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浅黄さんと向かい合わせになった俺は、少し距離を取る。まだ動いてすらないのに、額に汗が出てきた。
「………」俺は木刀を掴み、浅黄さんに向け、構える。

ドクン ドクン
心臓がドクドクと音を鳴らしている。
 稽古をやっと出来る!という喜びからではなく、恐怖や不安からきていた。

そして、浅黄さんが口を開いた。
「行くぞ、宗助。油断も隙も一切見せるなよ…」と真剣な眼差しで俺に言う。
それに俺は反応し、「あぁ。……来い…」と返事をした。

俺の「来い」という言葉に反応した浅黄さんは、薄ら笑みを浮かべ、こちらにジリジリと様子を伺いながら近づいてきた。
一瞬の隙も見せない。と稽古を始める前から心に誓っていた。
「………」浅黄さんの動きを視線で追う。
浅黄さんは木刀を、最初に振り上げていた。
 俺は、来る方向を予想しながら避ける準備を始めた。
そして、ゆっくりと刀が俺の頭上に落ちてこようとする。

 バシンッ
俺は、頭上に落ちてこようとした木刀を上手く避けた。勢いあまった浅黄さんの木刀が床を叩きつけた。
その音に敏感に反応した俺は、肩がビクリと揺れた。
だが、直ぐに浅黄さんの方へ向き直り、再度距離を取った。

そして、その後も浅黄さんの攻撃を避け続けた。
 だが、避け続けていると、体が限界を知らせてくる。
「ハァハァ……ハァ…ハァ」と息切れを整える。

浅黄さんに、背を向けてわざと無防備を晒した俺。
「隙ありっ!」と浅黄さんが叫ぶと、木刀を俺の背中めがけて打とうとした時だった。

バシンッ

木刀と木刀のぶつかる音が俺の後ろで聞こえた。
「えっ…」状況を掴めず、俺は後ろを振り向いた。
「っ…!喜介……!?」
喜助が俺を庇い、浅黄さんの木刀を跳ね返していた。
「大丈夫ですか?宗助さん」と声を掛けてきた喜介に俺は「あぁ。」と返事をした。その言葉に安心したのか、喜介は微笑んだ。
 そして喜介は浅黄さんの方を向くと、木刀を強く握り「宗助さんの変わりに僕が稽古に付き合います!」と言ってきた。
 浅黄さんは喜介の言葉にニヤリと笑った。
「おぉ。良いぞ良いぞ…。楽しませてくれよ?」
「フッ…、もちろんですよ浅黄さん」
俺は、喜介の名を呼んだ。
「き…喜介!」
「??」名を呼ばれた喜介は俺の方へ顔を向けた。
「わ…悪い…頼んだ…/////」と頬を赤くし視線を逸らしながら、喜介に言うと喜介は嬉しそうに「はい!!」と笑顔で返事をした。
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