そんなの女の子の言うことじゃないですよ ― ギャル系女子と出くわした無気力系男子 ―

たゆたん

文字の大きさ
上 下
27 / 27

第15話(最終話):オトナ

しおりを挟む
 
■第15話(最終話):オトナ





女の子とのくち付け・・・。




幸尋ゆきひろにはとてもとても特別なことだった。
これまで長い間、まったく手の届かないものだった。




それが、アカネとくち付けするようになって、感慨かんがい深げだった。



(・・・ボクがキスできるようになるなんて・・・)





彼女のくちびるを独占できる。





柔らかさや温もりだけではない。



くち付けを許し合っている関係がうれしかった。





くちびるや舌で分かる彼女のこと。




手と手を合わせ、
身体を引き寄せ合う。




くち付けは身体の距離も近づける。
相手の温もりが伝わってくる。




感覚的な理解・・・。






身体で身体を知る。


彼女のことが身体を通して分かってくる。




目で見るより、華奢きゃしゃな身体。


踏み込もうとすると、恥らう顔や仕草。





自分しか知らない彼女の素顔。


言葉では分からない理解だった。



(・・・アカネ・・・)






・・・相変わらず、彼女は美味しそうにごはんを食べ、
だらしなく寝転がってテレビを見たり、ケータイをいじくっている。






感情が高まったときの彼女とは、あまりに違う姿。





彼女を見つめる目は、出逢った頃とは違う。









「ユッキー?お前、今夜ヒマなの?」


何を思いついたのか、
急に身体を起こして彼を見る。





「んーまぁ、ヒマだけど?」



彼女は立ち上がって、彼の脇に座り直した。




(なっ・・・何なんだ・・・金でもせびってくるのかな・・・)



すぐ良くないことが思い浮かんで、緊張した。


それでも、アカネが神社でバイトするようになってから、
意外に家計には協力してくれている。


そんなことをするとは思わなかったから、
本当に意外だった。







急にアカネが胸倉をつかんでくる。



(あーやっぱり・・・)












「おい、エッチしようぜ♪」









「え!・・・え、え、え、え?」




予想を大きく超えた。



戸惑っていることなど構わずに、
どっさり身体をもたれ掛けてきた。






「今夜はちょっとそういう気分なんだよー」



顔を彼の胸に押し付けて、うりうりと擦りつける。






「こ、こんな衝動的にしちゃうのって良くないよ!」



思わず、彼女の両肩をぐいっと持って、顔を向き合わせる。







「アカネは経験豊富だろうけど、
ボク本当に分かんないんだよ!」



一瞬、彼女の目が真剣な色になる。







「ケッ・・・今に分かるっつってんだよ」



彼を見ることもしないで、ポケットをごそごそしていた。




やがて、何か取り出して、かたわらにぱらぱら落とす。






(あーやっぱり、こういうの慣れてるんだ・・・)



いくつも散らばるコンドームを見ながら、
がっかりしてしまう。







「お!お前、勃起ぼっきしてんじゃーん」




「え、あっ何?やめてー!」


思わぬ指摘に顔が真っ赤になった。






色とりどりのコンドームに気を取られているうちに、
下半身はハダカにされていた。



全く早業はやわざだった。






「ユッキー、デカくね?なんで?」



「知らないよ!見るなよ!」



たまらず、股間を隠そうとする。





「何言ってんの?今からヤルんだっつーの!」


彼の太ももの上にどっかと乗り、
足を投げ出して両腕の動きを封じた。




そうして、コンドームをひとつ取ると、
パッケージを破って、本体を取り出す。




見下ろす先に、ヒクヒクしているモノにかぶせようとした。





「・・・んん、あれ・・・何だよ・・・被らねーじゃん!これ・・・」



コンドームを何度も落とす彼女。
その下で、モゾモゾもがく彼。


しっかり動きを封じられて、
情けないことにビクともしない。






(・・・も、もうダメだぁ~)


早くも振りほどくのをあきらめた。


まだごそごそしている彼女の手に目をった。

その手つきは明らかに慣れていない様子だった。




「ボクが着けるよ・・・」


その様子から何かふと心にぎった。




本体のさきっちょの精液だまりをつまんで、
モノのてっぺんに乗せる。



後は指先で本体を押さえながら、ゆっくりモノに沿って降ろしていった。



(・・・何やってんだろう・・・)



頭ではそう思っているが、胸はバグバグしている。
それでも、意外に手先はよく動く。



そして、根元まできて、コンドームのシワを延ばすように、
指先で表面をならす。




「ユッキー?お前着けるの上手いな?」



童貞どうていだけど・・・これくらいはできるよ・・・」


彼はコンドームの装着をめられるなんて、こそばゆかった。
感心している彼女から、思わず顔をそむける。









こういうときに、不注意なのはよくないかもしれない。
さっきも、そういう目にったばかりなのに、すぐにまた・・・。









・・・もぞもぞ・・・ドサッ








「・・・んっ!!」




いきなりだった。
彼は思わず目を見開く。




股間のモノが、急にじんわり熱いもので包まれた感じがした。









「動くなよ・・・まだ・・・ダメだかんな・・・っつ・・・」


彼女は馬乗りになっていた。







「あああああ・・・」




彼は驚いて、言葉にならない。











(あーーーーーーーーーーーーっ!は、入ってるぅ!
あ、あ、あ、アカネのナカにぃ!!!)







感触がどうだ、というわけではなかった。





長いこと大事にしていた童貞が
どこかすっとんでいったのもどうでもよかった。






あのアカネと簡単にこういう関係になってしまったことに、
思いっきり動転してしまった。






「ちょ、おまっ・・・何だよ・・・コレ・・・デカぁ・・・」




「あ、あ、あ、アカネっ!!」





「うるせえ!ちょっと黙ってろ!」





「アカネーっ!!!!」




「え?・・・うわあぁああっ!!」






たけり狂った。



馬乗りされている状態から、一気に押し倒して、
おおいかぶさる格好になった。





「ごめん!・・・何かごめん!」


思わず謝ってしまう。







・・・ぱんぱんぱん!



腰が勝手に動いていた。






「ああっ!や、やめ・・・んんっ!・・・っはぁ」


思いがけない豹変ひょうへんに、彼女は言葉が出ない。







(あぁ、あのアカネと・・・アカネとボク・・・エッチしてる!)





腰が言うことを聞かず、夢中で彼女の陰部に押し付けている。





目の前で彼女がもだえる。





「・・・ぁあ・・・そんな・・・くひ・・・あっ!」



モノを打ち付けるたびに、見たことがない顔をする。








「何だよ・・・アカネ・・・どうしてそんな可愛い顔するんだよ・・・」





・・・ぱんぱんぱんぱん・・・







「やめろぉ!・・・顔見るなぁ・・・あっ・・・んぐっ」


どうして余裕のないような顔をするのか分からない。



ふとんをぎゅっと掴んだり、引っ張ったりしている。




・・・ぱんぱんぱんぱん・・・







少し慣れてきて、
腰の動きをコントロールできるようになる。





腰もちょっとしんどくなってきたので、
ちょっと休憩して、彼女の様子を眺めた。






(あ!そうだ・・・)



彼女は下半身こそハダカだったが、
上の服は着たままだった。




無造作に服をめくってみた。



「や・・・やめろ・・・み、見るなぁ!」



服をめくった反動で、
胸がぷるんと揺れた。





(ごくり・・・)



彼はその豊かなふくらみに両手を乗せる。




「・・・すごい・・・柔らかい・・・
こんなにフニフニしてるなんて・・・」



恥ずかしそうに顔を横にして目を閉じている。
顔が真っ赤だった。





それを見ていると、ゾワゾワといろいろしたくなってくる。





試しに、腰を一度大きく突き込んでみる。




「・・・くうっ!」


眉間にシワが寄る。




・・・それからは、もう彼のしたい放題だった。




彼女の反応を見ながら、腰をわざと動かさなかったり。



「クソっ・・・う、動けよ・・・んんっ・・・」








思いっきりグイーッと深くまで押し付けたり。



「・・・ぁああぁあ・・・くひ・・・んくぅ・・・」










ぐるんぐるんと腰を回したり。


「そ・・・や、やめっ・・・っ・・・あ・・・」










ぶるぶる腰を振るったり。



「・・・んくーっ・・・んんっ、んはぁ・・・」



翻弄ほんろうされ続けた。







・・・ぱんぱんぱんぱんぱんぱん・・・








「・・・んぐ!・・・んん・・・っ・・・んひぃ~っ」




顔をらして、盛んに身体をぶるぶるさせた。






「ど、どうしたの?アカネ・・・」







・・・ぱんぱんぱんぱんぱんぱん・・・



「・・・んはぁーっ!!や、やめっ・・・んあああっ!!」


髪を振り乱して悶える。





・・・ぱんぱんぱんぱんぱんぱん・・・







もうたまらなかった。





ジワジワしたものが
股間にだんだん込み上げてくる。






・・・ぱんぱんぱんぱんぱんぱん・・・







「あぁ・・・ボク・・・イクっ!イキそうだっ!」






・・・びゅぶっ!びゅびゅーっ・・・





「・・・あぁっ!!ああぁあーっ」






熱いものがあふれていく。


彼は全身に駆け巡る快感に打ち震えた。





コンドームをしているとはいえ、
彼女のナカで射精することが、とんでもなく悪いことのように思った。


快感と罪悪感で頭が滅茶苦茶めちゃくちゃになりそうだった。





責めに翻弄され、悶える彼女がとても可愛かった。
普段は絶対に見ることのない余裕の無い顔はたまらなかった。






射精の快感のままに、彼女の上に倒れこんだ。





少しして、たまらずぎゅーっと強く抱きしめた。




(ふあぁあ・・・)




すると、彼女は小さく声を漏らして、
身体中をびくびくと震わせるだけだった。






・・・はぁはぁはぁはぁはぁはぁ・・・






しばらくふたりは荒い息にだけになった。


そして、いつの間にか、そのまま眠ってしまった。

















・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


















「ユッキー・・・だっこ・・・」



「・・・うん・・・・・・」


















外が少し明るくなりかけていた。


傍らでアカネがまだ眠っている。



時計を見ると5時半前だった。


テレビはいつの間にか消していたらしい。









確か「だっこ」してと言われて、
抱き合って寝ていたように思っていた。





夢を見ていたのかもしれない。
あっという間に、その記憶は曖昧あいまいなものになっていった。



むっくりと上体を起こすと、意識がはっきりしてくる。



次第に昨夜のことを思い出してくる。



(・・・ああ・・・ホントにエッチしてしまったんだ・・・)




丸めたティッシュがいくつも転がっている。
そのいくつかに血がついていた。


昨夜悪いことを言ったと、彼は今になって反省した。

彼女の言葉と態度の違いを、今更ながら不思議に思った。





目の前で眠っている彼女が、
昨夜あんな顔をするなんて、正直信じられなかった。



それでも彼の脳裏のうりに悶える顔がいくつも浮かんでくる。





彼の股間は、女の子のナカで初の酷使こくしだったにも関わらず、
今朝もしっかり自己主張している。


その状態で、じっと彼女を見る。








(・・・アカネってこんなに可愛かったのか・・・)




寝顔はとてもピュアだった。
無防備な顔がこんなだとは思わなかった。


今、揺り動かして起こすと、
どんな様子で話してくれるのだろうと興味が湧いた。




しばらく眺めていた。







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






幸尋はひとり抜け出て、キッチンで朝ごはんの支度したくにかかった。
いつもより早い時間だが、何となくそうしたかった。




ただ、トーストを焼いて、
目玉焼きにハムを載せた。


アカネにはブラックコーヒー、
幸尋はココアにした。




「なぁ、こんなに早く朝メシって初めてだな?」


彼女は子供っぽくはにかんだ。



行儀ぎょうぎ悪く片足を立てひざにする彼女。
いちごジャムを塗りたくったトーストをほお張る。





「そう言えばそうだね・・・」



そう口走ってから、
自身が妙に落ち着いていることに気付いた。



正直、彼女が目を覚ましてから、
どういう反応をするのか心配だった。





案外何でもなかった。


フツーだった。
いつもより大人しいぐらいだった。







彼は美味しそうに食べる様子をじっと見つめながら、
トーストをかじった。














彼女の方が出掛ける時間が少し早い。



「アカネ、いってらっしゃい・・・」



「・・・お、おう・・・じゃあな・・・」



そう言って、学校に行った。



彼女は見送られたのが意外そうだった。

ちょっと恥ずかしそうな、うれしそうな一瞬の顔だった。








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




――夕暮れ




今日は何もなかった。
幸尋は帰りにスーパーに寄ってから、帰ってきた。




いつものようにアカネが帰って来た。
今日はだいぶ早かった。







本当は心配だった。
もう彼女は来なくなるような気がしていた。


彼女の姿を見たとき、うれしかった。





買い物でいろいろ補充ほじゅうされた冷蔵庫。

彼女は顔を突っ込んで物色する。





「あ・・・昨日のエッチでちょっと忘れてた」


冷蔵庫の中から声がする。





「え、え、え?」




「・・・キス・・・してなかったんだよ・・・初エッチのとき・・・」


冷蔵庫を閉じて、それを背にし、
じっと彼を見る。








その瞬間、ふたりの時間は止まったようになった。


それまで、材料を引っ張り出して、
献立の段取りを考えていた、彼の腕組みが解ける。



まるで引き寄せられるように、
彼女に近づいていく。






「こういうときのユッキーって男っぽいな・・・」





「・・・ちょっと黙ってて」








ふたり手をからめ、ぎゅっと握る。






くちを近づけて、目を閉じる。


冷蔵庫にゆっくり押し付けられるふたりの身体。




(・・・んんっ・・・は・・・ん・・・)


荒い息遣いきづかいがするだけ。







浅いキスから深いキスへ。






舌と舌でたわむれる。





くちで舌に吸い付く。




くちびるを舌でなぞる。




深くまで舌で探り合う。





息継いきつぎに、一度くちを離す。



すると、唾液だえき名残惜なごりおしそうに糸を引く。




互いに上気じょうきした顔。





(・・・またピュアなアカネに逢えた・・・)


たまらなかった。





今度は強く冷蔵庫に押し付けて、
くちを、舌を、絡ませ合った。



冷蔵庫はギシギシと揺れて、少し奥に動く。





「あたし・・・こんなことになるの・・・
初めて・・・ユッキーのこと大好き・・・」


ピュアな顔のままで、瞳を潤ませながら告げられた。







「アカネは・・・ぜんぶボクのものだからな」


彼女はこれ以上ないほどまでに顔を赤く染めた。





それを見て、彼は我を忘れ、
そのままテーブルの上に押し倒した。







外が暗くなっていくのをよそに、
ふたりは激しく何度も何度も抱き合った。












もう後はふたりの世界・・・。


















(おわり)
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

一宿一飯の恩義

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 妹のアイミが、一人暮らしの兄の家に泊まりに来た。コンサートで近くを訪れたため、ホテル代わりに利用しようということだった。 兄は条件を付けて、アイミを泊めることにした。 その夜、条件であることを理由に、兄はアイミを抱く。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

処理中です...