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戯けた道化
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森での捜索からちょうど5日が経過した。
そんな中でロイとウィルは気分転換にと、ギルド所有の訓練場で強化魔法の修行をしていた。
「先生」
「なんだ?」
ロイが修行の最中あることに疑問が浮かびウィルに対してその疑問を尋ねてきた。
「一つ気になったんですけど、身体強化魔法って妨害されると効果が途切れるじゃないですか」
「すべてがそうではないが、確かに魔力や強い衝撃が加えられると無効化される場合があるな」
「ですよね。じゃあなんで強化魔法をまとった状態の剣は魔法を弾いたり、強い衝撃があっても解除されないんですか?」
「相手も魔法で防御とかするだろうし、でも実際に消えるのは攻撃された側の魔法だけですよね」
「何故お互いの魔力同士で相殺されないか。ということか?」
「そんな感じです。そういった魔法とかってあるんですか?」
「そうだな…よしロイ、一度剣に強化魔法をかけてみろ」
ウィルはロイに対して数日で習った強化魔法を発動させるよう促す。それを聞いたロイも大人しくそれに従う形で魔法を行使する。
「こうですか?」
「ああ、そのままの状態で保っていろ」
そう言言いながらウィルはロイが構える剣に触れる。すると今まで纏っていた魔力が揺らぎ始め最終的に魔力を維持することができなくなった。
「これが魔法における妨害の基本。封魔術と呼ばれるものだ」
「封魔術ですか?」
「主に自らの魔力を相手の魔力に流し込んで、相手が使う結界魔術や防護魔法を乱す技法だ。何かしらの要因で川に大量の土砂が流れ込み川の流れ塞き止める様なものだ」
そう言うと一度剣から手を離す。すると今まで保つことの出来なかった魔力がもとに戻る。
「あっ…なおった」
「これはあくまでも技の効果の範疇だが、お前が言っている剣にかかった魔法が途切れないというのはこれとは全く違う原理だな」
「そうなんですか?」
「もしこれが原因ならそもそも防護魔法は意味を成さないだろう。それにお前はまだこの技法を使えないだろうしな」
「えぇ…無意識で使えてたりとかは…」
「それは無い。これは断言できるが戦闘で使えるやつなど恐らくこの国全体で見ても少数だろう。実際オレも実践に使えるレベルとは程遠い」
「出来たとしても相手の魔力にオレの魔力をぶつけて魔力の操作精度を下げるくらいだ」と言うウィルに対してロイの疑問がより深まるり困惑する。
「じゃあ他の原因ってのは?」
「単純に魔力総量と威力の差が関係してると言われている」
「言われている?」
「本職の間でも意見が割れているらしい。簡単に言うと属性魔法が貫通するのと同じ理屈で、結界などの耐久値を超える威力か魔力量があれば魔法は相殺されない」
「相性にもよるだろうがな」
「じゃあめちゃくちゃ多い魔力で強化した攻撃なら一方的に格上の魔法防護を突破できるんですねかね」
「理論上はそういうことだろうな。しかしそういった事は殆ど起こり得ないな」
「それはまたどうしてですか?」
「単純だ。そんな身体強化魔法を使うくらいなら普通に魔法を行使したほうが強い」
ロイは先日の回帰石での電撃魔法を思い出す。
「確かに…人間だったらもっと酷いことになってますもんね」
「魔族を相手にするのであれば話は別だろうが、基本はより洗練された魔法が勝つ世界だ。それに身体強化には耐久値的な限界はあっても、属性魔法には理論上限界はないからな」
「え、強化魔法って限界があるんですか!?」
「ある程度までなら許容できるだろうが属性魔法と違い、実際の物に作用させるにはどうしても限界がうまれる。筋力を強化しすぎて内臓が潰れたなんて笑い話があるくらいだ」
その話を聞いてロイは少し身震いをする。
「ヒェ…そんな危ないんですね強化魔法って…」
「まあ、あくまでも笑い話だ。それに人間の範疇を超えたら何が起こるかなんて誰にも分からないだろう」
「きっと今信仰されている三大神はすごい力を持っていたんでしょうね」
「…それは知らん」
強化魔法の説明を終えロイがいつものようなくだらない話を始めたところで2人に声がかかる。
「お楽しみの所、失礼しますね」
2人は声のする方行へ視点を動かすとそこには…
軽装鎧を着込んだ男性が数人こちらの修行を静観していた。そのうちの一人が笑顔でこちらに話しかけてくる。
「随分と熱心に修業なさっているようでしたので一段落するまでお待ちしておりました。わたくし王国騎士団の当遠征部隊の指揮しております。【ロバート•ロックウッド】と申します」
そう言いながらロバートと名乗る男性は頭を下げる。それに続くように後にいる同じく王国騎士団員であろう2人も頭を下げる。
「そうか。それでなんのようだ」
仮にもこの国でトップクラスの騎士団相手にまるで物怖じする気配もなく淡々と尋ねるウィルに対してロイは少し焦る。
「せ、先生流石に騎士様相手にその態度はマズイのでは…」
「なぜだ? 別にオレを捕まえに来たわけではないのであろう。ならわざわざ謙るのは不要のはずだが…」
「いやまあ…それはそうなんですが…」
若干引き気味のロイに対してなんでも無いようにそして無感情に話すウィル。その二人の光景を見てロバートは声を出して笑う。
「アハハッ!! あなたとても面白いですね?」
突然笑い出すロバートに2人は不思議な顔をするが、当のロバート本人は上機嫌に笑いながら謝罪する。
「失礼。貴方のような物怖じしない方は久しぶりだったもので、それに知り合いにも貴女にそっくりな方がいましてね。それがなんだか面白くて笑ってしまいました」
「そうか。それで態度は改めたほうが良いか?」
「先生…」
ロイはウィルの発言に完全に引いているが、マーカスはその発言を否定する。
「いえ、今のままで結構ですよ。そのままの方が私としても話しやすい」
「そうか」
その発言に対して無感情に話すウィルとそれとは反対に上機嫌なマーカス。その2人にヒヤヒヤするロイだったが後ろを見ると他の団員もロイと同じ様に若干焦っているように感じた。
「マーカスさん…そろそろ本題を…」
「おっと、そうでしたね。私がここに来たのは魔族を倒したという貴方がたを…」
「騎士団にすいせn「断る」まだ途中なのですが…」
「どういった理由かはしらんが騎士団には興味はない。それ以外に用がないならならお引き取り願おうか」
「アハハッ!!やっぱりあなたは面白いですね!! でも私も仕事なものでおいそれと帰る訳にはいかないんですよ。」
マーカスはそう言うと少し考え事をするような素振りを見せ…
「ではこうしましょう。私と戦って負けたら私の提案を飲んでいただきたい。もし勝てたらそうですね…」
ロイを指差しマーカスは煽るように提案する。
「そちらのお弟子さんの傷を無償で直して差し上げますよ」
本来であれば負けても騎士団というポストが手に入れれるので特はあっても損はしない提案なのだが…
「断る。オレになんの特もないからな。無意味な戦いはごめんだ」
「おや? 貴方ならOKしてくれると思っていたのですが…あてが外れましたかね…?」
「何の話だ」
「いえコチラの話ですのでお気になさらずに。それにしても困りましたね…」
マーカスは先歩ほどまでとは違いニヤついた顔でロイを見る。
「今回遠征隊の中で治癒魔法を使えるのは私だけなのですが、貴方の態度に少し苛つきを覚えてしまいました。貴族である私にギルドマン風情が楯突くとは…これはお弟子さんに治癒魔法をかける話は白紙にせざるを得ませんね?」
怪訝な顔をするウィルに対し尚も煽りを含んだ発言を続けるマーカス。
「せ、先生…ボクのことは気にしなくて大丈夫ですから。断ってくれても…」
「…はぁ、わかった受けよう」
マーカスはその発言に勝ち誇ったような表情し戦いの条件を提示してくる。
「ではまず戦い方を…」
しかしその発言はウィルによって途中で遮られる。
「そんなものはどうでもいいだろう。本気のオレと戦いたいのであろう?」
「…バレてしまいましたか?」
「色々と御託を並べているがどれもこれもが薄っぺらい、お前からは嘘つきのニオイがする」
「おや、私はちゃんと毎日お風呂に入っているのですがね。そんなにニオイますか?」
戯けるように話すマーカスに対し多少の苛つきを覚えるも、ロイがいるので何とか我慢する。
「…」
「冗談ですよ。ではルール無用というルールで戦いましょうか。ロイさん貴方が審判してくださいますか?」
「え…僕ですか?」
困惑するロイに対してマーカスは
「私の仲間がしたら不正をしたと言われるかもしれませんからね? ここは公平に貴方が勝敗を判断して下さい」
笑顔でそう言うマーカスだったが、ロイから視線をはずすと先程までとは雰囲気が激変する。
「やはり自らを道化だと偽り力を入れ隠していたな?」
「アハハッ!!それこそ勘違いですよ」
「私は貴方に実力を隠す道理がない。なぜなら…私は貴方より強いのですから」
「減らず口だな。さっさとかかってこい」
その言葉を合図にマーカスは剣を構える。そして対するウィルは剣も抜かずにただその光景を見ながら静かに待っていた。
そんな中でロイとウィルは気分転換にと、ギルド所有の訓練場で強化魔法の修行をしていた。
「先生」
「なんだ?」
ロイが修行の最中あることに疑問が浮かびウィルに対してその疑問を尋ねてきた。
「一つ気になったんですけど、身体強化魔法って妨害されると効果が途切れるじゃないですか」
「すべてがそうではないが、確かに魔力や強い衝撃が加えられると無効化される場合があるな」
「ですよね。じゃあなんで強化魔法をまとった状態の剣は魔法を弾いたり、強い衝撃があっても解除されないんですか?」
「相手も魔法で防御とかするだろうし、でも実際に消えるのは攻撃された側の魔法だけですよね」
「何故お互いの魔力同士で相殺されないか。ということか?」
「そんな感じです。そういった魔法とかってあるんですか?」
「そうだな…よしロイ、一度剣に強化魔法をかけてみろ」
ウィルはロイに対して数日で習った強化魔法を発動させるよう促す。それを聞いたロイも大人しくそれに従う形で魔法を行使する。
「こうですか?」
「ああ、そのままの状態で保っていろ」
そう言言いながらウィルはロイが構える剣に触れる。すると今まで纏っていた魔力が揺らぎ始め最終的に魔力を維持することができなくなった。
「これが魔法における妨害の基本。封魔術と呼ばれるものだ」
「封魔術ですか?」
「主に自らの魔力を相手の魔力に流し込んで、相手が使う結界魔術や防護魔法を乱す技法だ。何かしらの要因で川に大量の土砂が流れ込み川の流れ塞き止める様なものだ」
そう言うと一度剣から手を離す。すると今まで保つことの出来なかった魔力がもとに戻る。
「あっ…なおった」
「これはあくまでも技の効果の範疇だが、お前が言っている剣にかかった魔法が途切れないというのはこれとは全く違う原理だな」
「そうなんですか?」
「もしこれが原因ならそもそも防護魔法は意味を成さないだろう。それにお前はまだこの技法を使えないだろうしな」
「えぇ…無意識で使えてたりとかは…」
「それは無い。これは断言できるが戦闘で使えるやつなど恐らくこの国全体で見ても少数だろう。実際オレも実践に使えるレベルとは程遠い」
「出来たとしても相手の魔力にオレの魔力をぶつけて魔力の操作精度を下げるくらいだ」と言うウィルに対してロイの疑問がより深まるり困惑する。
「じゃあ他の原因ってのは?」
「単純に魔力総量と威力の差が関係してると言われている」
「言われている?」
「本職の間でも意見が割れているらしい。簡単に言うと属性魔法が貫通するのと同じ理屈で、結界などの耐久値を超える威力か魔力量があれば魔法は相殺されない」
「相性にもよるだろうがな」
「じゃあめちゃくちゃ多い魔力で強化した攻撃なら一方的に格上の魔法防護を突破できるんですねかね」
「理論上はそういうことだろうな。しかしそういった事は殆ど起こり得ないな」
「それはまたどうしてですか?」
「単純だ。そんな身体強化魔法を使うくらいなら普通に魔法を行使したほうが強い」
ロイは先日の回帰石での電撃魔法を思い出す。
「確かに…人間だったらもっと酷いことになってますもんね」
「魔族を相手にするのであれば話は別だろうが、基本はより洗練された魔法が勝つ世界だ。それに身体強化には耐久値的な限界はあっても、属性魔法には理論上限界はないからな」
「え、強化魔法って限界があるんですか!?」
「ある程度までなら許容できるだろうが属性魔法と違い、実際の物に作用させるにはどうしても限界がうまれる。筋力を強化しすぎて内臓が潰れたなんて笑い話があるくらいだ」
その話を聞いてロイは少し身震いをする。
「ヒェ…そんな危ないんですね強化魔法って…」
「まあ、あくまでも笑い話だ。それに人間の範疇を超えたら何が起こるかなんて誰にも分からないだろう」
「きっと今信仰されている三大神はすごい力を持っていたんでしょうね」
「…それは知らん」
強化魔法の説明を終えロイがいつものようなくだらない話を始めたところで2人に声がかかる。
「お楽しみの所、失礼しますね」
2人は声のする方行へ視点を動かすとそこには…
軽装鎧を着込んだ男性が数人こちらの修行を静観していた。そのうちの一人が笑顔でこちらに話しかけてくる。
「随分と熱心に修業なさっているようでしたので一段落するまでお待ちしておりました。わたくし王国騎士団の当遠征部隊の指揮しております。【ロバート•ロックウッド】と申します」
そう言いながらロバートと名乗る男性は頭を下げる。それに続くように後にいる同じく王国騎士団員であろう2人も頭を下げる。
「そうか。それでなんのようだ」
仮にもこの国でトップクラスの騎士団相手にまるで物怖じする気配もなく淡々と尋ねるウィルに対してロイは少し焦る。
「せ、先生流石に騎士様相手にその態度はマズイのでは…」
「なぜだ? 別にオレを捕まえに来たわけではないのであろう。ならわざわざ謙るのは不要のはずだが…」
「いやまあ…それはそうなんですが…」
若干引き気味のロイに対してなんでも無いようにそして無感情に話すウィル。その二人の光景を見てロバートは声を出して笑う。
「アハハッ!! あなたとても面白いですね?」
突然笑い出すロバートに2人は不思議な顔をするが、当のロバート本人は上機嫌に笑いながら謝罪する。
「失礼。貴方のような物怖じしない方は久しぶりだったもので、それに知り合いにも貴女にそっくりな方がいましてね。それがなんだか面白くて笑ってしまいました」
「そうか。それで態度は改めたほうが良いか?」
「先生…」
ロイはウィルの発言に完全に引いているが、マーカスはその発言を否定する。
「いえ、今のままで結構ですよ。そのままの方が私としても話しやすい」
「そうか」
その発言に対して無感情に話すウィルとそれとは反対に上機嫌なマーカス。その2人にヒヤヒヤするロイだったが後ろを見ると他の団員もロイと同じ様に若干焦っているように感じた。
「マーカスさん…そろそろ本題を…」
「おっと、そうでしたね。私がここに来たのは魔族を倒したという貴方がたを…」
「騎士団にすいせn「断る」まだ途中なのですが…」
「どういった理由かはしらんが騎士団には興味はない。それ以外に用がないならならお引き取り願おうか」
「アハハッ!!やっぱりあなたは面白いですね!! でも私も仕事なものでおいそれと帰る訳にはいかないんですよ。」
マーカスはそう言うと少し考え事をするような素振りを見せ…
「ではこうしましょう。私と戦って負けたら私の提案を飲んでいただきたい。もし勝てたらそうですね…」
ロイを指差しマーカスは煽るように提案する。
「そちらのお弟子さんの傷を無償で直して差し上げますよ」
本来であれば負けても騎士団というポストが手に入れれるので特はあっても損はしない提案なのだが…
「断る。オレになんの特もないからな。無意味な戦いはごめんだ」
「おや? 貴方ならOKしてくれると思っていたのですが…あてが外れましたかね…?」
「何の話だ」
「いえコチラの話ですのでお気になさらずに。それにしても困りましたね…」
マーカスは先歩ほどまでとは違いニヤついた顔でロイを見る。
「今回遠征隊の中で治癒魔法を使えるのは私だけなのですが、貴方の態度に少し苛つきを覚えてしまいました。貴族である私にギルドマン風情が楯突くとは…これはお弟子さんに治癒魔法をかける話は白紙にせざるを得ませんね?」
怪訝な顔をするウィルに対し尚も煽りを含んだ発言を続けるマーカス。
「せ、先生…ボクのことは気にしなくて大丈夫ですから。断ってくれても…」
「…はぁ、わかった受けよう」
マーカスはその発言に勝ち誇ったような表情し戦いの条件を提示してくる。
「ではまず戦い方を…」
しかしその発言はウィルによって途中で遮られる。
「そんなものはどうでもいいだろう。本気のオレと戦いたいのであろう?」
「…バレてしまいましたか?」
「色々と御託を並べているがどれもこれもが薄っぺらい、お前からは嘘つきのニオイがする」
「おや、私はちゃんと毎日お風呂に入っているのですがね。そんなにニオイますか?」
戯けるように話すマーカスに対し多少の苛つきを覚えるも、ロイがいるので何とか我慢する。
「…」
「冗談ですよ。ではルール無用というルールで戦いましょうか。ロイさん貴方が審判してくださいますか?」
「え…僕ですか?」
困惑するロイに対してマーカスは
「私の仲間がしたら不正をしたと言われるかもしれませんからね? ここは公平に貴方が勝敗を判断して下さい」
笑顔でそう言うマーカスだったが、ロイから視線をはずすと先程までとは雰囲気が激変する。
「やはり自らを道化だと偽り力を入れ隠していたな?」
「アハハッ!!それこそ勘違いですよ」
「私は貴方に実力を隠す道理がない。なぜなら…私は貴方より強いのですから」
「減らず口だな。さっさとかかってこい」
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