ゆっくりと異世界旅

安野穏

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開拓村にて

まあ、いろいろありました

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 私が開拓村に生まれて、すでに5年の月日が流れ、訳あり村の大人たちはいろいろと言いたいことがあったようだけれど、私の現世の両親がとりあえずみんなを押さえてくれて、私のすることは見ないふりをしてくれることになった。

 まあ、村の発展は大人たちにとって都合よく、しかも隠れ里のようになってきたので無問題!

 ふふふ、生まれた頃からあちこちの鑑定をし続けてきた私は1歳になる頃には鑑定上位の看破を会得、そこで村の秘密を知ったのだ。今では看破もさらに上位になり、派生した千里眼と一緒になり天眼となった。



 それで、村の周りを隠ぺいすることに決めたのだ。



 ふ、なんで私がハーフエルフだったか?それは母親がエルフの国の王女で、父親は人間のとある国の王子だったからだ。二人ともレベルが高く、ステータスを隠ぺいしていたし、母親は幻術を使って完璧に人間の女性になっていた。おまけに二人とも国の決めた婚約者があったのに王族としての様々なしがらみに嫌気がさして出奔して冒険者として知り合い、そのまま駆け落ちと称しトンズラしたのである。

 互いの国から最初は連れ戻すために騎士や冒険者などが捕まえに来たらしいが、そのうち、残った兄弟からしてみれば、今さら帰ってきてもらっては困るとばかりに暗殺者が送り込まれることになる。二人の強さは半端じゃなくあっさりと返り討ちして、騎士や冒険者たちには力づくで言い含め帰ってもらい、命を狙ってきた暗殺者たちには何をしたのか知らないが恐怖伝説を植え付け、おまけにその闇組織を潰し、そこにいた暗殺者の卵として育てられていた子供たちを養子と受け入れ、更に両親の強さにほれ込んだ暗殺者たちと共にて移住先としてこの村を切り開いたのである。

 


 ついでに言うと何故か、この村には魔王の娘と勇者の夫婦もいる。先代魔王が勇者に敗れ、敗れた魔王が次代の魔王として娘を旗頭にさせないために秘密裏に勇者に託したとか、それが本当かどうかわからないけれども、魔王が倒れた後勇者も行方不明になったとだけは言っておこう。二人はラブラブのバカップルぶりで、勇者のひとめぼれで魔王の娘は思わず砂糖を吐きたいくらいに溺愛されている。


 後は獣人族とかドワーフ族とか、血の飲めない吸血族とか、もう何が何だかわからないような状態だ。ここの村人たちはうちの両親に救われた人たちばかりらしい。それで、皆で普段なら誰も来ないここ魔の山のふもとを切り開いて開拓村を作ったらしい。ちなみに村長はここに住んでいた古龍のおじいちゃんだ。前世の記憶の中のたった一日で世界中の子供たちにプレゼントを配るあの赤い服を着た白いひげのおじいさんを思いださせるような姿をしている。




 とまあ、この村は立派な隠里になり、何故か世界のどこかに理想郷があるという噂を聞き付けた訳あり人がやってくるようになるが、怪しげな人を村に入れるわけにはいかず、結界の外でこっそりと人となりを見極めた後で結界を通すようにするために結界の外にも噂の元になる小さな開拓村を作った。そこで暮らしてもらい、こっちに入れてもいいかなあと村長を始めうちの両親など主な村の重鎮たちが決めたら受け入れることになったのだ。



 あはは、だってさ、ここには現代日本が存在するんだよ。中世ヨーロッパ並みの発達しかしていないこの世界の人たちにとってはここは神様の世界って話になっているらしい。笑っちゃうよね。



 ええ、自重はしませんでしたよ。それでも一気に文明レベルを上げるわけにはいかないから、今はまだ私の子供頃の昭和30年から40年代の日本に少し現代の日本が混じっている。それはトイレとかお風呂とか、衛生観念だけはしっかりと持ってもらった。この世界の風土病とかわからないし、変な病気があると嫌だし、治療魔法があっても病気には勝てないらしいし、ってことで、エルフの母親から薬草の知識を教えてもらって、エルフの国にも負けないくらい立派な薬草畑を作り、血が嫌いで血が飲めない吸血族さんが薬師様になっている。彼らは長年血の代わりになるものをいろいろと探していて、とある薬草(現代で言う造血剤みたいな?)から無事に主食を作ったらしい。そのとある薬草がこの山のふもとにたくさん群生していたのでこの地を目指してきたらしい。



 ドワーフさんは普通は鍛冶師だとおもうよね。ここのドワーフさんたちは実は鍛冶師をするのが嫌いで、人を殺す武器を作るのが嫌だったらしい。あとドワーフは鍛冶師というのが当たり前なのも嫌だったとか。

 実は彼らは裁縫師を目指していたようだ。そのために立派な布を探し求め、旅をしてきたのだとか。ドワーフは鍛冶をするのが当たり前という常識で毎回嫌な思いをさせられていたところ、うちの両親と出会って、なら素敵な服を作ってほしいと頼まれて喜んでついてきたらしい。なんだそのチョロインと思ったのは内緒だ。

 彼らは器用なので芋虫みたいな魔物と蜘蛛みたいな魔物を飼いならし、そこから糸をとり、私の記憶にあったために作った自動織機でシルクや木綿の布よりも肌触りがいい新しい布を作り出した。




 獣人さんたちは実は魔道具技師だった。獣人さんたちはもともと体格がよく、どちらかというと魔法とか魔法具とかは邪道だと考えている人が多いそうだ。なので、獣人さんの魔導具技師は迫害されrことが多く、たまたまうちの両親が獣人さんの国に寄った時に見た魔導具に惚れて彼らを連れてきたらしい。

 魔道具に詳しい獣人さんたちのお蔭で、電気がないこの世界では電気の代わりに魔獣からとれる魔石を使い、私の現代日本実現化に貢献してくれた。私が生み出したロボットゴーレムもどきは最初は私の魔力で動いていたが、数を増やしていくうちに面倒になった私の代わりにメンテナンスをしてくれるようになり、これも一種の魔導具だからと魔石で動くように改造してくれたのだ。お蔭で、私がむやみやたらに記憶から造り出す物をすべて彼らが魔石で動くように改造してくれた。

 


 そうして、私は今、5歳になった。



  
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