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二章 無意味の象徴
92話 『畏怖』
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──バドルドとナツミが展望台へ向かう十数分前、バドルドは山の中を鼻を鳴らしながら駆け抜けていた
「はっ、やっ──!?」
『アマリシャベラナイホウガイイ。シタヲカムゾ』
孫に注意を促すかのように随所から優しさの滲み出るバドルドの言葉は、風切り音によってほとんどナツミの耳には届いていなかった
「──バドルドさんはっ、あの人がどこにいるかっ、分かるのっ……!?」
バドルドの背に乗って首元の毛に掴まり、なんとか声を出す事のできたナツミは顔を前に向けた
風が強く、引っ張られる髪が羽ばたき音を立てて会話を阻害する
バドルドは少しだけ顔を向けたが何も言わずにただ黙って前だけを見る事に専念し始めた
変化があるのか無いのか分からない木々の間を大人何人かほどある巨躯は白い風となり、木々にざわめきだけを残して行く
答えを返してくれないバドルドに、ナツミはもう言葉すら掛けようとも考えなくなってくる。それが、目に映るまでは──……
「おかっ──!?」
ふと、緑と茶しか無い山の中での配色にそれ以外の違和感があった左へと視線を向けた
瞬間だった。しかし、見間違えるはずもない。何せ、そこに倒れ伏すのは見知った顔。十二年も共に暮らして、その間ほとんどずっと一緒にいた存在なのだから
「とっ、止めてっ! 止まってっ! 戻って!」
しかし白い風は止む事なく進み続け、振り向いた時に見えたのは緑の葉と茶色い木肌だけの変化があるのか無いのか分からない光景のみだった
やっぱり、まだあそこにあったんだ、と口に出しかけたナツミは瞼をしばしば叩きながら唇を引き上げる事に専念する他に思い浮かばなかった
しかし幸か不幸か、自然と力が入る拳に気を取られたバドルドが止まらなければ眼前の右から飛んできた斬撃に首が根こそぎ飛ばされていただろう
その斬撃の発生源を探るため、右に首を──、
人がいた。二人。先程までバドルドが走っていた方向へと進もうとしている男と子供が。その二人を見やり、小さな呻きが漏れる
「わふゅ──っ」
バドルドに似つかわしくないその声に反応を示したのは男の方だった。まず第一に驚きのあまりに足が浮き、第二に目を点に。そして最後の段階になるとただただ感嘆の声を漏らし、バドルドを見詰めて棒立ちしていた
「うわぁ……。──あっ、えっ、何このオオカミ? 犬? いや、もっと大きいし……虎? にしては顔が出過ぎてて……え? これ、逃げないと危険じゃない? 大変じゃない!?」
彼は少女の手を掴んで走ろうとする。しかし、バドルドはその背を見詰めて追いかけようとはしていない。それどころか肩を、全身を上下させてこれまでの落ち着いた行動を裏切るような浅い呼吸を淡々と繰り返していた
「逃げよう……!」
走ろうとはしたが微動だにしない少女をその場から動かす事が出来ず、バランスを崩して背中から落ちる男。そんなコントのワンシーンが繰り広げられているにも関わらず短い間隔で浅く息をするバドルドの頭の上に上がり、ナツミはその光景を見た
「ぁ……、あの人……。知ってる……」
それを耳元で聞いていたバドルドだけが彼女の呟きを拾い上げ、思考を車よりも高速で回転させる
『アノ、オトコ、ヲ……ミタ、ノカ……?』
しかし、閉められた喉奥から絞り出された声は弱々しく、今までの威勢すら掻き消えてしまい彼の巨躯を一変させるほどのものになっていた
「う、うん……。だってあの人、ちょっと前まで一緒にいたから……」
『ナニモ、サレテ、イナイカ……?』
「う、ん。だいじょーぶ」
『コノバカラ、ハヤクハナレタイ。──シッカリトツカマッテイテクレルトアリがタイ』
「わ、かった……」
小さく頷くと、彼女はその頭から這うように背に下りて再び首元の毛を両手で掴んで体を密着させる
瞬間、咆哮が響き渡った
「おっ──?」
「ッ──!!」
大きく口を開け、目の前にいる敵に向けて放たれた咆哮は、しかしながら近場の木々を二、三本へし折ったにも関わらず二人して未だ健在だ
『バケモノメ……!』
「あの人、たしか──」
ナツミが言葉を続けるよりも先に焦りを覚えた低い声が我先にと口から飛び出すと同時に手を叩く乾いた音が辺りに高く響き渡る
「ちょ! ちょっと待った! 攻撃なんてしないからっ! ねっ!? だから助けてほしいなぁ……なんて思ったり!?」
顔の前で叩かれ、あせあせと立てた人さし指を振りつつもう片手で頬を伝う汗を拭う正座する男の目も当てられない哀れな姿に、いつしかバドルドの呼吸も元に戻っていた
だから──、と彼が口にするまでの話のことだ
「──だから、この子だけは見逃しちゃくれませんかね? お願いします。まだ、小さいし、女の子だし……。だから、ボクなら別に喰うなり殺すなり好きにどうぞ。けれど、この子だけは逃がしてください。おねがい」
万夫不当の決意が宿った双眸には己が全ての負の感情を押し込めるほどの強い義侠心が男の媚びへつらう表情に被さる仮面のように貼り付き、土下座と言う全面的な降伏を示す動作へと持ち込ませていた
──しかし、格好いい事を言っているのはここまでだった
「──この場合はお腹を見せた方が良いのかな? いやっ、せめて最後の人間の矜持を──っ!」
「何を言ってるのか分かんないけど、たぶん、最後のって言わない方がカッコよかった」
バドルドの背に乗るナツミにも突っ込まれ、男と共にいる少女ですらこれまでの出来事に無表情を貫いていたにも関わらず少し眉をひそめて不機嫌を表す始末だ
『ワカッタ。……イマスグ、タチサルトイイ』
「ほっ、本当ですか!? いやぁ、良かった良かった! ──って、え? えっ、今、え? う、そ……だろ……? オオカミが、喋った……??」
顔を上げ、代わりに肩を落として片眉を上げると引き攣った笑みが男の口から零れてしまう。そんな男を一瞥し、再びバドルドを睨んでくるのは少女だ
しかし、低く唸り声を上げてみせると男が飛び起きてブンブンと勢い良く首を縦に振り立ち上がる
「い、行こ!? ほ、ほら! ボク達は元々、展望台を目指してたんじゃないか! だからここで立ち止まっていても意味が無いよ! ねっ!? ほら、だから行こ行こ!」
矢継ぎ早に次々と言葉を並べ立てていく男を見上げて、それから両手を前に組み親指を動かしながら冷たい瞳に思わくを宿して小さく頷くと彼の手に引かれてその場から足早に遠ざかって行った
──最後に、盛大に何かを踏んでこけた男が悲痛の叫びを上げてしまうと言うちょっとした事が起こったのだが、彼女はこける事はなかったので一安心だ。──と言う風な顔で唇を尖らせて下手な鼻唄を歌いながら去って行く後ろ姿が、バドルド達はどこか痛々しく感じていた
『──イコウ』
それだけを口にして首元の毛をナツミが掴むのを待つとその場から全力で疾走する。ひたすらに、ただひたすらに。小さな人物を目指して
「はっ、やっ──!?」
『アマリシャベラナイホウガイイ。シタヲカムゾ』
孫に注意を促すかのように随所から優しさの滲み出るバドルドの言葉は、風切り音によってほとんどナツミの耳には届いていなかった
「──バドルドさんはっ、あの人がどこにいるかっ、分かるのっ……!?」
バドルドの背に乗って首元の毛に掴まり、なんとか声を出す事のできたナツミは顔を前に向けた
風が強く、引っ張られる髪が羽ばたき音を立てて会話を阻害する
バドルドは少しだけ顔を向けたが何も言わずにただ黙って前だけを見る事に専念し始めた
変化があるのか無いのか分からない木々の間を大人何人かほどある巨躯は白い風となり、木々にざわめきだけを残して行く
答えを返してくれないバドルドに、ナツミはもう言葉すら掛けようとも考えなくなってくる。それが、目に映るまでは──……
「おかっ──!?」
ふと、緑と茶しか無い山の中での配色にそれ以外の違和感があった左へと視線を向けた
瞬間だった。しかし、見間違えるはずもない。何せ、そこに倒れ伏すのは見知った顔。十二年も共に暮らして、その間ほとんどずっと一緒にいた存在なのだから
「とっ、止めてっ! 止まってっ! 戻って!」
しかし白い風は止む事なく進み続け、振り向いた時に見えたのは緑の葉と茶色い木肌だけの変化があるのか無いのか分からない光景のみだった
やっぱり、まだあそこにあったんだ、と口に出しかけたナツミは瞼をしばしば叩きながら唇を引き上げる事に専念する他に思い浮かばなかった
しかし幸か不幸か、自然と力が入る拳に気を取られたバドルドが止まらなければ眼前の右から飛んできた斬撃に首が根こそぎ飛ばされていただろう
その斬撃の発生源を探るため、右に首を──、
人がいた。二人。先程までバドルドが走っていた方向へと進もうとしている男と子供が。その二人を見やり、小さな呻きが漏れる
「わふゅ──っ」
バドルドに似つかわしくないその声に反応を示したのは男の方だった。まず第一に驚きのあまりに足が浮き、第二に目を点に。そして最後の段階になるとただただ感嘆の声を漏らし、バドルドを見詰めて棒立ちしていた
「うわぁ……。──あっ、えっ、何このオオカミ? 犬? いや、もっと大きいし……虎? にしては顔が出過ぎてて……え? これ、逃げないと危険じゃない? 大変じゃない!?」
彼は少女の手を掴んで走ろうとする。しかし、バドルドはその背を見詰めて追いかけようとはしていない。それどころか肩を、全身を上下させてこれまでの落ち着いた行動を裏切るような浅い呼吸を淡々と繰り返していた
「逃げよう……!」
走ろうとはしたが微動だにしない少女をその場から動かす事が出来ず、バランスを崩して背中から落ちる男。そんなコントのワンシーンが繰り広げられているにも関わらず短い間隔で浅く息をするバドルドの頭の上に上がり、ナツミはその光景を見た
「ぁ……、あの人……。知ってる……」
それを耳元で聞いていたバドルドだけが彼女の呟きを拾い上げ、思考を車よりも高速で回転させる
『アノ、オトコ、ヲ……ミタ、ノカ……?』
しかし、閉められた喉奥から絞り出された声は弱々しく、今までの威勢すら掻き消えてしまい彼の巨躯を一変させるほどのものになっていた
「う、うん……。だってあの人、ちょっと前まで一緒にいたから……」
『ナニモ、サレテ、イナイカ……?』
「う、ん。だいじょーぶ」
『コノバカラ、ハヤクハナレタイ。──シッカリトツカマッテイテクレルトアリがタイ』
「わ、かった……」
小さく頷くと、彼女はその頭から這うように背に下りて再び首元の毛を両手で掴んで体を密着させる
瞬間、咆哮が響き渡った
「おっ──?」
「ッ──!!」
大きく口を開け、目の前にいる敵に向けて放たれた咆哮は、しかしながら近場の木々を二、三本へし折ったにも関わらず二人して未だ健在だ
『バケモノメ……!』
「あの人、たしか──」
ナツミが言葉を続けるよりも先に焦りを覚えた低い声が我先にと口から飛び出すと同時に手を叩く乾いた音が辺りに高く響き渡る
「ちょ! ちょっと待った! 攻撃なんてしないからっ! ねっ!? だから助けてほしいなぁ……なんて思ったり!?」
顔の前で叩かれ、あせあせと立てた人さし指を振りつつもう片手で頬を伝う汗を拭う正座する男の目も当てられない哀れな姿に、いつしかバドルドの呼吸も元に戻っていた
だから──、と彼が口にするまでの話のことだ
「──だから、この子だけは見逃しちゃくれませんかね? お願いします。まだ、小さいし、女の子だし……。だから、ボクなら別に喰うなり殺すなり好きにどうぞ。けれど、この子だけは逃がしてください。おねがい」
万夫不当の決意が宿った双眸には己が全ての負の感情を押し込めるほどの強い義侠心が男の媚びへつらう表情に被さる仮面のように貼り付き、土下座と言う全面的な降伏を示す動作へと持ち込ませていた
──しかし、格好いい事を言っているのはここまでだった
「──この場合はお腹を見せた方が良いのかな? いやっ、せめて最後の人間の矜持を──っ!」
「何を言ってるのか分かんないけど、たぶん、最後のって言わない方がカッコよかった」
バドルドの背に乗るナツミにも突っ込まれ、男と共にいる少女ですらこれまでの出来事に無表情を貫いていたにも関わらず少し眉をひそめて不機嫌を表す始末だ
『ワカッタ。……イマスグ、タチサルトイイ』
「ほっ、本当ですか!? いやぁ、良かった良かった! ──って、え? えっ、今、え? う、そ……だろ……? オオカミが、喋った……??」
顔を上げ、代わりに肩を落として片眉を上げると引き攣った笑みが男の口から零れてしまう。そんな男を一瞥し、再びバドルドを睨んでくるのは少女だ
しかし、低く唸り声を上げてみせると男が飛び起きてブンブンと勢い良く首を縦に振り立ち上がる
「い、行こ!? ほ、ほら! ボク達は元々、展望台を目指してたんじゃないか! だからここで立ち止まっていても意味が無いよ! ねっ!? ほら、だから行こ行こ!」
矢継ぎ早に次々と言葉を並べ立てていく男を見上げて、それから両手を前に組み親指を動かしながら冷たい瞳に思わくを宿して小さく頷くと彼の手に引かれてその場から足早に遠ざかって行った
──最後に、盛大に何かを踏んでこけた男が悲痛の叫びを上げてしまうと言うちょっとした事が起こったのだが、彼女はこける事はなかったので一安心だ。──と言う風な顔で唇を尖らせて下手な鼻唄を歌いながら去って行く後ろ姿が、バドルド達はどこか痛々しく感じていた
『──イコウ』
それだけを口にして首元の毛をナツミが掴むのを待つとその場から全力で疾走する。ひたすらに、ただひたすらに。小さな人物を目指して
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