復讐の慰術師

紅蓮の焔

文字の大きさ
上 下
225 / 315
13章 前哨戦

219話 脱出

しおりを挟む
「あっ! レン「ママ~!」」
ジョンの手を離すと軍人に押さえられているリズに向かって走って行き、飛び付いた
「えへへ~! ママもだいすき~!」
そう言って頬摺りしながら耳元まで口を持っていき小声で話し掛けた
「親子設定だから……」
「レンゼ! 良かった……本当に良かった……!」
「僕の心配はしてくれないのかい?」
苦笑しながら近付いて来るジョンを見て一瞬、石の様に固まった
「パパ~! ママ居たよ~!」
「……あ、貴方~!」
レンゼを抱き抱えたままジョンの胸に蹴りを入れた
「「「えぇ~!?」」」
倒れたジョンの金的を何度も踏み付け、ジョンは白目を向いた
「何レンゼを危険な目に合わせてんのよ! それに髪の毛も濡れて! お風呂に入ってたの!? 危険人物がこの建物に入ったって言うのに! 呑気にレンゼとお風呂に入ってたの!?」
我に返ったジョンは上体を起こして宥め始める
「わっ! ちょ! 周りの人に迷惑掛かるから……!」
「きゃはは! パパおもしろ~い!」
「あ、あはは……結構痛いんだけど……」
「こら! レンゼも何か言う事は無いの?」
ジョンの腹部を踏みながらレンゼの額を指でつついた
「うぅ……ごめんなさい……」
「良いでしょう! ……それで~……部屋はどうなってるの?」
「それが……物凄い散乱としてます……」
目を逸らしてそう言うとジョンは頭を踏まれてトドメを刺された
「軍人さん! 本当に……家の夫と娘が助かりました。ありがとうございます」
レンゼを降ろして深くお辞儀をするとレンゼも真似をしてお辞儀をした
「いえいえ! それより避難所の事なんですが……」
「どうかしたんですか?」
「場所を確保できず……何かお知り合い等は居ますでしょうか? 居なければこちらで保護……と言う形になりますが……」
「それはご心配なく……」
レンゼに聞こえない様に口元に手を当て、小声で軍人に話し掛けた
「私の部下の家に邪魔するので……」
「……そうですか。分かりました。ではこちらで調査が済み次第お荷物をお持ち下さい」
軍人達がそう言って建物内に入って行くとレンゼ達は一時保護と言う名目で事情聴取を受け、建物の外に用意された簡易ベンチでレンゼを間に挟んで並んで座っていた


「さて……どういう事かしら? それにレンゼくんは良いとしてジョンくんは人の家のお風呂、勝手に入って良いなんて教えられてたのかしら?」
「あぁ~……それは……ほら、非常時だったし……外に出ても目立つし?」
「ハァ……分かった。それは良いとして……その服、どこから持ってきたのよ……」
「これ? これは魔術で繊維を並び換えただけ」
「意味分かんない……それにレンゼくん?」
リズは半目でレンゼを見下ろす
「は、はい!?」
にしても無茶しちゃだめでしょ? 今回は運良くジョンくんが居てくれたお陰で助かったんだから……そんな無茶してるから好意より心配の方が勝るのよ……」
「すみません……」
男二人で俯いていると少し遠くから三人の男女が歩いて来た
「大佐~! 生きてますか~!」
ジョンが手を振ると声を掛けた男が笑った


「ナニナニ~? 大佐ったらこんな小さな女の子まで引っ掛けてたの~?」
「違うよリーザ。それにこの子は男だ」
そう言われるとリーザ達はブッ! と息を吹いた
「ギャハハハハ! 何? じゃあ君は女装趣味でも?」
膝を叩きながら爆笑している男の金的を蹴り上げると悶えて暫くの間その辺りを転げ回った
「アレは置いといて話を進めましょ。こっちは進展なし。大佐達の方は?」
「ああ。こちらは上々だ。とある協力者の協力も得られた上に敵の一人を倒したぞ? まあ、この話は後でとして……一先ずはこの子、レンゼくんを故郷へ帰すとしよう」
「え~! 大佐だけ安全圏に避難ですか~?」
「大丈夫大丈夫。君達も連れて行くよ。あそこにとある秘密が隠されているらしくてね」
ジョンが話し終えるとレンゼはハッとした
「ヤバい……」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界でスキルを奪います ~技能奪取は最強のチート~

星天
ファンタジー
 幼馴染を庇って死んでしまった翔。でも、それは神様のミスだった!  創造神という女の子から交渉を受ける。そして、二つの【特殊技能】を貰って、異世界に飛び立つ。  『創り出す力』と『奪う力』を持って、異世界で技能を奪って、どんどん強くなっていく  はたして、翔は異世界でうまくやっていけるのだろうか!!!

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん
ファンタジー
⭐︎書籍化決定⭐︎  『拾ってたものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜』  第2巻:2024年5月20日(月)に各書店に発送されます。  書籍化される[106話]まで引き下げレンタル版と差し替えさせて頂きます。  第1巻:2023年12月〜    改稿を入れて読みやすくなっております。  是非♪ ================== 1人ぼっちだった相沢庵は小さな子狼に気に入られ、共に異世界に送られた。 絶対神リュオンが求めたのは2人で自由に生きる事。 前作でダークエルフの脅威に触れた世界は各地で起こっている不可解な事に憂慮し始めた。 そんな中、異世界にて様々な出会いをし家族を得たイオリはリュオンの願い通り自由に生きていく。 まだ、読んでらっしゃらない方は先に『拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜』をご覧下さい。 前作に続き、のんびりと投稿してまいります。 気長なお付き合いを願います。 よろしくお願いします。 ※念の為R15にしています。 ※誤字脱字が存在する可能性か高いです。  苦笑いで許して下さい。

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

離縁された妻ですが、旦那様は本当の力を知らなかったようですね? 魔道具師として自立を目指します!

椿蛍
ファンタジー
【1章】 転生し、目覚めたら、旦那様から離縁されていた。   ――そんなことってある? 私が転生したのは、落ちこぼれ魔道具師のサーラ。 彼女は結婚式当日、何者かの罠によって、氷の中に閉じ込められてしまった。 時を止めて眠ること十年。 彼女の魂は消滅し、肉体だけが残っていた。 「どうやって生活していくつもりかな?」 「ご心配なく。手に職を持ち、自立します」 「落ちこぼれの君が手に職? 無理だよ、無理! 現実を見つめたほうがいいよ?」 ――後悔するのは、旦那様たちですよ? 【2章】 「もう一度、君を妃に迎えたい」 今まで私が魔道具師として働くのに反対で、散々嫌がらせをしてからの再プロポーズ。 再プロポーズ前にやるのは、信頼関係の再構築、まずは浮気の謝罪からでは……?  ――まさか、うまくいくなんて、思ってませんよね? 【3章】 『サーラちゃん、婚約おめでとう!』 私がリアムの婚約者!? リアムの妃の座を狙う四大公爵家の令嬢が現れ、突然の略奪宣言! ライバル認定された私。 妃候補ふたたび――十年前と同じような状況になったけれど、犯人はもう一度現れるの? リアムを貶めるための公爵の罠が、ヴィフレア王国の危機を招いて―― 【その他】 ※12月25日から3章スタート。初日2話、1日1話更新です。 ※イラストは作成者様より、お借りして使用しております。

婚約破棄されたけど前世が伝説の魔法使いだったので楽勝です

sai
ファンタジー
公爵令嬢であるオレリア・アールグレーンは魔力が多く魔法が得意な者が多い公爵家に産まれたが、魔法が一切使えなかった。 そんな中婚約者である第二王子に婚約破棄をされた衝撃で、前世で公爵家を興した伝説の魔法使いだったということを思い出す。 冤罪で国外追放になったけど、もしかしてこれだけ魔法が使えれば楽勝じゃない?

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?

小平ニコ
ファンタジー
「ディーナ。お前には今日で、俺たちのパーティーを抜けてもらう。異論は受け付けない」  勇者ラジアスはそう言い、私をパーティーから追放した。……異論がないわけではなかったが、もうずっと前に僧侶と戦士がパーティーを離脱し、必死になって彼らの抜けた穴を埋めていた私としては、自分から頭を下げてまでパーティーに残りたいとは思わなかった。  ほとんど喧嘩別れのような形で勇者パーティーを脱退した私は、故郷には帰らず、戦闘もこなせる武闘派聖女としての力を活かし、賞金首狩りをして生活費を稼いでいた。  そんなある日のこと。  何気なく見た新聞の一面に、驚くべき記事が載っていた。 『勇者パーティー、またも敗走! 魔王軍四天王の前に、なすすべなし!』  どうやら、私がいなくなった後の勇者パーティーは、うまく機能していないらしい。最新の回復職である『ヒーラー』を仲間に加えるって言ってたから、心配ないと思ってたのに。  ……あれ、もしかして『ヒーラー』って、完全に回復に特化した職業で、聖女みたいに、防御の結界を張ることはできないのかしら?  私がその可能性に思い至った頃。  勇者ラジアスもまた、自分の判断が間違っていたことに気がついた。  そして勇者ラジアスは、再び私の前に姿を現したのだった……

処理中です...