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開拓村にて
自重はしません
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ここは辺境のド田舎の開拓村、ほとんど来る人はいない。というかここに村があると知る人は住んでいる人以外にはいないんじゃないだろうかと密かに思っている。それくらい、ここは見捨てられた土地であり、なおかつ住んでいる住人もみんな訳ありばかり。
家の中も快適になり、村の中の悪臭も無くなり、村の安全も確保できた。
となれば、これで安心して食生活の改善ができる。
ふふふ、やはり食は大事。実りが悪かったら、前世のように土を改良すればいいじゃないとばかりにただ今、大人たちが開墾した畑の土の改良とばかりに近くの山からプチゴーレムたちに腐葉土を集めさせている。とはいえ、畑がうまくいくまでに時間がかかる。それまでは、村の周りの山から恵みを分けてもらうしかない。大人たちは狩りと採取に行き、子供たちはみんなで釣りをしている。
そこで私は養殖を思い出す。子供たちが遊ぶように作られた池。これを利用して計画的に川魚を養殖すれば、魚が定期的に食べられる。確か温泉でフグを育てたり、鮭を育てたりという話を前世でニュースで見た。もともと川魚って養殖されていた記憶がある。養殖されたものは天然の物よりも味が悪いなどと言われているけれども、味の改良はともかくみんながひもじくならずにまずは食べることが大事。
ああでも。ペットボトルが欲しい。あれがあれば、楽に魚を捕れる罠が作れるのに。今にして思えば、ペットボトルとか牛乳パックでいろいろなものに使えたんだよね。この世界にも石油があればいいのにと思いながらも、ペットボトルにまでする工程がわからない。
釣りをしている皆を見ながら、ふと前世を思い出す。子供の頃、田舎の祖父母の家に遊びに行くと一面の田んぼと畑があった。あれだ、今にして思えば娘が大好きだったアニメ映画の「と○りのト○ロ」の世界がそこにあった。季節感は違うけれど、田んぼには黄金に実った稲穂があり、祖父母や両親におじおばたちが稲刈りをし、大きな子供たちは小さな子供の面倒を見ながら、用水路の魚取りを楽しんでいた。
郷愁に駆られているとまた身体から何かが抜け落ちて、気が付くと一面の黄金の田んぼの風景が広がっていた。ああ、これで少しは食生活が楽になるなあともうそれしか頭にはない。
ついでに思い出すのは夏の次期、毎朝、祖母と一緒に畑からキュウリやトマトやナス、トウモロコシなどを取り、キュウリやトマトなどは冷たい井戸水に冷やし、トウモロコシはすぐにゆでて食べさせてくれた。朝取りのキュウリやトマトは冷たい井戸水に冷やされてみずみずしさを失わずにそのままかぶりついた。懐かしいなあと思うとまた、何かが抜け落ちて、黄金の田んぼの向こう側に野菜が実った畑が幾つも見えた。
なんとなくこの現象がわかってきた。自分の魔力と引き換えに何故か前世の物を造り出すことができるっぽい。たぶん、向こうの物を召喚するのでなく、きっと思い出や写真などで見た物、要するに記憶に残っている物を造り出すのだと思う。しかも、ゴーレムロボットのメンテナンス付きなのは、私が楽したいからだ。
人は贅沢な暮らしを覚えてしまったらなかなか生活水準を低くするのが難しい。つまり、私は前世の楽な暮らしを無意識に求めているのだと思う。これは不味いかもしれない。こんな能力が他人に知られたら、絶対にやばいよね。
だがしかし、ここで自重をしてしまえば、またあの臭くて貧しい暮らしに逆戻りだ。到底それは許せない。他人が許しても私が許せない。
ここは辺境の開拓村、住んでいる人たちはみんな訳あり、たまに来るのは道に迷って行商人くらい。それならば、前世で読んだラノベの知識を駆使して、ここに近代国家もどきを作り上げ、結界をもって幻影を見せ、村に住む人以外の人たちにはわからないようにすればいい。そうだ、よく合ったじゃないか、霧で道を迷わせるとか、前世で有名だった富士の樹海みたいに人を迷わせるようなそんな結界をこの村から半径100メートルくらいに作ればいい。そうすれば誰も近寄らないだろうと考える。
魔法はイメージだ。何度もラノベでそう言っていたし、私の魔法は前世の記憶の再現魔法。つまりラノベの記憶も再現できる。
チートだ。チート魔法だ、自重なんかするもんかと私は心に決め、まずは結界を作るべく、村に周囲を見るために透明人間になって空を飛んだ。いやね、子守隊がうるさいから、もしかしてできるかなって思ってやったらできちゃったんだよね。しかも、いつの間にか、自重せずにいろいろな魔法を使っていたら、MPがなんと無限大になっていた。これはどういうわけなのかわからないけれど、魔法を使い放題なんてラッキーくらいにしか思わなかったけどね。
家の中も快適になり、村の中の悪臭も無くなり、村の安全も確保できた。
となれば、これで安心して食生活の改善ができる。
ふふふ、やはり食は大事。実りが悪かったら、前世のように土を改良すればいいじゃないとばかりにただ今、大人たちが開墾した畑の土の改良とばかりに近くの山からプチゴーレムたちに腐葉土を集めさせている。とはいえ、畑がうまくいくまでに時間がかかる。それまでは、村の周りの山から恵みを分けてもらうしかない。大人たちは狩りと採取に行き、子供たちはみんなで釣りをしている。
そこで私は養殖を思い出す。子供たちが遊ぶように作られた池。これを利用して計画的に川魚を養殖すれば、魚が定期的に食べられる。確か温泉でフグを育てたり、鮭を育てたりという話を前世でニュースで見た。もともと川魚って養殖されていた記憶がある。養殖されたものは天然の物よりも味が悪いなどと言われているけれども、味の改良はともかくみんながひもじくならずにまずは食べることが大事。
ああでも。ペットボトルが欲しい。あれがあれば、楽に魚を捕れる罠が作れるのに。今にして思えば、ペットボトルとか牛乳パックでいろいろなものに使えたんだよね。この世界にも石油があればいいのにと思いながらも、ペットボトルにまでする工程がわからない。
釣りをしている皆を見ながら、ふと前世を思い出す。子供の頃、田舎の祖父母の家に遊びに行くと一面の田んぼと畑があった。あれだ、今にして思えば娘が大好きだったアニメ映画の「と○りのト○ロ」の世界がそこにあった。季節感は違うけれど、田んぼには黄金に実った稲穂があり、祖父母や両親におじおばたちが稲刈りをし、大きな子供たちは小さな子供の面倒を見ながら、用水路の魚取りを楽しんでいた。
郷愁に駆られているとまた身体から何かが抜け落ちて、気が付くと一面の黄金の田んぼの風景が広がっていた。ああ、これで少しは食生活が楽になるなあともうそれしか頭にはない。
ついでに思い出すのは夏の次期、毎朝、祖母と一緒に畑からキュウリやトマトやナス、トウモロコシなどを取り、キュウリやトマトなどは冷たい井戸水に冷やし、トウモロコシはすぐにゆでて食べさせてくれた。朝取りのキュウリやトマトは冷たい井戸水に冷やされてみずみずしさを失わずにそのままかぶりついた。懐かしいなあと思うとまた、何かが抜け落ちて、黄金の田んぼの向こう側に野菜が実った畑が幾つも見えた。
なんとなくこの現象がわかってきた。自分の魔力と引き換えに何故か前世の物を造り出すことができるっぽい。たぶん、向こうの物を召喚するのでなく、きっと思い出や写真などで見た物、要するに記憶に残っている物を造り出すのだと思う。しかも、ゴーレムロボットのメンテナンス付きなのは、私が楽したいからだ。
人は贅沢な暮らしを覚えてしまったらなかなか生活水準を低くするのが難しい。つまり、私は前世の楽な暮らしを無意識に求めているのだと思う。これは不味いかもしれない。こんな能力が他人に知られたら、絶対にやばいよね。
だがしかし、ここで自重をしてしまえば、またあの臭くて貧しい暮らしに逆戻りだ。到底それは許せない。他人が許しても私が許せない。
ここは辺境の開拓村、住んでいる人たちはみんな訳あり、たまに来るのは道に迷って行商人くらい。それならば、前世で読んだラノベの知識を駆使して、ここに近代国家もどきを作り上げ、結界をもって幻影を見せ、村に住む人以外の人たちにはわからないようにすればいい。そうだ、よく合ったじゃないか、霧で道を迷わせるとか、前世で有名だった富士の樹海みたいに人を迷わせるようなそんな結界をこの村から半径100メートルくらいに作ればいい。そうすれば誰も近寄らないだろうと考える。
魔法はイメージだ。何度もラノベでそう言っていたし、私の魔法は前世の記憶の再現魔法。つまりラノベの記憶も再現できる。
チートだ。チート魔法だ、自重なんかするもんかと私は心に決め、まずは結界を作るべく、村に周囲を見るために透明人間になって空を飛んだ。いやね、子守隊がうるさいから、もしかしてできるかなって思ってやったらできちゃったんだよね。しかも、いつの間にか、自重せずにいろいろな魔法を使っていたら、MPがなんと無限大になっていた。これはどういうわけなのかわからないけれど、魔法を使い放題なんてラッキーくらいにしか思わなかったけどね。
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