179 / 315
12章 放浪
174話 アーガイルから西の森で
しおりを挟む
「ヒールゥ…疲れたな…」
「ナ~」
西に歩いて行く事数時間。どこかの森を西に突っ切っていた
「コンパス買ってて良かった~…」
軽いノリで歩いていると既に紅い斜光が辺りに反射して森は翠ではなく朱に染まっている中で風が吹いた
「ふぅ…そろそろ休憩するか…」
額の汗を拭って近くの木に凭れて座ると、鞄から水筒を取り出してゆっくり飲む
ゴクッ…ゴクッ…
「ぷは~!」
水筒の蓋を閉めて鞄の中に入れると一度伸びをして筋肉を軽く解すと立ち上がってコンパスを確認した
「よし。こうやって休憩出来るのもコンパスのお陰だなぁ…」
コンパスの素晴らしさを実感しつつ再び歩き出した
日も暮れて夜になり始めると、途端に寒くなり始めて身震いした
「今日はここで寝よっと…!」
新品の寝袋を鞄から取り出し、一度木に凭れて保存食、缶詰をナイフで切って開ける
因みにアーガイルに行く前に食べていた缶詰の蓋はどうしたかと言うと…石でかち割ってぱくぱくと摘んで食べていた
食事を済ませるとナイフを納めて小道具入れにコンパスを入れ、枕にして眠った
『何やってるの?』
ん? ああ、本読んでる
『ふーん…ね! 遊ぼ~よ~! 良いでしょ~?』
後で
『遊ばないと擽ってやる~!』
分かった分かった! だから落ち着けって!
……
…………
……………………
ニャ!
「いだっ!」
頭を引っ掛かれ、頭を押さえようにも寝袋が邪魔して上手く動けず、芋虫のようにくねくねとしていた
「何!? ヒールゥ俺に恨みでもあるの!?」
最近、強くなってきた引っ掻きに目尻に涙を溜めて落ち着いてから寝袋から出て頭を擦ると手に赤い液体が付いた
「ヒールゥ…やり過ぎだよ…」
「ナ~」
(こいつ…最近俺への扱い雑になってなくない?)
頭の上で丸まっているそれを感じると頭からツーッと左目に垂れてきた
最初は眉毛で防御されたがすぐに突破してレンゼの左目に垂れてきた
「…やっぱりやり過ぎだ…」
血を拭って朝食を取ると大きく伸びをした
「え~と…」
鞄の中からコンパスを取り出して寝袋を入れると肩にかけて西に向かって歩き出した
「何も変わらねぇなあ…どこを見ても木ぃばかりだ…ハァ…」
溜め息を吐いて数時間歩いていると疲れ始め、休憩を取った
(色々名前変えてるけど…あの女が来ないとも限らないし…いや、でも最初の所で髪を赤コートで隠してたから多分…大丈夫…)
結果
ヒュッ!
後ろからナイフが飛んで来てコートを貫通して木に深く突き刺さった
「ん? …まさか…!」
「見付け…たわよ…あち…こち、で…名前を変えて…る様、ね…」
息を切らしながらレンゼを睨み付ける女を見て小さく悲鳴を上げた
「どうしたのかしら? 可愛い声出しちゃって…」
「ははは…」
ナイフを取り出してコートの端を斬って移動を可能にして女に向き直った
「そう言えばあんたの名前…聞いてなかったな…」
「スウゥゥゥウ…ハアァァァア…」
女は深呼吸をしてニコッと微笑んだ
「私はヴァニティー。冥土に持って行くには丁度良い名前でしょう?」
「生憎! 俺は死ぬ気は無い。でもここで逃しても殺られるのがオチだから…ここで殺る!」
ナイフを構えて睨み付けるとヴァニティーはフフッ…と笑った
「それはそれは…こちらとしても随分と容易に終わらせる事が出来そうなので楽しみです」
「こ、このヤロォオオオ~……!」
直に自分が弱いと言われた事に腹を立てて引き攣った笑顔を浮かべた
「おやおや、怒っても良い事はありませんよ?」
「るっせ! 誰のせいだと思ってるんだ!」
更に怒ってナイフを大きく振って威嚇した
「可愛らしい威嚇ですね。まるで幼児の様です」
その瞬間レンゼの顔から感情が消え、次の瞬間には物凄い怒りの形相を浮かべていた
「ブッ殺す!」
「ナ~」
西に歩いて行く事数時間。どこかの森を西に突っ切っていた
「コンパス買ってて良かった~…」
軽いノリで歩いていると既に紅い斜光が辺りに反射して森は翠ではなく朱に染まっている中で風が吹いた
「ふぅ…そろそろ休憩するか…」
額の汗を拭って近くの木に凭れて座ると、鞄から水筒を取り出してゆっくり飲む
ゴクッ…ゴクッ…
「ぷは~!」
水筒の蓋を閉めて鞄の中に入れると一度伸びをして筋肉を軽く解すと立ち上がってコンパスを確認した
「よし。こうやって休憩出来るのもコンパスのお陰だなぁ…」
コンパスの素晴らしさを実感しつつ再び歩き出した
日も暮れて夜になり始めると、途端に寒くなり始めて身震いした
「今日はここで寝よっと…!」
新品の寝袋を鞄から取り出し、一度木に凭れて保存食、缶詰をナイフで切って開ける
因みにアーガイルに行く前に食べていた缶詰の蓋はどうしたかと言うと…石でかち割ってぱくぱくと摘んで食べていた
食事を済ませるとナイフを納めて小道具入れにコンパスを入れ、枕にして眠った
『何やってるの?』
ん? ああ、本読んでる
『ふーん…ね! 遊ぼ~よ~! 良いでしょ~?』
後で
『遊ばないと擽ってやる~!』
分かった分かった! だから落ち着けって!
……
…………
……………………
ニャ!
「いだっ!」
頭を引っ掛かれ、頭を押さえようにも寝袋が邪魔して上手く動けず、芋虫のようにくねくねとしていた
「何!? ヒールゥ俺に恨みでもあるの!?」
最近、強くなってきた引っ掻きに目尻に涙を溜めて落ち着いてから寝袋から出て頭を擦ると手に赤い液体が付いた
「ヒールゥ…やり過ぎだよ…」
「ナ~」
(こいつ…最近俺への扱い雑になってなくない?)
頭の上で丸まっているそれを感じると頭からツーッと左目に垂れてきた
最初は眉毛で防御されたがすぐに突破してレンゼの左目に垂れてきた
「…やっぱりやり過ぎだ…」
血を拭って朝食を取ると大きく伸びをした
「え~と…」
鞄の中からコンパスを取り出して寝袋を入れると肩にかけて西に向かって歩き出した
「何も変わらねぇなあ…どこを見ても木ぃばかりだ…ハァ…」
溜め息を吐いて数時間歩いていると疲れ始め、休憩を取った
(色々名前変えてるけど…あの女が来ないとも限らないし…いや、でも最初の所で髪を赤コートで隠してたから多分…大丈夫…)
結果
ヒュッ!
後ろからナイフが飛んで来てコートを貫通して木に深く突き刺さった
「ん? …まさか…!」
「見付け…たわよ…あち…こち、で…名前を変えて…る様、ね…」
息を切らしながらレンゼを睨み付ける女を見て小さく悲鳴を上げた
「どうしたのかしら? 可愛い声出しちゃって…」
「ははは…」
ナイフを取り出してコートの端を斬って移動を可能にして女に向き直った
「そう言えばあんたの名前…聞いてなかったな…」
「スウゥゥゥウ…ハアァァァア…」
女は深呼吸をしてニコッと微笑んだ
「私はヴァニティー。冥土に持って行くには丁度良い名前でしょう?」
「生憎! 俺は死ぬ気は無い。でもここで逃しても殺られるのがオチだから…ここで殺る!」
ナイフを構えて睨み付けるとヴァニティーはフフッ…と笑った
「それはそれは…こちらとしても随分と容易に終わらせる事が出来そうなので楽しみです」
「こ、このヤロォオオオ~……!」
直に自分が弱いと言われた事に腹を立てて引き攣った笑顔を浮かべた
「おやおや、怒っても良い事はありませんよ?」
「るっせ! 誰のせいだと思ってるんだ!」
更に怒ってナイフを大きく振って威嚇した
「可愛らしい威嚇ですね。まるで幼児の様です」
その瞬間レンゼの顔から感情が消え、次の瞬間には物凄い怒りの形相を浮かべていた
「ブッ殺す!」
0
お気に入りに追加
59
あなたにおすすめの小説
猫と人間の境界線
(笑)
ファンタジー
一度猫の姿に戻ってしまうと、次の午前零時まで人間の姿には戻れないという呪いにかかった楓は、試練を通じて自分を解放するための旅を始める。彼女は毎晩、猫と人間の姿を交互に変わる生活を送りながら、様々な困難に立ち向かい、過去の呪いと向き合うことを決意する。
試練と謎に満ちた家での冒険を通じて、楓は自身の運命を変えるために必要な力と知恵を学び、成長していく。信頼と勇気を試される中で、彼女は新たな未来に向けて歩み出すための鍵を見つけることができるのか?そして、彼女の新たな人生がどのように展開するのかが、物語の中心となっている。
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
司書ですが、何か?
みつまめ つぼみ
ファンタジー
16歳の小さな司書ヴィルマが、王侯貴族が通う王立魔導学院付属図書館で仲間と一緒に仕事を頑張るお話です。
ほのぼの日常系と思わせつつ、ちょこちょこドラマティックなことも起こります。ロマンスはふんわり。
【改稿版】旦那様、どうやら御子がおデキになられたようですのね ~アラフォー妻はヤンデレ夫から逃げられない⁉
Hinaki
ファンタジー
「初めまして、私あなたの旦那様の子供を身籠りました」
華奢で可憐な若い女性が共もつけずに一人で訪れた。
彼女の名はサブリーナ。
エアルドレッド帝国四公の一角でもある由緒正しいプレイステッド公爵夫人ヴィヴィアンは余りの事に瞠目してしまうのと同時に彼女の心の奥底で何時かは……と覚悟をしていたのだ。
そうヴィヴィアンの愛する夫は艶やかな漆黒の髪に皇族だけが持つ緋色の瞳をした帝国内でも上位に入るイケメンである。
然もである。
公爵は28歳で青年と大人の色香を併せ持つ何とも微妙なお年頃。
一方妻のヴィヴィアンは取り立てて美人でもなく寧ろ家庭的でぽっちゃりさんな12歳年上の姉さん女房。
趣味は社交ではなく高位貴族にはあるまじき的なお料理だったりする。
そして十人が十人共に声を大にして言うだろう。
「まだまだ若き公爵に相応しいのは結婚をして早五年ともなるのに子も授からぬ年増な妻よりも、若くて可憐で華奢な、何より公爵の子を身籠っているサブリーナこそが相応しい」と。
ある夜遅くに帰ってきた夫の――――と言うよりも最近の夫婦だからこそわかる彼を纏う空気の変化と首筋にある赤の刻印に気づいた妻は、暫くして決意の上行動を起こすのだった。
拗らせ妻と+ヤンデレストーカー気質の夫とのお話から始まります。
また設定はゆるっとふわふわ、また所々に胸糞な所も御座います。
前作より最寄り読みやすく書いている心算です。
誤字脱字はどうかご容赦くださいませ。
慟哭の時
レクフル
ファンタジー
物心ついた時から、母と二人で旅をしていた。
各地を周り、何処に行くでもなく旅をする。
気づいたらそうだったし、何の疑問も持たなくて、ただ私は母と旅を続けていた。
しかし、母には旅をする理由があった。
そんな日々が続いたある日、母がいなくなった。
私は一人になったのだ。
誰にも触れられず、人と関わる事を避けて生きていた私が急に一人になって、どう生きていけばいいのか……
それから母を探す旅を始める。
誰にも求められず、触れられず、忘れ去られていき、それでも生きていく理由等あるのだろうか……?
私にあるのは異常な力だけ。
普通でいられるのなら、こんな力等無くていいのだ。
だから旅をする。
私を必要としてくれる存在であった母を探すために。
私を愛してくれる人を探すために……
追放聖女。自由気ままに生きていく ~聖魔法?そんなの知らないのです!~
夕姫
ファンタジー
「アリーゼ=ホーリーロック。お前をカトリーナ教会の聖女の任務から破門にする。話しは以上だ。荷物をまとめてここから立ち去れこの「異端の魔女」が!」
カトリーナ教会の聖女として在籍していたアリーゼは聖女の証である「聖痕」と言う身体のどこかに刻まれている痣がなくなり、聖魔法が使えなくなってしまう。
それを同じカトリーナ教会の聖女マルセナにオイゲン大司教に密告されることで、「異端の魔女」扱いを受け教会から破門にされてしまった。そう聖魔法が使えない聖女など「いらん」と。
でもアリーゼはめげなかった。逆にそんな小さな教会の聖女ではなく、逆に世界を旅して世界の聖女になればいいのだと。そして自分を追い出したこと後悔させてやる。聖魔法?そんなの知らないのです!と。
そんなアリーゼは誰よりも「本」で培った知識が豊富だった。自分の意識の中に「世界書庫」と呼ばれる今まで読んだ本の内容を記憶する能力があり、その知識を生かし、時には人類の叡知と呼ばれる崇高な知識、熟練冒険者のようなサバイバル知識、子供が知っているような知識、そして間違った知識など……旅先の人々を助けながら冒険をしていく。そうこれは世界中の人々を助ける存在の『聖女』になるための物語。
※追放物なので多少『ざまぁ』要素はありますが、W主人公なのでタグはありません。
※基本はアリーゼ様のほのぼの旅がメインです。
※追放側のマルセナsideもよろしくです。
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる