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第1話 突然の知らない場所、隣に元ヤン!
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眠っていると鼻元にあたる草や土の匂いと背中にあたる地面の硬さに、夢の中で違和感を覚えた。
「おい!起きろ!」
私を抱き起こして、必死に揺さぶる荒々しい低い男の人の声。
重たい瞼を開けると、目の前に派手な髪色をしたヤンキーが居た。
「おい!おいってば!大丈夫か?!」
いや、ヤンキーというよりは少し大人っぽい。20代くらいかもしれない。元ヤンキーと言ったところか。
恐らく染めたか脱色しているであろう金髪に、鋭い目。
明らかにイカついといえる顔をしている男。
黒のTシャツに灰色のジーパン、革靴。
当たりを見渡すと、草原。
大草原にパジャマ姿の私と見知らぬ元ヤンが存在しているというおかしな状況。
誰か助けてください。
「ここ⋯⋯どこですか?何故私はここに⋯⋯」
彼に問うてみるも、彼は首を横に振る。
「俺も今、目を覚ました所だ。ここがどこかもわからねぇ。その感じだと、ここに俺を連れてきたのはお前じゃないんだな」
彼の言葉を少しだけ疑ってしまう。
もしかしたら、彼が私をここに攫ってきた可能性もあるよね?
「おい?そんな目で見るんじゃねぇ。俺だってお前をさらってきたわけじゃねぇよ」
「⋯⋯」
「⋯⋯いや、だから本当に俺はさらってねぇ」
「そうですか⋯⋯」
彼はしばらく考えたあと、舌打ちをして歩き出した。
「ちっ、行くぞ」
「え?」
突然の言葉に驚いた。
「こんな人もいねぇ所に、いつまでもいてもしょうがねぇ」
「私も連れていくんですか?」
「こんな訳わかんねえ場所に、そんな格好した女置いていけるわけねぇだろ。」
あれ?優しい。
確かにこんなところにパジャマで1人でいるのは、凄く心細い。
今頼れるのはこの人しかいないのだ。
ついていくしかない。
それに、なんだか悪い人では無さそうだ。
「あれっ!忘れ物ですよ!」
彼の足元には、大きめの黒い旅行鞄があった。
なんで持ってかないのかな?
「はぁ!?」
彼は驚いたように此方をみた。
「俺のじゃねぇ。お前のだろ」
……え?
「いや、私のじゃないです。……パジャマで旅行鞄持つとか、私は何者なんですか……」
「……ぁあ、それもそうだが……」
どうやら彼のものではないらしい。
しかしここは大草原、見渡す限りここには彼と私しかいない。
彼か、私のものでないならなんなんだ。
「開けてみましょう」
私が提案すると、彼は驚き目を見開いた。
「お前……拾得物横領罪って知ってるか……」
「え?なんですかそれ」
「……落とし物を勝手に自分のものにしたら犯罪ってことだ」
彼は、見た目のわりに根は真面目なようだ。
「でもこの辺に交番ありませんし、私達が何故ここにいるか手がかりになるようなものが入ってるかもしれませんよ?」
「……」
「中を見れば、落とし主の情報があるのかもしれませんし…」
「……」
「私、着ているものがパジャマだけで、なんだか寒気がしてきました……。中に何か羽織るものが入ってれば、お借りしたいです……」
私は、先程からパジャマ姿なのがとても心許ない。
どうしても、この鞄を開けたいのだ。
「分かった。開ける」
やっと了解してくれた。悩んでた彼だが何故か最後は即答だった。
私が鞄のファスナーに手をつけようとすると、彼の手がのびてきて、私の手を制止した。
「俺が開ける」
「開けた方が、お巡りさんと持ち主に怒られます。やはり、ここは私がっ!」
「駄目だ。俺が開ける!」
彼は頑なに私が開けるのを拒む。
「でも……」
「危険物が入ってるかもしれないだろ」
「危険物……?」
「爆弾とか」
「えええ!」
私は躊躇してしまった。
「少し、離れてろ」
彼はやはり優しい人です。
私が少し、離れると彼が鞄を開けた。
彼が中を探ると何かを発見し、目を見開いた。
「……っっ!!」
「え?やっぱり爆弾ですか?!」
私は身構えた。
彼はこちらを向き、驚きの言葉を言いはなった。
「…………俺の服が入ってる!!!」
「おい!起きろ!」
私を抱き起こして、必死に揺さぶる荒々しい低い男の人の声。
重たい瞼を開けると、目の前に派手な髪色をしたヤンキーが居た。
「おい!おいってば!大丈夫か?!」
いや、ヤンキーというよりは少し大人っぽい。20代くらいかもしれない。元ヤンキーと言ったところか。
恐らく染めたか脱色しているであろう金髪に、鋭い目。
明らかにイカついといえる顔をしている男。
黒のTシャツに灰色のジーパン、革靴。
当たりを見渡すと、草原。
大草原にパジャマ姿の私と見知らぬ元ヤンが存在しているというおかしな状況。
誰か助けてください。
「ここ⋯⋯どこですか?何故私はここに⋯⋯」
彼に問うてみるも、彼は首を横に振る。
「俺も今、目を覚ました所だ。ここがどこかもわからねぇ。その感じだと、ここに俺を連れてきたのはお前じゃないんだな」
彼の言葉を少しだけ疑ってしまう。
もしかしたら、彼が私をここに攫ってきた可能性もあるよね?
「おい?そんな目で見るんじゃねぇ。俺だってお前をさらってきたわけじゃねぇよ」
「⋯⋯」
「⋯⋯いや、だから本当に俺はさらってねぇ」
「そうですか⋯⋯」
彼はしばらく考えたあと、舌打ちをして歩き出した。
「ちっ、行くぞ」
「え?」
突然の言葉に驚いた。
「こんな人もいねぇ所に、いつまでもいてもしょうがねぇ」
「私も連れていくんですか?」
「こんな訳わかんねえ場所に、そんな格好した女置いていけるわけねぇだろ。」
あれ?優しい。
確かにこんなところにパジャマで1人でいるのは、凄く心細い。
今頼れるのはこの人しかいないのだ。
ついていくしかない。
それに、なんだか悪い人では無さそうだ。
「あれっ!忘れ物ですよ!」
彼の足元には、大きめの黒い旅行鞄があった。
なんで持ってかないのかな?
「はぁ!?」
彼は驚いたように此方をみた。
「俺のじゃねぇ。お前のだろ」
……え?
「いや、私のじゃないです。……パジャマで旅行鞄持つとか、私は何者なんですか……」
「……ぁあ、それもそうだが……」
どうやら彼のものではないらしい。
しかしここは大草原、見渡す限りここには彼と私しかいない。
彼か、私のものでないならなんなんだ。
「開けてみましょう」
私が提案すると、彼は驚き目を見開いた。
「お前……拾得物横領罪って知ってるか……」
「え?なんですかそれ」
「……落とし物を勝手に自分のものにしたら犯罪ってことだ」
彼は、見た目のわりに根は真面目なようだ。
「でもこの辺に交番ありませんし、私達が何故ここにいるか手がかりになるようなものが入ってるかもしれませんよ?」
「……」
「中を見れば、落とし主の情報があるのかもしれませんし…」
「……」
「私、着ているものがパジャマだけで、なんだか寒気がしてきました……。中に何か羽織るものが入ってれば、お借りしたいです……」
私は、先程からパジャマ姿なのがとても心許ない。
どうしても、この鞄を開けたいのだ。
「分かった。開ける」
やっと了解してくれた。悩んでた彼だが何故か最後は即答だった。
私が鞄のファスナーに手をつけようとすると、彼の手がのびてきて、私の手を制止した。
「俺が開ける」
「開けた方が、お巡りさんと持ち主に怒られます。やはり、ここは私がっ!」
「駄目だ。俺が開ける!」
彼は頑なに私が開けるのを拒む。
「でも……」
「危険物が入ってるかもしれないだろ」
「危険物……?」
「爆弾とか」
「えええ!」
私は躊躇してしまった。
「少し、離れてろ」
彼はやはり優しい人です。
私が少し、離れると彼が鞄を開けた。
彼が中を探ると何かを発見し、目を見開いた。
「……っっ!!」
「え?やっぱり爆弾ですか?!」
私は身構えた。
彼はこちらを向き、驚きの言葉を言いはなった。
「…………俺の服が入ってる!!!」
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