やばい彼氏にご注意を~番外編*イカサマ・ジェントルマン*

SIVA

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トリックオアトリート

トリックオアトリート 2

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「ほれ。これさっき貰ったクッキーだけど、食えるか?」
優しく微笑みながら、自分も両手でクッキーを持ち、広げた手を二人の前に差し出している。
「あ……」
こんな、優しい顔も出来るんだ。
有栖川が、結婚して子供が出来たら……きっともっと穏やかな表情でいるんだろうな……
「子供……」
「倫太郎もほら」
手を引っ張られ、腰を落とした俺は一瞬浮かべた有栖川の子供の存在を打ち消した。

考えるな…今は─────
手の上に先ほどの店でもらったクッキーと飴を乗せられ我に返った。
子供は目をキラキラとさせながら、それを貰えるのを待っている。
「はい。どうぞ」
ぎこちない俺の対応に、吹きだして笑う有栖川。
「お前、姉弟きょうだいいるのになんだよその対応。塩すぎない?」
笑いながら視線を子供に戻し「ごめんなぁ。このお兄ちゃん怖いよなぁ。はぁい。食べられるならよかったよ。どぉぞ」と手慣れた感じで渡しながら頭に手を置いてポンポンしている。
子供たちは嬉しそうに貰ったお菓子をお互いに見ている。
母親の二人を呼ぶ声が聞こえ、キャッキャと戻っていく姿を見ながら「可愛いよなぁ子供」と小さくなっていく後姿をいつまでも見つめている。
子供、好きなんだ……あ、だから教師になったのか?
ふとした疑問がわいてきた。

「っさっ。俺たちももう少し見ていこう」
再び手を握られ歩きだした。
頭の中が疑問で支配されながら歩いているせいで、口数がめっきり減ってしまっていた。
「どした?ホントに仮装なんてしないけど?」
有栖川が心配そうに声をかけてきた。
「あ、悪い。ちょっと考え事してた」
「何考えてたんだよ。あ、さっきの子供?」
「あ、あぁ。可愛かったな」
ま、今は、空気を変えるべきじゃない……聞かないでおこう。
会場で配られていたお手製の仮面を手渡されたり、試作品と称し、カボチャ味のプリンやケーキを貰い、なんだかんだ満喫した。

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