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第7話(後篇):屋上

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     偽妹(ぎもうと)
―憎い男に身体を開かれていく―



■第7話(後篇):屋上







――学校からの帰り道









フミはアイカの話を思い返していた。

色んな言葉がよみがえってくる。
男性経験に慣れた同性からの話は新鮮だった。



・・・男って、アタシらと違うじゃん・・・


アイカはそう言っていた。
フミは改めてサトシのことを考え始めた。


不可解だった男という存在。

サトシとの関わりは不本意だったが、
男性に対する考えが少なからず変わってきていた。




・・・アタシ、まさかあんな恥ずかしいところを
男にいじってもらうのが楽しいとは思わなかった・・・


さすがにそういうことを言うのは恥ずかしかったのだろう。
アイカは照れくさそうに笑いながら言っていた。

フミはその言葉をみ締めていた。


これまでの生活で、自分の恥部を男にさらすことなど考えもしなかった。

「いつかそういうこともある」と漠然とは思っていたが、
それが高●生になって訪れたことにまだ戸惑いがあった。



アイカの彼氏は、彼女の話によれば、どこかサバサバしていて、
あまり態度もよくないらしい。


その彼と初めて会ったのはファストフード店だった。




何人もいる客のなかで、彼は目を引いた。

偶然気になっただけと、最初は気にしていないつもりだったが、
何度も会うようになり、不思議と目が合ってしまう。




・・・ね、名前なんていうの?オレ気になってんだけど・・・





ストレートに話しかけられて、アイカは自分の気持ちに気付いたらしい。

何度も会うということは、彼の存在がとても気になっていた表れだった。
目が合うということは、互いに気になっているという決定的なものだった。


そうしたことはありふれたことかもしれない。




「目がよく合う」わずかなものでも、それがきっかけだと思ったのは、
ふたりの相性だったかもしれない。


出会うことさえ滅多めったにない。そして、話してみることはもっと少ない。
そこから関係が始まることなど、さらにもっと少ない。


それでも、ふたりは言葉をつむぎ合い、
偶然の関係を少しずつ強めていった。








・・・初体験がもうすごいのなんのって・・・




アイカは顔を真っ赤にしていた。


声を掛けられたその日に初体験したらしい。

彼女も知識としては詳しく知っていたようだが、
実際に男性と触れ合ってみなければ分からないことも多かった。




フミはアイカの初体験を全身を耳にするように聞き入った。
ラブホで一晩中抱き合っていたらしい。



高●生がラブホを使っていけないと、
未経験のフミでさえ以前から知っていたが、
アイカが当たり前のように話すことに驚いた。





・・・ほやほや彼氏と初体験はすっごい燃えたよ~
よく知らない同士って、たまんなかった・・・




彼氏の責め方、そのときの感じ方、
アイカはこと細かにフミに熱っぽく語った。


聞かされるフミは恥ずかしいのと驚きで、
たまったものではなかった。






(・・・そういうことする時期なのかな・・・)




それが大人へのステップなのかどうかはまだ分からなかった。
アイカの経験談は、フミの薄っぺらな恋愛観を大きく揺さぶった。




フミのなかにソワソワとしたあせりが燃え始めていた・・・。








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





――夜











今夜は部屋でお笑いの動画を観た。

色んな漫才コンビやユニットによるネタ番組で、
フミもサトシもけっこう笑って楽しんだ。


動画が終わると、フミはもじもじしていた。


最近、サトシがやって来ると、
何となく彼の股間に目が向かう。






「あ、あの・・・いつもやって
もらってばかりじゃ悪いかなって・・・」






何となく口を突いて出た言葉だった。
別の自分から冷たい目を向けられている気がした。


サトシはノートパソコンやプロジェクターを
片付け終わって、フミに向かい直った。






「手でしてあげる・・・」





フミは自分で言っておきながら、夢を見ている心地だった。
まるで自分が自分でないように感じる。

それなのに、頭はくらくらし、
鼓動はだらしなく高まってしまう。






サトシを勉強机のイスに座ってもらうと、
フミはそのイスの前にひざ立ちになった。


彼の口元がゆるむのが分かった。







「こ、こんなこと本当に内緒にしてくださいね・・・」




そう言いながら、カーゴパンツを脱がしにかかる。







(・・・うわ・・・もう勃起してる・・・)




ボクサーパンツを大きく持ち上げた肉棒は、
パンツをずり下げると、ブルンと揺れた。




鼻腔びくうをくすぐるオスの匂い。
高まる鼓動を彼に隠した。







「こんなに勃起させてどうしたんですか?」



「お前に可愛がってほしいんだよ」





真剣なトーンで言われて、
まともに彼の顔が見れなかった。







「・・・じゃ・・・始めるね・・・」


肉棒に顔を近づけて、唾液だえきを肉棒にらした。
唾液で下着をらさないよう、すぐ両手で肉棒を握った。


どれも彼から教わった方法だった・・・。




・・・にゅくにゅくにゅく・・・



両手をゆっくり上下に動かして肉棒をしごく。




「へぇ・・・フミは手コキけっこう上手いな・・・」



「そ、そうかな・・・」




しっかり動かしている手は止めなかった。


さらに、亀頭に唾液を垂らし、両手で肉棒をにぎめる。
微妙びみょうに力を入れながら、上下に扱く。


時折、裏スジを指で上下になぞったり、
亀頭部分を手の平でぐにぐに刺激したり。


サオと亀頭をつないでいるシワが寄っているくびれにも
指で輪っかを作って、リングを回すように刺激する。


風呂で教わった男性器の知識が役に立っている。





「・・・おぁ・・・っ・・・あ・・・」



彼が苦悶くもんの表情を浮かべる。







(あ、今の良かったんだ・・・)


責め方次第で、反応が変わることが何だか楽しかった。






・・・にゅくちゅくにゅくちゅく・・・




(・・・こんな肉棒なんか・・・)






そうは思っても肉棒から目を離せない。


今、自分は男性器を刺激している。
高●生の自分が男に気持ち良くなってもらおうと、
男性器を上に下に手を動かしている。






・・・にゅくちゅくにゅくちゅく・・・




(・・・こんなの何でもないんだからっ・・・)




肉棒の感触が新鮮だった。
女にはこんな感触のものなど持っていない。




勃起している男性器は骨でもあるかのように堅い。
それでも肉棒なのだ。堅い弾力の肉がそびえ立っている。



先端の亀頭などはぷにぷにとしていて、
ここだけ柔らかい。


妙にテカテカしていてハリがある。
カリがサオから外に向かってぷっくりと張り出ている。


その栗をくびれさせたような造形がいやらしくて仕方ない。






(・・・こんなもので女の身体に・・・)






・・・にゅくちゅくにゅくちゅく・・・







(・・・あぁっ!こんなものでっ!)






「うぅっ!!」




・・・どぴゅぴゅっ!・・・・




勢い良い射精だった。



フミは最初に飛び散った精液を少し顔に受けた。

射精にかかる時間は数秒ほどであるが、
最初の飛沫ひまつのあとは、肉棒からあふれ出てくるようになる。






「・・・・・・・・・」



一瞬何が起こったか分からなかった。

勢いよく液体が飛び散り、生っぽい匂いがただよった。
どろどろになった両手に目を落として、ようやく
「これが射精なんだ」と思った。





「・・・ぉああぁ~」



サトシは顔を赤くして射精後の余韻よいんひたっていた。


その様子を見てフミはさらに恥ずかしくなったが、
口元は小さく笑っていた。



初めて彼が射精するのを間近で見てしまった。

男性が興奮するとそうなるのは分かっていたが、
彼女が自らの手で射精させることができたのは新鮮だった。






(・・・わたし、男を射精させた・・・)

その実感は身体の奥底に何かを湧き立たせた・・・。





・・・目の前に精液にまみれた肉棒がひくひくしていた。
何とも言えない充実感を覚えながら、黙って肉棒をぬぐった。


キレイになった肉棒を収めるのを背後に感じながら、
フミはフローリングに飛び散った精液をきにかかった。






(・・・けっこう飛ぶんだな・・・)



その飛距離に男の激しい性欲を感じた。
それがフミに向けられていることを思うと、鼓動が急に高まってしまう。




片付けが終わって、ふたりはお茶を飲んだ。
どこか白々しい雰囲気ふんいきは雑談していると知らないうちに消えていた。




彼が帰ったあとで、ゴミ箱に捨てたティッシュをのぞき込んだ。
精液の匂いがむせ返るようだった。









・・・しばらくフミはそれを見つめていた。












・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





――翌日













放課後になると、フミは待ちねたように屋上に向かった。





・・・ぽかーん・・・





アイカがそんな顔をするのを初めて見た。



それはフミがあのローターの一件を切り出したときの表情だった。







「フミもやるねぇ~なかなかそんな度胸ないもんだぜ」



フミにとってみれば、ローターを装着させられるなど、
変態行為以外の何物でもないと思っていた。





「ローターって前戯ぜんぎにけっこう使ってもらうかな」


フミは「前戯」のことがよく分からない。
色々詳しくなりたくて、アイカにいてみた。






「あぁ、前戯はね、ヤル前にお互い気分を高めるやつね」





(・・・サトシの悪戯いたずらって、前戯なのかな・・・?)


フミの脳裏にこれまでのことが色々と甦ってくる。







「くっひっひ・・・マニアックな男だねぇ~」


そう言いながら、フミの背中をバシバシ叩いた。







「フミはだんだん身体を開かれてるってワケか」


「開かれる?身体を?」





意味が飲み込めないフミだったが、
アイカは急に物憂ものうげな顔になった。

フミは意味を訊けなくなった。








「フミとアタシって似てるよね・・・」




またしても、言葉の意味が分からなかった。









(つづく)
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