空蝉

ひさかはる

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 玄関で一度果て、場所を移し、互いに素裸になり、リビングのソファで座して繋がった。

 猥らに男へ打ちつける臀部がカメラのなかで踊っていることも構いはしなかった。男の唇は甘く、自身の欲の処理に向け、直線を描くような繋がりではなく、女の扱いにずいぶんと熟れていた。口づけを交わしながら後頭部を包む広い手のひらや、背に添わせた男の力強さに心までも抱かれている感触があった。

 いくら洗濯しても落ちない作業着に凝る匂いが男自身へ還り、汗の薫りを濃くし、あなたの鼻孔を刺激して、冷房を点けていなければここにもうひとつ深みが加えられた、と想えば仕事と向き合う男の日々を慈しむ心があなたのうちに灯った。

 根を呑み込む性感に、後ろへ反りそうになる背を前に丸め、頬を寄せては男を抱き返し、厚みのある男の胸で自身の乳房を潰すほど互いの肌を密着させた。

 始まりは強姦であった言い訳を棄てた彼女の腰は素直で、安いポルノのような下卑た科白でなじることのない男へ遠慮する本能は何処にもなかった。

 時折り女の陰のなかを称賛する言葉が耳のそばで鳴り、その度に腰は妖しさを増やして淫らになった。

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