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嫌いじゃないけど……
嫌いじゃないけど…… 2
しおりを挟む黙ったままの俺の返答を肯定と見た有栖川は「何がそんなに不安なんだよ」と訪ねてきた。
「お前は何も考えずに、楽しめばいいんじゃない?あ、ほらあそこにもカボチャ」
気をそらすように、沿道に飾られている大きなカボチャを指さす。
「でか」
思いのほか巨大なカボチャの存在に思わず口にしてしまった。
「そうそう。見たまま、思ったまま楽しんでくれよ。あ、もう少しで目的地だな」
スマホを取りだし何かを確認しながら、運転手と話を始めた。
「どうしたんだよ」
「ん?あぁ、今から行くところ、駐車場二、三台しか止められないんだって。しかも今日はそこが満車だから、近くで降ろしてもらうから」
「そうなんだ」
しばらくして車が止まり、ドアノブに手をかけたところで外から開けられ思わず声を上げて驚いてしまった。
慣れない……この、ドアを開けてくれるっていう行為がどうしても慣れない。
有栖川は当たり前のようにしてるけど、こいついいとこの出なの。
「じゃあ……時間後くらいかな?飯食ったらちょっと歩きたいから」
「かしこまりました」そう言って、再び俺の手を握ろうと手を差し出してきた。
俺はその手をじっと見つめ、しまいには睨み付けてしまっていた。
「ほぉら。さっき言っただろ?」
本気かよ……こんな人通りの多い場所で、堂々と手を差し出されても、抵抗したい気持ちが勝るに決まってんだろ。思春期真っ盛りの高校生なめんなよ!
「制服着てないんだから、年齢なんて分かんないって」
俺の心の叫びが聞こえたのか、笑いながら言われやけくそになって手を繋いだ。
予想外の展開に有栖川は目を丸くしていた。
自分の手に納まった俺の手を何度も見つめている彼の表情筋は、終始緩みっぱなしだった。
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