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2.遡る事、一年前……
2-13
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なんだかんだ、バタバタしながら訪れたテストも終わり、最終日の最後の社会のテストにみんなの顔が青ざめていたのは言うまでもない。
続々と帰ってくる答案用紙を見ながら、今回もまぁそこそこに出来たなと密かに満足していると、隣で今にも答案用紙を引きちぎってしまいそうな奴を横目で見た。
『最悪なんだけど!なぁ!倫太郎ぉ!助けてくれぇっ!これっっ前から思ってたけど、アリスのテストなに!?激ムズ過ぎて赤点ギリギリなんだけど!こんな点数初めて取ったし!』
ヒラヒラとテストの答案用紙を持ちながら、抱き着いてくる有太。
眼鏡をあげて睨みながら答案用紙に書かれている点数を見た。
『……他の教科はほぼ満点なのに、どうして社会だけこんなに悪いんだよ』
『いやフツーに難しかっただろ!?今回の社会のテスト!あの臨教マジクソだよな』
『お前の勉強不足だろ。俺はできてたし』
『秀才のお前と一緒にすんなっての!』
有太だって十分勉強は出来るはず。
確かに、今回の社会は難しかった。言われた通り教科書を見て勉強していたはずなのに、完全にヤマを外していた。
そんな事は今まで無かった。
『何か、赤点取らせる様なテスト問題にも見えるな……』
『ん?』
有太が答案用紙を破こうとしているのを止めながら教壇を見た。
相変わらず涼し気な表情で答案用紙を手渡している。
『何か意図してるんだろうか……はっ。まさかな』
丁寧に答案用紙を折り畳みクリアファイルにしまった。
こうしてテストは無事に終わった。
学年ランキングも廊下にある掲示板に掲示され黒山の人だかりが出来ている。
『あぁあ。俺、今回やっぱ10位内には入れなかったなぁ』
『13とか微妙だな』
『そう言う倫太郎は、相変わらず定位置だな。ん?あれ?』
『俺も今回はダメだった』
そう。今回は学年で二位。
『わぁ、お前より上がいるのか。えっと?二神、和?』
有太が首を傾げながら名前を読み上げた。
『ふたがみじゃないか?』
『あ、そっか』
俺達は掲示板から離れながら雑談をしていた。
『全く知能の低い人間は嫌いだな……でも、彼 は気になる。あいつのおメガネにかなった奴だからなぁ……さぁて、どうしてやろうかな?』
すぐ後ろに張本人がいたなんて気づきもせずに……。
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