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10章 入院生活
128話 安泰
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「ううぅ…グズっ…アリサぁ…」
寝言でそう呟くレンゼを隣からアリサは火照った顔で見詰めていた
(ちょっと気分悪かったから寝てただけなのに…どれだけ心配してるのよ…)
心でそう思っても微笑んでレンゼの頭を優しく撫でた
「大丈夫…私はここに居るから…」
数分後…
(ううぅ…あっ…アリサ!?)
レンゼは首を動かしてアリサの方を見るとニコッと微笑んでくれ、ホッと溜め息を吐いたと同時に紙を提示された
『おはよう…さてさて、エッチなレンゼくんはなんで泣いてるのかなぁ? んん?』
(な、泣いて…無い…です…)
目を逸らして鼻を啜ると再び目の前に紙が提示される
『だったらその目尻から下に落ちてる水は何? 涙じゃ無いの?』
ニヤニヤと笑ってレンゼの方を見るアリサに眉を顰め唇を尖らせる
(す、少し怖い夢を見てたんだよ…! 悪いか!)
レンゼが反論するも、少しもニヤニヤ顔を止めないアリサは再び紙を提示する
『なら寝言で泣きながら私の名前を呼んでたのは何かなぁ?』
ニヤニヤ笑いが止まらないのかずっとレンゼの方をからかう様に見詰めている
(き、気のせいだよきっと…)
耳まで紅潮させ、目を逸らして小さく呟くとアリサはブフッと吹いた
向いている方向から当然、レンゼにも唾は掛かる訳で…
(うわっ! 何か掛かった!)
口元を拭うと紙に謝罪の言葉を書いてレンゼに見せながらレンゼの顔を拭く
『ごめんね。少し可愛かったから』
(俺は可愛くないよ!? 出来れば格好いいの方が良い…よッ!? っっ~! いったぁぁぁ…)
目尻に涙を浮かべるとアリサが微笑むのを見て目を逸らした
(俺ってそんなに女顔なのかぁ…?)
落胆していると目の前に紙が提示された
『大丈夫! 確かに女の子に見えるけど性格と口調からすぐに男の子って分かるよ! スカート穿いても…まあ、うん、分かるんじゃ無いかな』
最後の方が自信なさ気なのを見て目を見開いた
(マジかよ…本当に女顔…)
落ち込むとアリサに頭を撫でられ、レンゼを見詰める双眸が哀れみの目の様に見えて小さく唸った
『ほら! それにロゼとあんたは見分け付きやすいじゃない!』
(例えば…?)
レンゼが聞くとアリサは自信あり気に紙に綴っていく
『嘘を吐くと微妙に左目を細める所! ロゼの場合は右目よ!』
ふんす! と鼻息を荒くして胸を張るアリサに申し訳無い気持ちを抱きながら伝えた
(あの…見た目の話なんだけど…)
その瞬間、アリサは苦笑して再び紙に書き直した
『あんたの髪は金色だけどロゼは茶髪!』
(それだけだとやっぱり女顔って事になるんじゃ…)
レンゼの言葉にその紙をクシャッと丸めてゴミ箱に捨てると再び書き直す
『目の色! レンゼは金色だけどロゼは茶色だもん!』
(やっぱり顔には触れないのな…)
アリサは頭を激しく掻き、再び紙に字を書く
『思い付きません…顔とか凄い似てるしそれ以外だと流石に分かりません…』
必死で考えた挙句がこの回答でレンゼは鼻で笑ってしまった
(まさか女顔だったなんてな…エンヴィーの時も言われたが間違われてたのか…そう言えばここに来る前の森の中で男が俺を襲おうとしてたのは見間違えか…)
色々と思い当たる節があった事に項垂れ、落ち込むと同時に腹が揺れる
(そうそう! お腹空いた!)
アリサの方を見ると溜め息を吐いて部屋を出て行った
【女顔……ハァ…】
溜め息を吐いて窓から外の景色を眺める
【もう夕方…よく堪えれたな…】
自分の我慢強さにグッと拳に力を入れたくなった
数十分後…
(美味しかった~! それに今日はアリサとも一緒に食べれたけど…迷惑…?)
アリサは溜め息を吐いて紙にサラサラと文字を書いてレンゼに見せた
『今更何言ってるのよ。迷惑どころか凄い面倒臭いわよ』
それを見て肩を小さくしてシュンっと落ち込むとアリサは更に書いていく
『それでもあんたの面倒は一応見るわよ。家族…だもん』
それを見ると無性に嬉しくなりニカッと笑った
(ありがとアリサ!)
アリサも軽く笑うとトレイを持って部屋を出て行った
寝言でそう呟くレンゼを隣からアリサは火照った顔で見詰めていた
(ちょっと気分悪かったから寝てただけなのに…どれだけ心配してるのよ…)
心でそう思っても微笑んでレンゼの頭を優しく撫でた
「大丈夫…私はここに居るから…」
数分後…
(ううぅ…あっ…アリサ!?)
レンゼは首を動かしてアリサの方を見るとニコッと微笑んでくれ、ホッと溜め息を吐いたと同時に紙を提示された
『おはよう…さてさて、エッチなレンゼくんはなんで泣いてるのかなぁ? んん?』
(な、泣いて…無い…です…)
目を逸らして鼻を啜ると再び目の前に紙が提示される
『だったらその目尻から下に落ちてる水は何? 涙じゃ無いの?』
ニヤニヤと笑ってレンゼの方を見るアリサに眉を顰め唇を尖らせる
(す、少し怖い夢を見てたんだよ…! 悪いか!)
レンゼが反論するも、少しもニヤニヤ顔を止めないアリサは再び紙を提示する
『なら寝言で泣きながら私の名前を呼んでたのは何かなぁ?』
ニヤニヤ笑いが止まらないのかずっとレンゼの方をからかう様に見詰めている
(き、気のせいだよきっと…)
耳まで紅潮させ、目を逸らして小さく呟くとアリサはブフッと吹いた
向いている方向から当然、レンゼにも唾は掛かる訳で…
(うわっ! 何か掛かった!)
口元を拭うと紙に謝罪の言葉を書いてレンゼに見せながらレンゼの顔を拭く
『ごめんね。少し可愛かったから』
(俺は可愛くないよ!? 出来れば格好いいの方が良い…よッ!? っっ~! いったぁぁぁ…)
目尻に涙を浮かべるとアリサが微笑むのを見て目を逸らした
(俺ってそんなに女顔なのかぁ…?)
落胆していると目の前に紙が提示された
『大丈夫! 確かに女の子に見えるけど性格と口調からすぐに男の子って分かるよ! スカート穿いても…まあ、うん、分かるんじゃ無いかな』
最後の方が自信なさ気なのを見て目を見開いた
(マジかよ…本当に女顔…)
落ち込むとアリサに頭を撫でられ、レンゼを見詰める双眸が哀れみの目の様に見えて小さく唸った
『ほら! それにロゼとあんたは見分け付きやすいじゃない!』
(例えば…?)
レンゼが聞くとアリサは自信あり気に紙に綴っていく
『嘘を吐くと微妙に左目を細める所! ロゼの場合は右目よ!』
ふんす! と鼻息を荒くして胸を張るアリサに申し訳無い気持ちを抱きながら伝えた
(あの…見た目の話なんだけど…)
その瞬間、アリサは苦笑して再び紙に書き直した
『あんたの髪は金色だけどロゼは茶髪!』
(それだけだとやっぱり女顔って事になるんじゃ…)
レンゼの言葉にその紙をクシャッと丸めてゴミ箱に捨てると再び書き直す
『目の色! レンゼは金色だけどロゼは茶色だもん!』
(やっぱり顔には触れないのな…)
アリサは頭を激しく掻き、再び紙に字を書く
『思い付きません…顔とか凄い似てるしそれ以外だと流石に分かりません…』
必死で考えた挙句がこの回答でレンゼは鼻で笑ってしまった
(まさか女顔だったなんてな…エンヴィーの時も言われたが間違われてたのか…そう言えばここに来る前の森の中で男が俺を襲おうとしてたのは見間違えか…)
色々と思い当たる節があった事に項垂れ、落ち込むと同時に腹が揺れる
(そうそう! お腹空いた!)
アリサの方を見ると溜め息を吐いて部屋を出て行った
【女顔……ハァ…】
溜め息を吐いて窓から外の景色を眺める
【もう夕方…よく堪えれたな…】
自分の我慢強さにグッと拳に力を入れたくなった
数十分後…
(美味しかった~! それに今日はアリサとも一緒に食べれたけど…迷惑…?)
アリサは溜め息を吐いて紙にサラサラと文字を書いてレンゼに見せた
『今更何言ってるのよ。迷惑どころか凄い面倒臭いわよ』
それを見て肩を小さくしてシュンっと落ち込むとアリサは更に書いていく
『それでもあんたの面倒は一応見るわよ。家族…だもん』
それを見ると無性に嬉しくなりニカッと笑った
(ありがとアリサ!)
アリサも軽く笑うとトレイを持って部屋を出て行った
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