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って例えば誰だ?」と浅黄さんが聞いてきた。
はり医師の息子とか…」と言うと、俺は壁にもたれかかる。
菊助きくすけですか?」と喜介が尋ねた。
俺はあぁ…と頷いた。

すると、浅黄さんが「そうかそうか~」と真面目な表情から優しい、いつもの目に戻った。
「なんで飲み友の事聞いたんだ?」と俺は浅黄さんに尋ねた。
「宗介はいつも、不逞浪士たちみたいな危ない連中と飲んでるのを見かけるから心配になったんだよ~」とワハハと笑いながら、俺の隣にくる浅黄さん。
 そして、肩を抱き寄せポンポンと優しく頭を叩く。
「………。」
「そうかそうか~」と未だに納得している浅黄さん。
浅黄さんは無意識でこんな事を誰にでもやっているんだろうが、俺には正直分からない。
どうしてそんなに密着出来るのだろうか?とふいに思ってしまう。俺は、体を触られたりすることが物凄く嫌いだ。だけど、浅黄さんに触られていると内心心が落ち着く。
 「なんでだろうな…」と浅黄さんや喜介に聞こえない様に小さく呟いた。


そして、数分後ー
 「は~い!お待ち!」と酒を持ってきた梅さんに俺は「ありがとう!」と微笑んだ。
「宗助くんの笑顔には敵わないわ~!」と頬を赤く染めて笑っている梅さん。
 そして、梅さんはまた店奥へ戻っていった。

「さて、飲むか!」と俺は浅黄さんと喜介に言う。
「おう!飲もう飲もう!!」と俺から体を離した浅黄さんは元気よく言う。
「あんまり、飲み過ぎないようにして下さいよ?」と苦笑しながら喜介は言った。
「喜介、お前も気をつかわず飲めよ?」
「僕、お酒に強いので飲みまくりますよ!」と喜介は言ってきた。
「本当に酒が強いのか?」と少し不敵な笑みを喜介に向けた。
「じゃぁ、飲み比べでどっちがお酒に強いか決めますか?」
「あぁ。いいぜ!俺は、浅黄さんより強いからな?」と言ってみせると喜介も「僕だって浅黄さんには負けませんよ?」と言った。
 俺たちの話を聞いていた浅黄さんは「俺だって強いぞ!」と言い、飲み比べに参加した。

「それじゃぁ、お酒を持ってください!」と喜介が言うと俺と浅黄さんは酒を片手に持ち「飲む準備は万端だ!」と合図をした。
「いきますよ?」喜介が言う。
「あぁ。」と俺は返事をする。
「おぉ!!いつでも来い!」と浅黄さんは返事をし、待っている。

「始め!」という喜介からの声と共に始まった飲み比べ大会。
 ゴクゴクッ ゴクッ
喉に酒を入れて潤す。
絶対負けない!と俺は豪語していたが、実は酒に弱い。おまけに、酒癖も悪い。
  ゴクゴクと飲みながら俺はどうすればいいんだ?と考える。
 チラッと浅黄さんと喜介をみてみると、真剣な眼差しで飲んでいた。
 俺がさっき、言っていた浅黄さんに勝ったことがあるというのはその場を回避する為につくった嘘だった。
 浅黄さんと喜介を本気にさせてしまった……。
 すまん…浅黄さん。嘘ついてた…。と飲みながら心で何度も謝る。
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