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疑念
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一瞬だが、自分のいる場所と同じ音が、電話越しにも聞こえた気がした。
「あなた、今近くにいるわね」
『近くって?』
「とぼけないで。私はあなたたちの近くまで来ていると思ってるわ。あ、ちなみに…あなたたちといったのは、そこには、あなたの弟もいると思ってる」
ライトは、まゆをあげた。
口角を上げながらレニーの背中を見たライトは『後ろにいると言ったら?』と含むような口調で言った。
レニーは、勢いよく振り返った。
「よぉ」
とぼけた口調で片手をあげながらレニーの表情を伺う。
あまりの突然さに、言葉を失ったレニー。
電話を耳につけたまま、目の前にいるライトを見上げた。
「あれ、固まってる。せっかく出向いてやったのに?その反応。つまんないねぇ。この前みたいにここに血管が浮くくらい激怒してくれないの?」
レニーの目の前に手を振り続けながら首をかしげてとぼけた。
レニーは、口がぱくぱくと開いてるだけで話にならない。
ライトもそれを真似して、ぱくぱくとしてみた。
「まるで、金魚だな」
ケラケラ笑ったあと、真顔になると「親父の差し金か?」と携帯を拳銃代わりにレニーの前に差し出した。
その姿を見たレニーは、眉間にしわを寄せた。
「あ、俺を逮捕する?ま、できれば、だけど?」
このニヤついた顔がレニーを苛立たせる。
「逮捕します」
「へぇ。逮捕ねぇ。できるの?警察官じゃないあんたが、俺を?」
「何を企んでいるの?」
「企む?何を?」
首を傾げた向こう側に、ライトと同じ顔がもう一つ見えた。
レニーも少し首を傾げ「後ろにいるの、あなたの弟ね。憎らしい顔が二つになって、ますますムカつくわ」と言って、向こうに視線を向けた。
「あれは、関係ない。通りすがりだ」
「そぉかしら。私は彼の後をつけていたのよ」
「あっそ。まぁどうでもいいけど」
ライトは少し後ろを見た。
「さて。どうするか」
「なに?逃げるの?」
「あなた、今近くにいるわね」
『近くって?』
「とぼけないで。私はあなたたちの近くまで来ていると思ってるわ。あ、ちなみに…あなたたちといったのは、そこには、あなたの弟もいると思ってる」
ライトは、まゆをあげた。
口角を上げながらレニーの背中を見たライトは『後ろにいると言ったら?』と含むような口調で言った。
レニーは、勢いよく振り返った。
「よぉ」
とぼけた口調で片手をあげながらレニーの表情を伺う。
あまりの突然さに、言葉を失ったレニー。
電話を耳につけたまま、目の前にいるライトを見上げた。
「あれ、固まってる。せっかく出向いてやったのに?その反応。つまんないねぇ。この前みたいにここに血管が浮くくらい激怒してくれないの?」
レニーの目の前に手を振り続けながら首をかしげてとぼけた。
レニーは、口がぱくぱくと開いてるだけで話にならない。
ライトもそれを真似して、ぱくぱくとしてみた。
「まるで、金魚だな」
ケラケラ笑ったあと、真顔になると「親父の差し金か?」と携帯を拳銃代わりにレニーの前に差し出した。
その姿を見たレニーは、眉間にしわを寄せた。
「あ、俺を逮捕する?ま、できれば、だけど?」
このニヤついた顔がレニーを苛立たせる。
「逮捕します」
「へぇ。逮捕ねぇ。できるの?警察官じゃないあんたが、俺を?」
「何を企んでいるの?」
「企む?何を?」
首を傾げた向こう側に、ライトと同じ顔がもう一つ見えた。
レニーも少し首を傾げ「後ろにいるの、あなたの弟ね。憎らしい顔が二つになって、ますますムカつくわ」と言って、向こうに視線を向けた。
「あれは、関係ない。通りすがりだ」
「そぉかしら。私は彼の後をつけていたのよ」
「あっそ。まぁどうでもいいけど」
ライトは少し後ろを見た。
「さて。どうするか」
「なに?逃げるの?」
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