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7. 最終話 最低で最高の言葉
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ようやく離れてくれたはいいけど……
「あ、そう言えば有栖川今日からいないんだよな」
「え?」
「ん?」
聞いて、ない─────
あいつの置き手紙にもラインにもそんな事一言もっ……。
そう言えば、あの置き去りの一件以来あいつからの連絡は一切ない。
いつもはうざいくらいに変態ラインを送ってくるのにだ……何かあったのか?
「って言うか、いないって何で有太が知ってんだよ」
「んぁ?たまたまさっきさ、職員室の入り口で先生が話してるの聞いただけだけど」
何で……なんでだよっ─────
ガラッと入り口のドアが開いた音が聞こえすぐにそちらに視線をそちらに向けた。
案の定入って来たのは有栖川じゃなく、副担だった。
「おっと。やべ席つかないとな」
そそくさと自分の席に戻っていった有太の後ろ姿を見送りながら、そっとポケットからスマホを取りだした。
ラインを起動させ、有栖川に一言送ってやろうかと親指を画面の上に置いた。
今頃になって、俺が送った最後のラインが既読になっていない事に気がついた。
一体どうしたって言うんだよ……。
嫌味を送ってやろうと思っていた俺の手は止まり、そのままスマホをポケットに押し戻した。
「えぇ、皆さんあけましておめでとうございます。残り僅かの高校生活を満喫してください。本日は担任の有栖川先生はご実家の方に帰られてますので、副担任の私がしばらく担当します」
副担の話ている事が上手く耳に入ってこなかった。
有栖川が実家?何で?どうして年が明けて学校が始まった今行くんだ?
ハッとなり視線をあげ副担を見た。
『 無理って言っても融通の利かない相手からの連絡だったから、黙って行った事はほんとにごめん─────』
あの置き手紙の一文に“融通の効かない相手からの連絡”ってあった。
それが実家の誰かからの連絡って事?
あいつの私生活が謎すぎて何にもわからないけど、ちょっといいところの出だって言ってたのはホントなんだろうか。
「……さん……」
ダメだ。
今は深く考えるのはやめておこう。
授業に支障が出る……
「武田さん」
有太が俺の脇をつついてきてようやく我に返った。
“呼ばれてる”と口パクで有太に言われ視線を教壇に向けると、副担が怪訝な顔をしながらこちらを見ていた。
「あっ」
朝の点呼を取っていて名前を呼ばれている事に全く気付かなかった。
既に支障が出てる。
「あ、そう言えば有栖川今日からいないんだよな」
「え?」
「ん?」
聞いて、ない─────
あいつの置き手紙にもラインにもそんな事一言もっ……。
そう言えば、あの置き去りの一件以来あいつからの連絡は一切ない。
いつもはうざいくらいに変態ラインを送ってくるのにだ……何かあったのか?
「って言うか、いないって何で有太が知ってんだよ」
「んぁ?たまたまさっきさ、職員室の入り口で先生が話してるの聞いただけだけど」
何で……なんでだよっ─────
ガラッと入り口のドアが開いた音が聞こえすぐにそちらに視線をそちらに向けた。
案の定入って来たのは有栖川じゃなく、副担だった。
「おっと。やべ席つかないとな」
そそくさと自分の席に戻っていった有太の後ろ姿を見送りながら、そっとポケットからスマホを取りだした。
ラインを起動させ、有栖川に一言送ってやろうかと親指を画面の上に置いた。
今頃になって、俺が送った最後のラインが既読になっていない事に気がついた。
一体どうしたって言うんだよ……。
嫌味を送ってやろうと思っていた俺の手は止まり、そのままスマホをポケットに押し戻した。
「えぇ、皆さんあけましておめでとうございます。残り僅かの高校生活を満喫してください。本日は担任の有栖川先生はご実家の方に帰られてますので、副担任の私がしばらく担当します」
副担の話ている事が上手く耳に入ってこなかった。
有栖川が実家?何で?どうして年が明けて学校が始まった今行くんだ?
ハッとなり視線をあげ副担を見た。
『 無理って言っても融通の利かない相手からの連絡だったから、黙って行った事はほんとにごめん─────』
あの置き手紙の一文に“融通の効かない相手からの連絡”ってあった。
それが実家の誰かからの連絡って事?
あいつの私生活が謎すぎて何にもわからないけど、ちょっといいところの出だって言ってたのはホントなんだろうか。
「……さん……」
ダメだ。
今は深く考えるのはやめておこう。
授業に支障が出る……
「武田さん」
有太が俺の脇をつついてきてようやく我に返った。
“呼ばれてる”と口パクで有太に言われ視線を教壇に向けると、副担が怪訝な顔をしながらこちらを見ていた。
「あっ」
朝の点呼を取っていて名前を呼ばれている事に全く気付かなかった。
既に支障が出てる。
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