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戦神と末裔
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「魔法の基礎知識と情報の紐づけは終わった。あとは実践あるのみだから魔法の話はここまでにしようか。さて、ディアナ騎士団長の話だけど......」
「えっ魔法の勉強ってこれでお終いなんですか? もっと何かをやり方とか......」
「魔法と言っても今教えて出来ることなんてたかが知れているからね。ソレなら既に出来ている強化魔法の精度向上を図ったほうが、恐らくロイのためになるだろう? ここまで熱心に魔法を習いたいのは、近い将来使わなければ行けない状況が訪れるからなんだろうし」
「アハハ……もう、お見通しでしたか......」
「戦闘用の魔法はキャンベル教官かに習うと良いよ。あの人も元々は魔法使いの家系出身らしいし」
キャンベル教官って魔法も使えるんだ。あの人もあの人で、ほんと何でもできるな。
「それでディアナ騎士団長の話だけど」
「あ、そうでした。ディアナさんが神様の末裔って、それ本当なんですか?」
確かに三大神は元々ただの人間だと言うのは、智神マキナと魔法の関係を聞いたらなんとなくわかった。ただ三大神が生きていた時代って数百年も昔の話なのだから、誰が誰の末裔かなんて調べようがないんじゃないかな?
「どうやってディアナさんが、数百年も昔に生きていたヒトの末裔だと判明したんですか? だって今みたいに魔力鑑定的なのはないはずでしょう?」
先日マーカスさんに、魔力鑑定について教えてもらったことがある。あれは物品に残留している魔力の波長を調べ、過去の記録と照らし合わせる事で人物を特定する技術だと言っていた。
ただ欠点としては魔力の残留は短時間で散ってしまうので、長時間経っているものを調べることはできないらしい。それにあの技術はつい数年前に完成したものらしく、技術の発展が遅れていた数百年前にもあるとは到底思えない。
「それは強力な雷の力を使うことができるからですね」
「魔法を使えるって事ですか?」
「そうじゃなくてね。魔法無しで雷を創り出し、魔法を使う様に操ることができるんです」
魔法の無しにそんな事を出来るのかな? それこそさっき言っていた“情報の紐付け”でどうにかなるものなの。
「さっきも言ったけど、三大神信仰は人魔大戦で活躍した3人の聖人を讃える宗教だ。その中で戦神ヘルメは特に、人魔大戦で貢献した勇者と言われている」
「勇者......あっもしかして、勇者ヘルメと戦神ヘルメって同一人物なんですか!?」
「ああ、そこからか。“勇者ヘルメ”という呼び名は”原初の魔法使いマキナ“と同じ生前に呼ばれていたモノだね」
勇者ヘルメといえばこの間、先生と話していたコスタルマ伝説に登場する名だ。戦神ヘルメと同じ名前なのになぜ今まで気がつかなかったんだろう!!
「はえーじゃあ、コスタルマ伝説で描かれている勇者ヘルメと同様に、雷で人魔大戦を生き抜いたんですね!?」
「おおう、なんかすごいグイグイくるね。まあ、雷だけで人魔大戦で功績を残したというよりは、数多くある技の中の一つだったらしいね」
なんかすっごいテンション上がってきた。もしかしてディアナさんも、勇者ヘルメみたいに戦うことができるのかな!? もしそうだとしたら騎士団長の地位に知多のも納得だ!!
「そうだ。剣神流の雷光一閃って知ってるかい?」
「ええ、知っていますよ。剣神流の技ですよね?」
これはレヴィルさん達と初めて会った時に、先生がマーカスさんと戦うことになって使われた技だ。その速さたるや僕の目では全く追えない程であったのを、今でも鮮明に覚えている。
「アレもそうですが剣神流自体が戦神ヘルメの闘法を、後世のヒトの為に残した技術だと言われているね」
「言われている?」
なぜそんな曖昧な表現をしているのだろう。騎士団でも必修の武術にしてるくらいなんだから、戦神ヘルメが使っていた技で間違いないんじゃないのかな?
「これも凄く複雑な理由があるんだけど、そもそもこの技術は戦神ヘルメに近づくための技術であって、勇者ヘルメが使っていた技術そのものではないんだ」
「えっじゃあ剣神流って誰が作ったモノなんですか?」
「それは要塞都市ガルドとグラズバの街の領主様が、人魔大戦の終戦後に共同で作り出したモノらしいんだ。そもそも勇者ヘルメは人魔大戦で亡くなってしまったし、自らの技術を残す暇がなかったみたい。そこで勇者ヘルメと深い交流関係を持っていた、当時の領主様達が勇者の関係者を集めて、見様見真似で編纂したとされている武術なんだ」
「はえーそれは知りませんでした。でもそれとディアナさんが勇者ヘルメの末裔だと言うのはどう関係するんですか?」
「そこがねぇ......ガルドの現領主様が、ディアナさんを末裔だと発表したからとしかいえないんだよね」
「ええ、その根拠とかはないんですか」
僕は困惑した表情を浮かべながら、首を傾げて質問をした。するとピアソンさんは顎に手を当てながら、自論を述べる。
「まあ、少なくとも勇者ヘルメの様に魔法無しで雷を使うことができるから、それが要因で末裔だと言われているんじゃないかな」
「それだけで貴族様の養子になるもんなんですかね?」
「え、何それ初耳なんだけど。ディアナさんって元々ライル家の令嬢じゃないの!?」
僕の発言に目が飛び出るんじゃないかと思うほど瞼を開きながら立ち上がる。
「僕はディアナさんから養子に入ったって聞いたけど、あれこれっていうとまずい事だったのかな? 普通にズギの交易街で観光しながら話されたんだけど......」
「......今回の話は聞かなかったことにするよ。ライル侯爵家にとって不都合なことなら、下手すると消されるからね......」
「え、こわ......」
やっぱ僕って余計なこと言っちゃうな......少し気をつけた方がよさそうだよね。ディアナさんは気にしなさそうだけど、領主様もそうとは限らない。流石の僕も貴族様の機嫌を損ねたくはない。
「ちょっとこの話はここまでにしましょうか」
「そうだね。えーっと、じゃあ今日はここまでにしようか。もうそろそろ食堂も開くから、ついでに夕飯でも食べに行こうか」
「そうですね。今日は頭をいっぱいつかったせいで、もうお腹ぺこぺこです!!」
こうして僕とピアソンさんの魔法に関するお勉強会はお開きとなった。
あれっ、よく考えるとあんまり魔法の勉強してなくない......?
「えっ魔法の勉強ってこれでお終いなんですか? もっと何かをやり方とか......」
「魔法と言っても今教えて出来ることなんてたかが知れているからね。ソレなら既に出来ている強化魔法の精度向上を図ったほうが、恐らくロイのためになるだろう? ここまで熱心に魔法を習いたいのは、近い将来使わなければ行けない状況が訪れるからなんだろうし」
「アハハ……もう、お見通しでしたか......」
「戦闘用の魔法はキャンベル教官かに習うと良いよ。あの人も元々は魔法使いの家系出身らしいし」
キャンベル教官って魔法も使えるんだ。あの人もあの人で、ほんと何でもできるな。
「それでディアナ騎士団長の話だけど」
「あ、そうでした。ディアナさんが神様の末裔って、それ本当なんですか?」
確かに三大神は元々ただの人間だと言うのは、智神マキナと魔法の関係を聞いたらなんとなくわかった。ただ三大神が生きていた時代って数百年も昔の話なのだから、誰が誰の末裔かなんて調べようがないんじゃないかな?
「どうやってディアナさんが、数百年も昔に生きていたヒトの末裔だと判明したんですか? だって今みたいに魔力鑑定的なのはないはずでしょう?」
先日マーカスさんに、魔力鑑定について教えてもらったことがある。あれは物品に残留している魔力の波長を調べ、過去の記録と照らし合わせる事で人物を特定する技術だと言っていた。
ただ欠点としては魔力の残留は短時間で散ってしまうので、長時間経っているものを調べることはできないらしい。それにあの技術はつい数年前に完成したものらしく、技術の発展が遅れていた数百年前にもあるとは到底思えない。
「それは強力な雷の力を使うことができるからですね」
「魔法を使えるって事ですか?」
「そうじゃなくてね。魔法無しで雷を創り出し、魔法を使う様に操ることができるんです」
魔法の無しにそんな事を出来るのかな? それこそさっき言っていた“情報の紐付け”でどうにかなるものなの。
「さっきも言ったけど、三大神信仰は人魔大戦で活躍した3人の聖人を讃える宗教だ。その中で戦神ヘルメは特に、人魔大戦で貢献した勇者と言われている」
「勇者......あっもしかして、勇者ヘルメと戦神ヘルメって同一人物なんですか!?」
「ああ、そこからか。“勇者ヘルメ”という呼び名は”原初の魔法使いマキナ“と同じ生前に呼ばれていたモノだね」
勇者ヘルメといえばこの間、先生と話していたコスタルマ伝説に登場する名だ。戦神ヘルメと同じ名前なのになぜ今まで気がつかなかったんだろう!!
「はえーじゃあ、コスタルマ伝説で描かれている勇者ヘルメと同様に、雷で人魔大戦を生き抜いたんですね!?」
「おおう、なんかすごいグイグイくるね。まあ、雷だけで人魔大戦で功績を残したというよりは、数多くある技の中の一つだったらしいね」
なんかすっごいテンション上がってきた。もしかしてディアナさんも、勇者ヘルメみたいに戦うことができるのかな!? もしそうだとしたら騎士団長の地位に知多のも納得だ!!
「そうだ。剣神流の雷光一閃って知ってるかい?」
「ええ、知っていますよ。剣神流の技ですよね?」
これはレヴィルさん達と初めて会った時に、先生がマーカスさんと戦うことになって使われた技だ。その速さたるや僕の目では全く追えない程であったのを、今でも鮮明に覚えている。
「アレもそうですが剣神流自体が戦神ヘルメの闘法を、後世のヒトの為に残した技術だと言われているね」
「言われている?」
なぜそんな曖昧な表現をしているのだろう。騎士団でも必修の武術にしてるくらいなんだから、戦神ヘルメが使っていた技で間違いないんじゃないのかな?
「これも凄く複雑な理由があるんだけど、そもそもこの技術は戦神ヘルメに近づくための技術であって、勇者ヘルメが使っていた技術そのものではないんだ」
「えっじゃあ剣神流って誰が作ったモノなんですか?」
「それは要塞都市ガルドとグラズバの街の領主様が、人魔大戦の終戦後に共同で作り出したモノらしいんだ。そもそも勇者ヘルメは人魔大戦で亡くなってしまったし、自らの技術を残す暇がなかったみたい。そこで勇者ヘルメと深い交流関係を持っていた、当時の領主様達が勇者の関係者を集めて、見様見真似で編纂したとされている武術なんだ」
「はえーそれは知りませんでした。でもそれとディアナさんが勇者ヘルメの末裔だと言うのはどう関係するんですか?」
「そこがねぇ......ガルドの現領主様が、ディアナさんを末裔だと発表したからとしかいえないんだよね」
「ええ、その根拠とかはないんですか」
僕は困惑した表情を浮かべながら、首を傾げて質問をした。するとピアソンさんは顎に手を当てながら、自論を述べる。
「まあ、少なくとも勇者ヘルメの様に魔法無しで雷を使うことができるから、それが要因で末裔だと言われているんじゃないかな」
「それだけで貴族様の養子になるもんなんですかね?」
「え、何それ初耳なんだけど。ディアナさんって元々ライル家の令嬢じゃないの!?」
僕の発言に目が飛び出るんじゃないかと思うほど瞼を開きながら立ち上がる。
「僕はディアナさんから養子に入ったって聞いたけど、あれこれっていうとまずい事だったのかな? 普通にズギの交易街で観光しながら話されたんだけど......」
「......今回の話は聞かなかったことにするよ。ライル侯爵家にとって不都合なことなら、下手すると消されるからね......」
「え、こわ......」
やっぱ僕って余計なこと言っちゃうな......少し気をつけた方がよさそうだよね。ディアナさんは気にしなさそうだけど、領主様もそうとは限らない。流石の僕も貴族様の機嫌を損ねたくはない。
「ちょっとこの話はここまでにしましょうか」
「そうだね。えーっと、じゃあ今日はここまでにしようか。もうそろそろ食堂も開くから、ついでに夕飯でも食べに行こうか」
「そうですね。今日は頭をいっぱいつかったせいで、もうお腹ぺこぺこです!!」
こうして僕とピアソンさんの魔法に関するお勉強会はお開きとなった。
あれっ、よく考えるとあんまり魔法の勉強してなくない......?
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