」
「あぁ、なんか…汗かいたから湯屋に行ってくると言っていたが…」
「そうか…」
「今日、飲みに行くんだろ?」と聞いてきた浅黄さん。
「あぁ…なんで浅黄さんが知ってるんだ?」
「喜介が嬉しそうに、俺に言ってきたからよー。」
「嬉しそうに…?」
「あぁ。とっても嬉しそうだったぞ!」
「なんでだ?」
「さぁ…?俺は、あんな喜介初めて見たな~」と腕を組みながら思い返している浅黄さん。
なんで、俺と飲みに行くのがそんなに嬉しいんだ?という疑問が俺の中で膨れ上がった。
「宗助」と、浅黄さんに呼ばれ俺は返事をした。
「なんだ?」
「宗助も、汗かいてんだろ?湯屋に行ってきたらどうだ?」
「汗はかいたが、拭けば問題ないだろ。飲みに行くだけなんだから…。」
「じゃー、喜介に言っとかないとなー」
「??…何をだ?」
「宗助は酒癖が悪いから気を付けるんだぞ…ってな!」
「そこまで、酷くはねーよ!」と浅黄さんに強く反論した。
「嘘だよ嘘だよ。」と無邪気な笑顔で浅黄さんは言ってきた。
「酷くは…ねーけど、記憶がなくなる程度だ…。」と素直に話した。
「そうかそうか~」と浅黄さんは腕を組んだまま、胡座をかき、うんうんと納得した様に頷いていた。
殺風景な庭は、雑草しか生えていない。
「………。」
ソッと片手で頬を抓る。
「夢じゃ…ねーんだな…。」とボソリと呟く。
喜介は何であんな世辞を言ったのか、重苦しい空気を断ち切る為についた嘘なのか、嫌味なのか、考えれば考えるほど悪い方向に持っていってしまう。
「はぁ……」少し肩を落とし溜息をつく。
するとー
バシンッ
背後から木刀が俺の頭に振ってきた。
「痛ってぇぇ…!!」と涙目で頭を抑えながら、俺は後ろを振り返った。
「よぉ!元気は出たか?」と呑気に挨拶をしてくる。
「浅黄さん…」
「隣いいか?」と浅黄さんは尋ねてきた。
「………あぁ。」と未だにズキズキする頭を抑えながら、俺は道場の庭に目を戻した。
「そんなに痛かったか?」とヘラヘラしながら聞いてくる浅黄さんに俺は無視をした。
「ハハハッ!悪い悪い!」と浅黄さんは笑いながら謝った。
「面白くねー…」
「すまんすまん」と少し笑みを零しながら、俺の頭をわしゃわしゃと優しく撫でた。
「嬉しくない…」
「そうか??これで少しは頭の痛みも治まると思ったんだがな~」と言ってくる浅黄さん。
「……。」独り言の様に言っている浅黄さんを無視し、俺はまた庭に目を戻した。
そして、ふと後ろを振り返る。
「なぁ、浅黄さん…」
「ん?どうした?」
「喜介は?」
「あぁ、なんか…汗かいたから湯屋に行ってくると言っていたが…」
「そうか…」
「今日、飲みに行くんだろ?」と聞いてきた浅黄さん。
「あぁ…なんで浅黄さんが知ってるんだ?」
「喜介が嬉しそうに、俺に言ってきたからよー。」
「嬉しそうに…?」
「あぁ。とっても嬉しそうだったぞ!」
「なんでだ?」
「さぁ…?俺は、あんな喜介初めて見たな~」と腕を組みながら思い返している浅黄さん。
なんで、俺と飲みに行くのがそんなに嬉しいんだ?という疑問が俺の中で膨れ上がった。
「宗助」と、浅黄さんに呼ばれ俺は返事をした。
「なんだ?」
「宗助も、汗かいてんだろ?湯屋に行ってきたらどうだ?」
「汗はかいたが、拭けば問題ないだろ。飲みに行くだけなんだから…。」
「じゃー、喜介に言っとかないとなー」
「??…何をだ?」
「宗助は酒癖が悪いから気を付けるんだぞ…ってな!」
「そこまで、酷くはねーよ!」と浅黄さんに強く反論した。
「嘘だよ嘘だよ。」と無邪気な笑顔で浅黄さんは言ってきた。
「酷くは…ねーけど、記憶がなくなる程度だ…。」と素直に話した。
「そうかそうか~」と浅黄さんは腕を組んだまま、胡座をかき、うんうんと納得した様に頷いていた。
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