14 / 74
称賛と褒美
しおりを挟む
あの後気を失ったロイはしばらく眠っていたが、近くで乾いた物がパチパチと弾ける様な音と暖かな光をまぶた越しに感じ目を覚ます。
「ここは…」
霞む目をゴシゴシと拭いながら周囲を見渡すとそこは先程の川辺であることがわかる。
日も落ちだいぶ時間が経っているのかロイの近くにある焚き火周辺を除いて周りは完全な暗闇となっていた。
「先生は…痛っ…!?」
「あばら骨が折れているし、恐らくだが胸骨や足の骨にもヒビが入っているからかなり痛むだろう?」
ロイは声がする方へと顔だけ向けると、焚き火を挟んで反対側にウィルが座って何やら作業をしていた。
「先生…僕はどれくらい眠っていました?」
「恐らく6時間ほどだ。開拓村へ戻る準備は既に済ませているが、お前の怪我もあるからな、今日はここで野宿する」
「…先生、すみません」
ロイは今回の結果に苦悶の表情を浮かべながらウィルへと謝罪するが、当の本人は疑問の表情を浮かべていた。
「…なぜ謝る?」
「だって…あんな大口叩いたのに結局最後は先生に頼ってしまったし…それに先生が来てくれなかったらボクは死んでました」
「そうだな。あの時オレが割って入らなければ、お前は死んでいただろう」
「はい…すみません…」
再度謝罪するロイにウィルは疑問を投げかける。
「だからなぜ謝るのだ。お前は最後までやりきったではないか」
「でも僕が死ぬような状況になったら師弟の関係は終わりだって…」
「…オレはくだらない戦い方をしたら今の関係を終わらせると言ったんだ」
「はい…だから…」
したを向きながらボソボソ喋るロイにウィルはハッキリと告げる。
「お前は最後まで後ろを振り返らず戦い抜き…そして生き延びた」
「もしあの時お前が逃げたり…オレに助けを求めるようなことがあったらオレはお前を見殺しにしただろう」
「だがお前は骨を折られようが、策を砕かれようが決して諦めずあの魔族に挑んだ」
「…見事な戦いぶりであった」
「先生…」
「今日の感覚を忘れるな」
そう言うとウィルは座りながら俯く。どうやら眠りについたようだ。
そんなウィルにロイは…
「先生…ご褒美ってありまs…いってぇ!?」
ロイの顔面になにか布のようなものが高速でぶつかる。
「くだらんことを言わずに早く寝ろ。明日は早朝にここを立って」
ぶっきらぼうに話すウィルに対して、ロイは大声で講義する。
「怪我人になにするんですか!? それに僕は今起きたばっかであんま眠くないですし…!!」
「知らん。休めるときに休むのも修行だ」
「先生…この間に先生が…食べたっていう甘味ボクも食べたいです!!」
「…」
「聞いてます先生?」
「…分かったから早く寝ろ」
「やったぁ…!? いててて…」
褒美を受け取れると分かったロイは喜ぶが傷口の痛みに悶える。そんなロイにウィルはため息を吐きながら、ある一点に指をさしながら話す。
「はぁ…お前の近くにオレのポーチがある。その中に入っている黒い袋の中からクスリを出して飲め…痛みが和らいでよく眠れる」
「黒い袋…うへぇなんかすごい匂いですよこれ…先生が持ってる薬って匂いがきついモノが多いですよね…」
「それを飲んで寝ろ。次起こしたらお前の負傷箇所が増えることになるからな」
「先生、怖すぎでしょ…」
ロイはウィルの発言とくすりの匂いに顔を引きつらせつつも、何とか飲み込む。
ウィルの言った通り、飲むと体の痛みが和らぎ眠気が襲ってきた。
「いやこれ変ですって…つよすg…」( ˘ω˘)スヤァ
ロイの寝息を確認するとウィルは小さなそれでいて穏やかな声で…
「…ほんとに世話が焼ける弟子だ」
その言葉は誰の耳にも入ることはなく、月明かりだけが照らす夜空へと消えていった。
「ここは…」
霞む目をゴシゴシと拭いながら周囲を見渡すとそこは先程の川辺であることがわかる。
日も落ちだいぶ時間が経っているのかロイの近くにある焚き火周辺を除いて周りは完全な暗闇となっていた。
「先生は…痛っ…!?」
「あばら骨が折れているし、恐らくだが胸骨や足の骨にもヒビが入っているからかなり痛むだろう?」
ロイは声がする方へと顔だけ向けると、焚き火を挟んで反対側にウィルが座って何やら作業をしていた。
「先生…僕はどれくらい眠っていました?」
「恐らく6時間ほどだ。開拓村へ戻る準備は既に済ませているが、お前の怪我もあるからな、今日はここで野宿する」
「…先生、すみません」
ロイは今回の結果に苦悶の表情を浮かべながらウィルへと謝罪するが、当の本人は疑問の表情を浮かべていた。
「…なぜ謝る?」
「だって…あんな大口叩いたのに結局最後は先生に頼ってしまったし…それに先生が来てくれなかったらボクは死んでました」
「そうだな。あの時オレが割って入らなければ、お前は死んでいただろう」
「はい…すみません…」
再度謝罪するロイにウィルは疑問を投げかける。
「だからなぜ謝るのだ。お前は最後までやりきったではないか」
「でも僕が死ぬような状況になったら師弟の関係は終わりだって…」
「…オレはくだらない戦い方をしたら今の関係を終わらせると言ったんだ」
「はい…だから…」
したを向きながらボソボソ喋るロイにウィルはハッキリと告げる。
「お前は最後まで後ろを振り返らず戦い抜き…そして生き延びた」
「もしあの時お前が逃げたり…オレに助けを求めるようなことがあったらオレはお前を見殺しにしただろう」
「だがお前は骨を折られようが、策を砕かれようが決して諦めずあの魔族に挑んだ」
「…見事な戦いぶりであった」
「先生…」
「今日の感覚を忘れるな」
そう言うとウィルは座りながら俯く。どうやら眠りについたようだ。
そんなウィルにロイは…
「先生…ご褒美ってありまs…いってぇ!?」
ロイの顔面になにか布のようなものが高速でぶつかる。
「くだらんことを言わずに早く寝ろ。明日は早朝にここを立って」
ぶっきらぼうに話すウィルに対して、ロイは大声で講義する。
「怪我人になにするんですか!? それに僕は今起きたばっかであんま眠くないですし…!!」
「知らん。休めるときに休むのも修行だ」
「先生…この間に先生が…食べたっていう甘味ボクも食べたいです!!」
「…」
「聞いてます先生?」
「…分かったから早く寝ろ」
「やったぁ…!? いててて…」
褒美を受け取れると分かったロイは喜ぶが傷口の痛みに悶える。そんなロイにウィルはため息を吐きながら、ある一点に指をさしながら話す。
「はぁ…お前の近くにオレのポーチがある。その中に入っている黒い袋の中からクスリを出して飲め…痛みが和らいでよく眠れる」
「黒い袋…うへぇなんかすごい匂いですよこれ…先生が持ってる薬って匂いがきついモノが多いですよね…」
「それを飲んで寝ろ。次起こしたらお前の負傷箇所が増えることになるからな」
「先生、怖すぎでしょ…」
ロイはウィルの発言とくすりの匂いに顔を引きつらせつつも、何とか飲み込む。
ウィルの言った通り、飲むと体の痛みが和らぎ眠気が襲ってきた。
「いやこれ変ですって…つよすg…」( ˘ω˘)スヤァ
ロイの寝息を確認するとウィルは小さなそれでいて穏やかな声で…
「…ほんとに世話が焼ける弟子だ」
その言葉は誰の耳にも入ることはなく、月明かりだけが照らす夜空へと消えていった。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔石と神器の物語 ~アイテムショップの美人姉妹は、史上最強の助っ人です!~
エール
ファンタジー
古代遺跡群攻略都市「イフカ」を訪れた新進気鋭の若き冒険者(ハンター)、ライナス。
彼が立ち寄った「魔法堂 白銀の翼」は、一風変わったアイテムを扱う魔道具専門店だった。
経営者は若い美人姉妹。
妹は自ら作成したアイテムを冒険の実践にて試用する、才能溢れる魔道具製作者。
そして姉の正体は、特定冒険者と契約を交わし、召喚獣として戦う闇の狂戦士だった。
最高純度の「超魔石」と「充魔石」を体内に埋め込まれた不死属性の彼女は、呪われし武具を纏い、補充用の魔石を求めて戦場に向かう。いつの日か、「人間」に戻ることを夢見て――。

アレク・プランタン
かえるまる
ファンタジー
長く辛い闘病が終わった
と‥‥転生となった
剣と魔法が織りなす世界へ
チートも特典も何もないまま
ただ前世の記憶だけを頼りに
俺は精一杯やってみる
毎日更新中!

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
強制フラグは、いりません! ~今いる世界が、誰かの二次小説の中だなんて思うかよ! JKと禁断の恋愛するなら、自力でやらせてもらうからっ!~
ハル*
ファンタジー
高校教師の俺。
いつもと同じように過ごしていたはずなのに、ある日を境にちょっとずつ何かが変わっていく。
テスト準備期間のある放課後。行き慣れた部室に向かった俺の目の前に、ぐっすり眠っているマネージャーのあの娘。
そのシチュエーションの最中、頭ん中で変な音と共に、俺の日常を変えていく声が聞こえた。
『強制フラグを、立てますか?』
その言葉自体を知らないわけじゃない。
だがしかし、そのフラグって、何に対してなんだ?
聞いたことがない声。聞こえてくる場所も、ハッキリしない。
混乱する俺に、さっきの声が繰り返された。
しかも、ちょっとだけ違うセリフで。
『強制フラグを立てますよ? いいですね?』
その変化は、目の前の彼女の名前を呼んだ瞬間に訪れた。
「今日って、そんなに疲れるようなことあったか?」
今まで感じたことがない違和感に、さっさと目の前のことを終わらせようとした俺。
結論づけた瞬間、俺の体が勝手に動いた。
『強制フラグを立てました』
その声と、ほぼ同時に。
高校教師の俺が、自分の気持ちに反する行動を勝手に決めつけられながら、
女子高生と禁断の恋愛?
しかも、勝手に決めつけているのが、どこぞの誰かが書いている某アプリの二次小説の作者って……。
いやいや。俺、そんなセリフ言わないし!
甘い言葉だなんて、吐いたことないのに、勝手に言わせないでくれって!
俺のイメージが崩れる一方なんだけど!
……でも、この娘、いい子なんだよな。
っていうか、この娘を嫌うようなやつなんて、いるのか?
「ごめんなさい。……センセイは、先生なのに。好きに…なっちゃ、だめなのに」
このセリフは、彼女の本心か? それともこれも俺と彼女の恋愛フラグが立たせられているせい?
誰かの二次小説の中で振り回される高校教師と女子高生の恋愛物語が、今、はじまる。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる