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魔法具と賭け事
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街で再開したロイとレヴィルは、ウィルに言われた通り街を散策しながら闘技場へ向かっていた。
「はぇーなんか色々な武器がありますね。王都にいたギルドマンが使ってるような武器もあれば…初めて見るヘンテコな武器もありますし、歩いてるだけでも何だか面白い街ですね!!」
ロイは目を輝かせながら路上で開かれている見本市を眺めていた。そんなロイを見てレヴィルは少し笑いながら街の解説をする。
「ここは街の中でも最も武具商売が盛んなエリアですからね。それに今は"生誕祭"や"豊穣祭"が近づいていますので祭事の儀式用武具を生産依頼する方も多いみたいです」
「確かに生誕祭が近いですもんね。それでこんなにヘンテコな武器が一杯あるんだ」
ロイが言うヘンテコな武器という単語に周りの近場で作業している職人ぽい人達が少し睨みつけてくるが、その発言をしているのが子供だとわかると直ぐに興味を無くし外方を向いた。
その様子を見ていたレヴィルは苦笑いを浮かべながらロイに注意する。
「ロイ様。一応ここは三大信仰が盛んな街ですのでそういった発言は控えたほうがよろしいかと…」
「あぁすみません。気をつけます!!」
「いえ、わかっていただけたら良いのです。ロイ様に危害が及ぶのは私としても不本意ですので…どうかしましたかロイ様?」
ロイがある店の前で止まり何やら眺めている。看板を見るとそこは魔道具店だとわかった。
「レヴィルさん。この魔道具店って戦闘用の道具ってあるんですかね?」
「魔道具店ですか。そうですね...闘技場の閉場時間はまだ先ですので一度入って見てみましょうか?」
「そうですね!!」
こうして二人は魔道具店の中へと入っていく。中に入るとまず何処かで嗅いだことのある青臭い香りと見るからに魔術的な模様が描かれた店の壁に目が行く。
他にも魔道具…というよりは虫の死骸?のようなものがたくさん飾ってあり、どちらかと言うと博物館に近い内装となっている。
「うへぇなんか色々とすごいですね…」
「王都にはこういった店はあまりありませんから驚かれましたか?旅をしていればこういった店は沢山ありますから、きっとすぐに慣れますよ」
ロイとレヴィルが話していると、奥から肩幅ほどの広さの特徴的なつばがある帽子を被った男性が話しかけてくる。
「いらっしゃいませ。どういったご要件でしょうか?」
男はどうやらこの店の店主のようで、来店してきた二人に接客してきた。
「ちょうど今日質のいい虫が大量に入りましたので、魔道具から魔法薬まで品揃え豊富です!!今ならお客様のご要望も承っておりますのでコチラにない商品がありましたら是非お申し付け下さい!!」
来店してすぐの二人に対してグイグイ来る店主の気迫に、普段はいろんな事に乗り気な性格のロイも流石に動揺する。
「え、えーと実は僕戦闘に使えそうな武器とか探してるんですけど…」
「ほう、武器ですか?」
そう言いながら店主は顎に手を当て何かを考える仕草をする。そしてしばらくの間なにかを考え、何かを思いついたのか手をポンッと叩く。
「それなら良いものがあります!!ちょっと持ってきますので少々お待ち下さいね!!」
そう言うと有無を言わさず店の奥へと引っ込んでいった。嵐のように去っていった店主に唖然とするロイがレヴィルに疑問を投げかける。
「魔道具の人ってだいたいこんな感じなんですか?」
その発言にレヴィルは苦笑いをしながら謝罪混じりに否定する。
「先程旅をしていればこういった店は沢山あると言いましたが…申し訳ありません。これはかなり特殊なパターンですね...」
「あっよかった。これが正常な対応ではないんですね」
だいぶ失礼なことを言うロイに対して、レヴィルはあながち間違いではないその発言を注意できずにいた。
「うーん、店主さん奥に行っちゃったし、少し中でもみますか?」
「このままボーっとしていても仕方がありませんしそうしましょうか」
「にしても虫の標本?がとてもいっぱいありますね。魔道具ってどれのことなんでしょうか」
ロイは魔道具を知らないため部屋を見渡しながらレヴィルに尋ねる。それに店に置かれたテーブルの上に並ぶツボや瓶を指差しながら話す。
「そうですね。恐らくはこの魔術論的な紋様が刻まれた物や壁に飾ってある虫の標本が入った額縁などが魔道具だと思われます。しかし見た限りでは戦闘に役立ちそうな物はありませんね?」
「ええ、じゃあ日用品専門の魔道具やなのかな?でも良いものがあるって言ってたしな~」
「そうですね。もしかしたら危ない魔道具は奥にしまっているのかもしれません。少し待ちましょうか」
「それもそうですね」
そうして二人はあの強烈印象の店主が戻ってくるのをしばらくの間店を見回りながら待った。そうこうしていると奥から何やら箱のようなものを持った店主が現れる。
「いやぁ…お待たせしました!!こちらがおすすめの品です!!」
そう言いながら空いているテーブルの上で持ってきた箱を置く。その箱はひと目見ただけでわかるくらい古めかしい物であり、まさか骨董品を売られるのではとロイは少し不安が込み上げてくる。
「えーと…これは一体…」
困惑するロイに変わってレヴィルが店主へと質問をする。
「まあ、ちょっとお待ち下さいね」
そう言いながら店主は箱を慎重に開ける。そして箱が開き中に入っているものの全貌が明らかとなる。
「こ、これって!?」
中に入っているものを確認するとレヴィルは驚愕の声を上げる。中にはどういう原理か定かではないが、半透明で箱の底が薄っすらと透けて見える杭のようなものが入っていた。
それに疑問を持ったロイが質問すると興奮した様子で店主が説明を始めた。
「これはですねぇ…【閼伽の木器】と呼ばれる魔道具です。これは彼の【聖人】が先の大戦で魔のものの大将を討ち取る為に生み出したとされる、原初の魔法具とも言われている代物です」
「これは…私も初めてお目にかかりました。まさかこんな物が市場に出回っているなんて...」
店主の説明を聞き驚愕の表情を浮かべるレヴィルに対して、未だ微妙な顔をするロイはさらなる疑問を投げかける。
「えーと、すごいものだってのは何となくわかったんですけど、一体これはどういう事ができるんですか?」
「これにできるのはただ一つだけです。悪しき物を分断し滅する事ができるのです」
「ただしこれが使えるのは一度きり、つまるところ最後の奥の手でしか使えない物になります。ソレを加味したうえで、その強さは先の大戦で十分に証明されていますがね」
そう言って店主は一度ハコを閉める。
「これは貴重なものですので、お高めになりますがそれでも損は絶対にしないと断言できます。たとえ一度使っても使わなくても、この魔法具の影響で持ち主は聖人加護が付き、持ち主を護ってくれるとされていますから」
「聖人に馴染みの深い物はそれが近くにあるだけで、信仰を増大させ聖人の権能をより強固なものへとしてくれる…というのは聞いたことがあります。ロイ様。もしこれ本物であればきっとあなたの旅の役に立つはずです!!」
「本物だったらそうかもしれませんが、本当にこれが本物だという証拠はあるんですか?」
ロイはあまりにも胡散臭い店主の説明に難色を示す。それに対して店主は笑いながら答える。
「我々の業界はいくつかのタブーがあります。1つ目は魔法や魔術の信用を失う行為。2つ目は魂を弄る行為。3つ目に自由を侵す行為。私達魔法使いや魔術師は魔法に対して真摯でなければいけない」
そこまで話すと先程までとは打って変わって真剣な顔でロイの目を真っ直ぐ見つめる。
「これは三大神が一柱。魔法の祖にして叡智を司る存在。智神マキナを裏切り否定する行為です。我々の魔法はいわば彼の神を信仰する事と同義なのです」
「…わかりました。店主の話は信じます。でもこれっていくらするんですか?」
その発言を待ってましたとばかりに店主はニヤける。
「金額は30万エリカでどうでしょう?」
30万エリカはギルドで一回に得られる収入の十数倍にもなる金額であった。因みに前回魔族を倒した際に貰えた報酬は3万エリカ(特別報酬込み)なので金額だけ見ると魔族を10体倒すのと同等の価値になる。
「たっか!?そんな大金ありませんよ!?」
「流石にそれほどの大金は持ち合わせはありませんね...」
「まあ、これでも良心的な値段なんですよ?私としてもこんな高額なしなをここに腐らせておくのは魔法使いとして勿体無いですし、だからといってただで渡すわけにも行かないので…私も商売人ですからね?」
「うーん、流石にこれは買えませんね...」
「あっ…」
そこまで言うとレヴィルは一つの可能性に気がついた。
「レヴィルさんどうしました?」
「ロイ様は闘技場で修行をされるんですよね?」
「はいそうですけど」
ロイはまたしても目的を忘れていたが、元々は闘技場に視察をするために街に繰り出していた。そこでレヴィルはその目的地である闘技場でとある催しがあることをロイに話す。
「あそこって闘技者の勝敗を賭ける催しがあるんですが…もしかしたらそこで一気に稼ぐことが出来るかもしれません!!」
「勿論ロイ様の頑張り次第になってしまいますが、その賭けが成功したら30万エリカは確実に狙えます!!」
「僕の頑張り次第...わかりました僕その勝負に勝ってこの魔法具を買います!!」
その話を聞きロイが俄然やる気になる。賭けとは人の心を震わす魅惑の遊戯なのである。
「おお!!良い意気込みです!!どうせ他の方に売る予定は無いので期待しすぎずに待っておきますね!!」
それんなロイに対して全く期待していないかのような発言をする店主。それにロイはツッコミを入れる。
「絶対僕たちが勝てるって思ってませんよねソレ!?」
店主の態度に憤るロイであったが、店主がロイに正論をお見舞する。
「いやぁ賭けで稼いできますって方はだいたい失敗してるイメージがあるもので…」
「クッ...言い返せない...!!でも必ずここに戻ってきてその魔法具買ってやりますから待っててくださいね!!」
「フフッ…元気になってよかったです。あ、店主さんお邪魔しました。また機会がありましたらよろしくお願いいたします」
「ええ、また来てくださいね~」
こうしてロイとレヴィルは店をあとにする。その後ろ姿を店主は心配混じりの笑顔で見送った。
「はぇーなんか色々な武器がありますね。王都にいたギルドマンが使ってるような武器もあれば…初めて見るヘンテコな武器もありますし、歩いてるだけでも何だか面白い街ですね!!」
ロイは目を輝かせながら路上で開かれている見本市を眺めていた。そんなロイを見てレヴィルは少し笑いながら街の解説をする。
「ここは街の中でも最も武具商売が盛んなエリアですからね。それに今は"生誕祭"や"豊穣祭"が近づいていますので祭事の儀式用武具を生産依頼する方も多いみたいです」
「確かに生誕祭が近いですもんね。それでこんなにヘンテコな武器が一杯あるんだ」
ロイが言うヘンテコな武器という単語に周りの近場で作業している職人ぽい人達が少し睨みつけてくるが、その発言をしているのが子供だとわかると直ぐに興味を無くし外方を向いた。
その様子を見ていたレヴィルは苦笑いを浮かべながらロイに注意する。
「ロイ様。一応ここは三大信仰が盛んな街ですのでそういった発言は控えたほうがよろしいかと…」
「あぁすみません。気をつけます!!」
「いえ、わかっていただけたら良いのです。ロイ様に危害が及ぶのは私としても不本意ですので…どうかしましたかロイ様?」
ロイがある店の前で止まり何やら眺めている。看板を見るとそこは魔道具店だとわかった。
「レヴィルさん。この魔道具店って戦闘用の道具ってあるんですかね?」
「魔道具店ですか。そうですね...闘技場の閉場時間はまだ先ですので一度入って見てみましょうか?」
「そうですね!!」
こうして二人は魔道具店の中へと入っていく。中に入るとまず何処かで嗅いだことのある青臭い香りと見るからに魔術的な模様が描かれた店の壁に目が行く。
他にも魔道具…というよりは虫の死骸?のようなものがたくさん飾ってあり、どちらかと言うと博物館に近い内装となっている。
「うへぇなんか色々とすごいですね…」
「王都にはこういった店はあまりありませんから驚かれましたか?旅をしていればこういった店は沢山ありますから、きっとすぐに慣れますよ」
ロイとレヴィルが話していると、奥から肩幅ほどの広さの特徴的なつばがある帽子を被った男性が話しかけてくる。
「いらっしゃいませ。どういったご要件でしょうか?」
男はどうやらこの店の店主のようで、来店してきた二人に接客してきた。
「ちょうど今日質のいい虫が大量に入りましたので、魔道具から魔法薬まで品揃え豊富です!!今ならお客様のご要望も承っておりますのでコチラにない商品がありましたら是非お申し付け下さい!!」
来店してすぐの二人に対してグイグイ来る店主の気迫に、普段はいろんな事に乗り気な性格のロイも流石に動揺する。
「え、えーと実は僕戦闘に使えそうな武器とか探してるんですけど…」
「ほう、武器ですか?」
そう言いながら店主は顎に手を当て何かを考える仕草をする。そしてしばらくの間なにかを考え、何かを思いついたのか手をポンッと叩く。
「それなら良いものがあります!!ちょっと持ってきますので少々お待ち下さいね!!」
そう言うと有無を言わさず店の奥へと引っ込んでいった。嵐のように去っていった店主に唖然とするロイがレヴィルに疑問を投げかける。
「魔道具の人ってだいたいこんな感じなんですか?」
その発言にレヴィルは苦笑いをしながら謝罪混じりに否定する。
「先程旅をしていればこういった店は沢山あると言いましたが…申し訳ありません。これはかなり特殊なパターンですね...」
「あっよかった。これが正常な対応ではないんですね」
だいぶ失礼なことを言うロイに対して、レヴィルはあながち間違いではないその発言を注意できずにいた。
「うーん、店主さん奥に行っちゃったし、少し中でもみますか?」
「このままボーっとしていても仕方がありませんしそうしましょうか」
「にしても虫の標本?がとてもいっぱいありますね。魔道具ってどれのことなんでしょうか」
ロイは魔道具を知らないため部屋を見渡しながらレヴィルに尋ねる。それに店に置かれたテーブルの上に並ぶツボや瓶を指差しながら話す。
「そうですね。恐らくはこの魔術論的な紋様が刻まれた物や壁に飾ってある虫の標本が入った額縁などが魔道具だと思われます。しかし見た限りでは戦闘に役立ちそうな物はありませんね?」
「ええ、じゃあ日用品専門の魔道具やなのかな?でも良いものがあるって言ってたしな~」
「そうですね。もしかしたら危ない魔道具は奥にしまっているのかもしれません。少し待ちましょうか」
「それもそうですね」
そうして二人はあの強烈印象の店主が戻ってくるのをしばらくの間店を見回りながら待った。そうこうしていると奥から何やら箱のようなものを持った店主が現れる。
「いやぁ…お待たせしました!!こちらがおすすめの品です!!」
そう言いながら空いているテーブルの上で持ってきた箱を置く。その箱はひと目見ただけでわかるくらい古めかしい物であり、まさか骨董品を売られるのではとロイは少し不安が込み上げてくる。
「えーと…これは一体…」
困惑するロイに変わってレヴィルが店主へと質問をする。
「まあ、ちょっとお待ち下さいね」
そう言いながら店主は箱を慎重に開ける。そして箱が開き中に入っているものの全貌が明らかとなる。
「こ、これって!?」
中に入っているものを確認するとレヴィルは驚愕の声を上げる。中にはどういう原理か定かではないが、半透明で箱の底が薄っすらと透けて見える杭のようなものが入っていた。
それに疑問を持ったロイが質問すると興奮した様子で店主が説明を始めた。
「これはですねぇ…【閼伽の木器】と呼ばれる魔道具です。これは彼の【聖人】が先の大戦で魔のものの大将を討ち取る為に生み出したとされる、原初の魔法具とも言われている代物です」
「これは…私も初めてお目にかかりました。まさかこんな物が市場に出回っているなんて...」
店主の説明を聞き驚愕の表情を浮かべるレヴィルに対して、未だ微妙な顔をするロイはさらなる疑問を投げかける。
「えーと、すごいものだってのは何となくわかったんですけど、一体これはどういう事ができるんですか?」
「これにできるのはただ一つだけです。悪しき物を分断し滅する事ができるのです」
「ただしこれが使えるのは一度きり、つまるところ最後の奥の手でしか使えない物になります。ソレを加味したうえで、その強さは先の大戦で十分に証明されていますがね」
そう言って店主は一度ハコを閉める。
「これは貴重なものですので、お高めになりますがそれでも損は絶対にしないと断言できます。たとえ一度使っても使わなくても、この魔法具の影響で持ち主は聖人加護が付き、持ち主を護ってくれるとされていますから」
「聖人に馴染みの深い物はそれが近くにあるだけで、信仰を増大させ聖人の権能をより強固なものへとしてくれる…というのは聞いたことがあります。ロイ様。もしこれ本物であればきっとあなたの旅の役に立つはずです!!」
「本物だったらそうかもしれませんが、本当にこれが本物だという証拠はあるんですか?」
ロイはあまりにも胡散臭い店主の説明に難色を示す。それに対して店主は笑いながら答える。
「我々の業界はいくつかのタブーがあります。1つ目は魔法や魔術の信用を失う行為。2つ目は魂を弄る行為。3つ目に自由を侵す行為。私達魔法使いや魔術師は魔法に対して真摯でなければいけない」
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「金額は30万エリカでどうでしょう?」
30万エリカはギルドで一回に得られる収入の十数倍にもなる金額であった。因みに前回魔族を倒した際に貰えた報酬は3万エリカ(特別報酬込み)なので金額だけ見ると魔族を10体倒すのと同等の価値になる。
「たっか!?そんな大金ありませんよ!?」
「流石にそれほどの大金は持ち合わせはありませんね...」
「まあ、これでも良心的な値段なんですよ?私としてもこんな高額なしなをここに腐らせておくのは魔法使いとして勿体無いですし、だからといってただで渡すわけにも行かないので…私も商売人ですからね?」
「うーん、流石にこれは買えませんね...」
「あっ…」
そこまで言うとレヴィルは一つの可能性に気がついた。
「レヴィルさんどうしました?」
「ロイ様は闘技場で修行をされるんですよね?」
「はいそうですけど」
ロイはまたしても目的を忘れていたが、元々は闘技場に視察をするために街に繰り出していた。そこでレヴィルはその目的地である闘技場でとある催しがあることをロイに話す。
「あそこって闘技者の勝敗を賭ける催しがあるんですが…もしかしたらそこで一気に稼ぐことが出来るかもしれません!!」
「勿論ロイ様の頑張り次第になってしまいますが、その賭けが成功したら30万エリカは確実に狙えます!!」
「僕の頑張り次第...わかりました僕その勝負に勝ってこの魔法具を買います!!」
その話を聞きロイが俄然やる気になる。賭けとは人の心を震わす魅惑の遊戯なのである。
「おお!!良い意気込みです!!どうせ他の方に売る予定は無いので期待しすぎずに待っておきますね!!」
それんなロイに対して全く期待していないかのような発言をする店主。それにロイはツッコミを入れる。
「絶対僕たちが勝てるって思ってませんよねソレ!?」
店主の態度に憤るロイであったが、店主がロイに正論をお見舞する。
「いやぁ賭けで稼いできますって方はだいたい失敗してるイメージがあるもので…」
「クッ...言い返せない...!!でも必ずここに戻ってきてその魔法具買ってやりますから待っててくださいね!!」
「フフッ…元気になってよかったです。あ、店主さんお邪魔しました。また機会がありましたらよろしくお願いいたします」
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