44 / 46
最終章
四十四話
しおりを挟む
私は疲れたので、少し早いがベッドで寝ることにした。
お父さんとお母さんに分かってもらえて、やっぱり良かったなって思っている。
フカフカの布団の中で、意識がスっと夢の中へと入る。
『ソア……ソアは今どこにおる?』
この声はナターリア?
『時空の歪みに巻き込まれたな? ワシの加護は届かぬようだ。寝ている時しか語りかけられん。お前は今どこにいるのだ?』
日本、日本にいるよ。
ソアの姿のままだけど両親は分かってくれたの。
『そうか。今は地球におるのだな。時空の歪みの場は恐ろしく時間の流れが早い。そこにお主がどのくらいの時間いたのかは分からぬが、こちらの世界ではすでにかなりの時間が経っている』
えっ……そうなの?
だから日本でも二ヶ月のはずが一年経ってた?!
『そうだ。こちらの世界ではお前が居なくなって二年の月日が流れている。やはり、世界の運命は変えられなかったのか……50年前はうまく行ったのだが、お前が消えたことで、子孫の少年は……』
リオ?! リオがどうかしたの?!
『思っていたよりも早く力が暴走してしまった。あの島は今、かなりやばい状況になっているが、特殊なシールドがなされていて、ワシでも全く手が出せん状態だ』
そんな……女神の力でも無理だなんて。
『ソアよ、どうする? 戻るか? もはや、子孫は人の姿をしておらぬかもしれん。なんせ力が強すぎてワシにも見えないのだ。あれは生前のワシの力を超えた。とても悪い方にな』
そんな……リオ……。
戻る……!
戻ります!
ただ、ちょっと待ってください。
最後にお母さんとお父さんに……挨拶したい。
私は慌てて起きた後、まだ居間にいる両親に急いで会いに行った。
「お母さんお父さん……ごめんなさい。私……私は……」
「どうしたんだ、香桜」
「眠れないの?」
いきなり部屋へ飛び込んできた私にびっくりした両親は私の元へ慌てて駆け寄ってくる。
「戻らなくちゃ……だって、リオを……愛してるの」
私はそう言って涙が止まらなくなってしまった。
私が急にいなくなったせいで、リオや島のみんなが大変なことになっているなんて。
そんなことを望んでいたわけじゃない。
「別の世界で幸せを見つけたのね、香桜……良かったわ」
「その指輪をくれた相手だね? リオくんと言うのか。すごく大事にしてもらっているんだね」
そう言って二人はまた抱きしめてくれた。
お父さんお母さんごめんなさい。
せっかく会えたのに……帰ってこれたのに。
「もう会えなくなるのは悲しいけれど、お母さんたちは大丈夫。あなたが生きていてくれただけで、すごく嬉しいのだから。香桜はその人のことを一番に大切にしてあげて」
お母さん、お父さんありがとう。
私は二人と別れを告げた後、今度は靴を持ってまた寝室まで戻ってきた。
リオに買ってもらった服は、二人に私がここに戻ってきたことが夢じゃなかったのだと思ってもらうために、置いていくことにした。
……こんなものしか残せなくて、本当にごめんなさい。
私はタンスの引き出しから私服を出して着替え、靴を履いてから、また寝に入る。
完全には寝れていないけれど、ぽや~っと意識が朦朧としてきたら、またナターリアの声が聞こえた。
ナターリア来たよ! お願い!
『飛ぶ場所はあの島で良いか? ものすごい力で外からは入れぬようになっている。ワシが直接、島の中に送った方が早いだろう。ちょうどお主の指には子孫の能力が入った指輪もあるしの。それと力を合わせれば、おそらく行けるはずだ。ただ、島の中がどうなっているのか、ワシにもまるで見えぬ。くれぐれも気をつけてな』
ナターリアとリオの指輪の力で、再び私はあの世界へ転移した。
お父さんとお母さんに分かってもらえて、やっぱり良かったなって思っている。
フカフカの布団の中で、意識がスっと夢の中へと入る。
『ソア……ソアは今どこにおる?』
この声はナターリア?
『時空の歪みに巻き込まれたな? ワシの加護は届かぬようだ。寝ている時しか語りかけられん。お前は今どこにいるのだ?』
日本、日本にいるよ。
ソアの姿のままだけど両親は分かってくれたの。
『そうか。今は地球におるのだな。時空の歪みの場は恐ろしく時間の流れが早い。そこにお主がどのくらいの時間いたのかは分からぬが、こちらの世界ではすでにかなりの時間が経っている』
えっ……そうなの?
だから日本でも二ヶ月のはずが一年経ってた?!
『そうだ。こちらの世界ではお前が居なくなって二年の月日が流れている。やはり、世界の運命は変えられなかったのか……50年前はうまく行ったのだが、お前が消えたことで、子孫の少年は……』
リオ?! リオがどうかしたの?!
『思っていたよりも早く力が暴走してしまった。あの島は今、かなりやばい状況になっているが、特殊なシールドがなされていて、ワシでも全く手が出せん状態だ』
そんな……女神の力でも無理だなんて。
『ソアよ、どうする? 戻るか? もはや、子孫は人の姿をしておらぬかもしれん。なんせ力が強すぎてワシにも見えないのだ。あれは生前のワシの力を超えた。とても悪い方にな』
そんな……リオ……。
戻る……!
戻ります!
ただ、ちょっと待ってください。
最後にお母さんとお父さんに……挨拶したい。
私は慌てて起きた後、まだ居間にいる両親に急いで会いに行った。
「お母さんお父さん……ごめんなさい。私……私は……」
「どうしたんだ、香桜」
「眠れないの?」
いきなり部屋へ飛び込んできた私にびっくりした両親は私の元へ慌てて駆け寄ってくる。
「戻らなくちゃ……だって、リオを……愛してるの」
私はそう言って涙が止まらなくなってしまった。
私が急にいなくなったせいで、リオや島のみんなが大変なことになっているなんて。
そんなことを望んでいたわけじゃない。
「別の世界で幸せを見つけたのね、香桜……良かったわ」
「その指輪をくれた相手だね? リオくんと言うのか。すごく大事にしてもらっているんだね」
そう言って二人はまた抱きしめてくれた。
お父さんお母さんごめんなさい。
せっかく会えたのに……帰ってこれたのに。
「もう会えなくなるのは悲しいけれど、お母さんたちは大丈夫。あなたが生きていてくれただけで、すごく嬉しいのだから。香桜はその人のことを一番に大切にしてあげて」
お母さん、お父さんありがとう。
私は二人と別れを告げた後、今度は靴を持ってまた寝室まで戻ってきた。
リオに買ってもらった服は、二人に私がここに戻ってきたことが夢じゃなかったのだと思ってもらうために、置いていくことにした。
……こんなものしか残せなくて、本当にごめんなさい。
私はタンスの引き出しから私服を出して着替え、靴を履いてから、また寝に入る。
完全には寝れていないけれど、ぽや~っと意識が朦朧としてきたら、またナターリアの声が聞こえた。
ナターリア来たよ! お願い!
『飛ぶ場所はあの島で良いか? ものすごい力で外からは入れぬようになっている。ワシが直接、島の中に送った方が早いだろう。ちょうどお主の指には子孫の能力が入った指輪もあるしの。それと力を合わせれば、おそらく行けるはずだ。ただ、島の中がどうなっているのか、ワシにもまるで見えぬ。くれぐれも気をつけてな』
ナターリアとリオの指輪の力で、再び私はあの世界へ転移した。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
373
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる