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第二章
十八話
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夜食の後、二人でゆっくり朝まで休んだ。
リオはともかく、私はさすがに体力が限界だったからだ。
(考えてみれば、昨日は朝も致してなかったっけ? なんか私が予期しないところで、ナターリアの希望通りになっているような……)
今日はギルドで聞いた、例の聖獣を探しに行く予定だ。
今回もまた、リオはついてくるつもりなんだろうか?
「はー? 羽の生えたカバぁ?」
「そうそう、妖精みたいな姿で顔がカバの動物なんだってさ……ちょうどシャームの湖の森側の方で、見かけた人がいるんだとか」
これがギルドの受付嬢が教えてくれた、聖獣の目撃情報だ。
最近入ってきたばかりのレアな情報らしいが、その分期待はできる。
「リオはさすがにもう、一旦王都へ戻ったほうが良いんじゃないの?」
「だから、俺のことは気にすんなって……そんなわけ分からねぇもんを探しに行くソアを、黙ってほっとけるかよ」
「でも……」
気持ちは嬉しい……すごく嬉しいけれど、本当に大丈夫なのかなぁ……。
「お前さ……三年前、時空の狭間に落ちた時だって、あの派手な猿を追っかけて……だったんだろ? もし、今回もカバ追っかけて、またそんなことになったら俺が困るんだよ。仮に、ソアが得体の知れねぇ奈落に落ちんなら俺も一緒に落ちるし、それで死ぬなら当然、俺も一緒に死ぬつもりだから。つーか、死ぬ時は一秒のズレもなく同時に昇天して、同じところに逝きてぇ……」
「ちょっちょっちょっ……」
過去は確かにその通りなんだけど、問題はリオの気持ちよ……改めて聞くと重い……っす。
「勝手にドラゴンのとこへ一人で行こうとするし、昨日だって、お前いなくなって俺、もう無理かと思った。藁にもすがる気持ちで、ガキんちょに助けてもらおうとしたのに、それがお前とか……」
「その件につきましては、本当に申し訳なかったと……でも、それにしても今のリオはちょっと過保護だと思うよ? 私だってヤバそうだったら、ちゃんと逃げるんだからさ。一緒に死ぬとかそんな……ははは」
私は苦笑いしながら、そう言って誤魔化した。
過去に何度も失態をやらかしている自分としては、耳の痛いところではある。
「まぁ死ぬ前に一度、ソアと我を忘れて48時間耐久セックスとかしたかったんだが……もしそれが運命なら、俺は当然その死を受け入れる」
おい……なんか最後にちょっとカッコいい言い方してるが、そんなことになったら、私は確実に死ぬぞ? 色んな意味で。
「つーか、そんなに俺の職場が心配なら、カバの前に一回、騎士団へ行こうぜ? あそこには連絡用のでけぇ魔光石があるはずだから、そこで王都の宰相たちに事情を説明すれば問題ないだろ?」
「あ、それはいいね。そうしよう」
問題ないかは向こうが判断するとして、ちゃんと連絡ができるのがまず安心だ。
(お兄様にもまた会えるかもだしっ!)
◇ ◇ ◇
私たちはまたあの小島にある、白い立派な建物までやってきた。
リオの顔を見るや、慌て出した門番によって、すぐに建物の中へと案内される。
残念なことに兄は今、不在のようだが……。
(すごいな……即、顔パスって)
これがリオに対するこの国の評価か……と、私は感心するばかりだ。
ここで一番偉い騎士団長の部屋へと案内された私たちは、例の巨大な魔光石で王都へと会話できるように繋げてもらった。
「リオ・ダンシェケルト様、わざわざのご連絡ありがとうございます。女神の神託を受けた奥様の手助けをされているということは、すでに王家にも報告済みでして、そちらを最優先事項として、リオ様の処遇も対応させていただいております。どうか、お二人にはこのまま無事に女神の使命を果たしていただきたく……」
これは今回のことについて、王家から公認のお墨付きをいただいているという判断で良いのだろうか?
「つーことはあれか? 女神のことでソアが何かする時は、俺は仕事バックれて、いつでもソアを手伝って良いってことだよな?」
「左様です」
え、今回だけじゃなくていつでも?
本当に?
良いんですか、王家の偉い人……。
「ま、理解した。そんだけ聞けりゃいいわ。じゃな」
「はい、お二人の旅路に幸があらんことを……失礼いたします」
なんかリオの口調が随分と上からだった気がするけど、さっき人とは一体どんな関係性なのか……。
「あいつ上司だけど、兄の義弟」
「え、まさかの親戚さん」
「まぁ、王家も公爵家も侯爵家も基本ナターリアの子孫ばかりだからな……ちなみにこの町の領主は、別の兄の嫁の実家」
わーお!
この国は本当にリオの親戚ばかりなんだね。
「女神の恩恵の重要さ、これで分かっただろ? 俺とお前は常に特別なんだよ」
「うん、よく解ったよ……」
自分に課せられた宿命の重さもね。
リオはともかく、私はさすがに体力が限界だったからだ。
(考えてみれば、昨日は朝も致してなかったっけ? なんか私が予期しないところで、ナターリアの希望通りになっているような……)
今日はギルドで聞いた、例の聖獣を探しに行く予定だ。
今回もまた、リオはついてくるつもりなんだろうか?
「はー? 羽の生えたカバぁ?」
「そうそう、妖精みたいな姿で顔がカバの動物なんだってさ……ちょうどシャームの湖の森側の方で、見かけた人がいるんだとか」
これがギルドの受付嬢が教えてくれた、聖獣の目撃情報だ。
最近入ってきたばかりのレアな情報らしいが、その分期待はできる。
「リオはさすがにもう、一旦王都へ戻ったほうが良いんじゃないの?」
「だから、俺のことは気にすんなって……そんなわけ分からねぇもんを探しに行くソアを、黙ってほっとけるかよ」
「でも……」
気持ちは嬉しい……すごく嬉しいけれど、本当に大丈夫なのかなぁ……。
「お前さ……三年前、時空の狭間に落ちた時だって、あの派手な猿を追っかけて……だったんだろ? もし、今回もカバ追っかけて、またそんなことになったら俺が困るんだよ。仮に、ソアが得体の知れねぇ奈落に落ちんなら俺も一緒に落ちるし、それで死ぬなら当然、俺も一緒に死ぬつもりだから。つーか、死ぬ時は一秒のズレもなく同時に昇天して、同じところに逝きてぇ……」
「ちょっちょっちょっ……」
過去は確かにその通りなんだけど、問題はリオの気持ちよ……改めて聞くと重い……っす。
「勝手にドラゴンのとこへ一人で行こうとするし、昨日だって、お前いなくなって俺、もう無理かと思った。藁にもすがる気持ちで、ガキんちょに助けてもらおうとしたのに、それがお前とか……」
「その件につきましては、本当に申し訳なかったと……でも、それにしても今のリオはちょっと過保護だと思うよ? 私だってヤバそうだったら、ちゃんと逃げるんだからさ。一緒に死ぬとかそんな……ははは」
私は苦笑いしながら、そう言って誤魔化した。
過去に何度も失態をやらかしている自分としては、耳の痛いところではある。
「まぁ死ぬ前に一度、ソアと我を忘れて48時間耐久セックスとかしたかったんだが……もしそれが運命なら、俺は当然その死を受け入れる」
おい……なんか最後にちょっとカッコいい言い方してるが、そんなことになったら、私は確実に死ぬぞ? 色んな意味で。
「つーか、そんなに俺の職場が心配なら、カバの前に一回、騎士団へ行こうぜ? あそこには連絡用のでけぇ魔光石があるはずだから、そこで王都の宰相たちに事情を説明すれば問題ないだろ?」
「あ、それはいいね。そうしよう」
問題ないかは向こうが判断するとして、ちゃんと連絡ができるのがまず安心だ。
(お兄様にもまた会えるかもだしっ!)
◇ ◇ ◇
私たちはまたあの小島にある、白い立派な建物までやってきた。
リオの顔を見るや、慌て出した門番によって、すぐに建物の中へと案内される。
残念なことに兄は今、不在のようだが……。
(すごいな……即、顔パスって)
これがリオに対するこの国の評価か……と、私は感心するばかりだ。
ここで一番偉い騎士団長の部屋へと案内された私たちは、例の巨大な魔光石で王都へと会話できるように繋げてもらった。
「リオ・ダンシェケルト様、わざわざのご連絡ありがとうございます。女神の神託を受けた奥様の手助けをされているということは、すでに王家にも報告済みでして、そちらを最優先事項として、リオ様の処遇も対応させていただいております。どうか、お二人にはこのまま無事に女神の使命を果たしていただきたく……」
これは今回のことについて、王家から公認のお墨付きをいただいているという判断で良いのだろうか?
「つーことはあれか? 女神のことでソアが何かする時は、俺は仕事バックれて、いつでもソアを手伝って良いってことだよな?」
「左様です」
え、今回だけじゃなくていつでも?
本当に?
良いんですか、王家の偉い人……。
「ま、理解した。そんだけ聞けりゃいいわ。じゃな」
「はい、お二人の旅路に幸があらんことを……失礼いたします」
なんかリオの口調が随分と上からだった気がするけど、さっき人とは一体どんな関係性なのか……。
「あいつ上司だけど、兄の義弟」
「え、まさかの親戚さん」
「まぁ、王家も公爵家も侯爵家も基本ナターリアの子孫ばかりだからな……ちなみにこの町の領主は、別の兄の嫁の実家」
わーお!
この国は本当にリオの親戚ばかりなんだね。
「女神の恩恵の重要さ、これで分かっただろ? 俺とお前は常に特別なんだよ」
「うん、よく解ったよ……」
自分に課せられた宿命の重さもね。
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