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第二章
十五話
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リオの部屋を訪ねると、驚いたことに彼は勉強をしていた。
学校には行っていないだけで、自分でできることはそれなりにやっていたらしい。
その意外な様子を目の当たりにして、私はドアの前で呆然としていると、リオは内側に向けてちょいちょいと手を振った。
これは近くに来いってことなんだろうか。
「なんで入口に突っ立ってんだよ? 別に邪魔だとは思ってねぇし、こっちに来な」
私は言われた通りにリオのそばに立った。
彼の顔を上から覗くと、長いまつ毛がよく見える。
そして金色に輝く瞳は猫のようでとても綺麗だった。
「リオ、私はいつまでここにいればいいの?」
「俺が良いと思うまで」
それだと当分は出させてもらえなさそうだな。
ならば致し方ない。
「リオ、これ……」
私はキエナからの手紙を見せた。
リオは手紙の内容をひとしきり読んだあと、ハァと深いため息を吐いた。
「お前、どうやってこれを?」
「……私の能力だよ。動物と話せるの。昨日、突然発動した。手紙は小鳥に頼んだわ。あなたの大事にしてる白馬が『アナ』という名前も、アナ自身から教えてもらった。馬に乗れたのもアナのおかげ」
「……それで?」
「私は大丈夫だから、外に出してほしい。この能力のことをもっと色々と調べたいの」
リオはそれを聞くと急に立ち上がり、私の後ろにまわって抱きついてきた。
なるべく怒らせたくないから、もちろん私も拒否ったりはしない。今はな。
私は回してきたリオの手の甲に、自分の手を添えて、腕には頭をのせる。
こんなことをしてると、恋人同士みたいな気分になってくるから不思議だ。
「記憶がないんだろう? 外は危ねぇぞ」
「ソアの記憶わね。でも前世の記憶はあるの」
「前世?」
「18年間、別の人間の女性として生きた記憶。だから一般常識はあるのよ」
リオは私の頬にキスをした。
左手では私の髪の毛を触りながら、突然耳元でフゥと息を吐く。
こしょばゆいことこの上ないのだが。
こいつ、絶対わざとだな。
「18年間の記憶が今のお前か」
「そう」
「18年の間にどんな男と付き合ったんだ?」
え、それ言わなきゃダメ?
前世の男性歴大事?
というかその男性歴がないんだけど……。
「早く言え」
リオの腕にぐっと力が入る。
体が軋んで痛いからやめてほしい。
「昨日がファーストキス! もう、こんなこと言わせんな!」
「……まじ? 嬉しい~……ソアの初めては全てほしいから」
なんか、最後に気持ち悪いこと言ったな、こいつ。
それと質問をするたびに、頬にキスしないでくれな。何度も体がビクついてしまうから。
そこちょっとデリケートなんだよ。
それに今日、なんかスキンシップが多すぎやしないか?
そろそろセクハラで訴えるぞ。
この世界に警察いないけど。くそ。
「ソア、女神の誓いで付いた、俺の背中の文字見てくれねーか?」
「文字? 肩だっけ」
「そう」
私は机に腰かけたリオの横に周り、左の後ろ側のワイシャツをめくって見てみた。
「……?!」
「な? 読めない文字だろう? こんなこと初めてなんだとよ」
「そ、そうね」
(私の本名が英語で書いてある)
誓いの魔法で使われたのは、ソアの名前ではなく、陸見香桜の方だったようだ。
もしかしてこれ、本気で逃げられないパターンな気がするんだけど。
「肩の文字にキスして、ソア」
「なんでよ」
「そしたら、外に出してやる」
ズルい……と思いつつ、私は彼の肩の文字に口を当てた。
その際、ぽわっと唇に何か影響を受けた気がしたが、リオは特に反応していない。
「約束だからな。出ていいぞ。好きな馬を使え。でも、しばらくは心配だから俺もついてていいか?」
「え、それじゃあ意味がな……んっ」
リオは今度は突然、私の唇に一瞬だけどキスをした。
「わかった、これでチャラ。気をつけて行けよ」
最後に私の顔がカァァァと熱くなる。
いきなりセカンドキスを持っていくな!
学校には行っていないだけで、自分でできることはそれなりにやっていたらしい。
その意外な様子を目の当たりにして、私はドアの前で呆然としていると、リオは内側に向けてちょいちょいと手を振った。
これは近くに来いってことなんだろうか。
「なんで入口に突っ立ってんだよ? 別に邪魔だとは思ってねぇし、こっちに来な」
私は言われた通りにリオのそばに立った。
彼の顔を上から覗くと、長いまつ毛がよく見える。
そして金色に輝く瞳は猫のようでとても綺麗だった。
「リオ、私はいつまでここにいればいいの?」
「俺が良いと思うまで」
それだと当分は出させてもらえなさそうだな。
ならば致し方ない。
「リオ、これ……」
私はキエナからの手紙を見せた。
リオは手紙の内容をひとしきり読んだあと、ハァと深いため息を吐いた。
「お前、どうやってこれを?」
「……私の能力だよ。動物と話せるの。昨日、突然発動した。手紙は小鳥に頼んだわ。あなたの大事にしてる白馬が『アナ』という名前も、アナ自身から教えてもらった。馬に乗れたのもアナのおかげ」
「……それで?」
「私は大丈夫だから、外に出してほしい。この能力のことをもっと色々と調べたいの」
リオはそれを聞くと急に立ち上がり、私の後ろにまわって抱きついてきた。
なるべく怒らせたくないから、もちろん私も拒否ったりはしない。今はな。
私は回してきたリオの手の甲に、自分の手を添えて、腕には頭をのせる。
こんなことをしてると、恋人同士みたいな気分になってくるから不思議だ。
「記憶がないんだろう? 外は危ねぇぞ」
「ソアの記憶わね。でも前世の記憶はあるの」
「前世?」
「18年間、別の人間の女性として生きた記憶。だから一般常識はあるのよ」
リオは私の頬にキスをした。
左手では私の髪の毛を触りながら、突然耳元でフゥと息を吐く。
こしょばゆいことこの上ないのだが。
こいつ、絶対わざとだな。
「18年間の記憶が今のお前か」
「そう」
「18年の間にどんな男と付き合ったんだ?」
え、それ言わなきゃダメ?
前世の男性歴大事?
というかその男性歴がないんだけど……。
「早く言え」
リオの腕にぐっと力が入る。
体が軋んで痛いからやめてほしい。
「昨日がファーストキス! もう、こんなこと言わせんな!」
「……まじ? 嬉しい~……ソアの初めては全てほしいから」
なんか、最後に気持ち悪いこと言ったな、こいつ。
それと質問をするたびに、頬にキスしないでくれな。何度も体がビクついてしまうから。
そこちょっとデリケートなんだよ。
それに今日、なんかスキンシップが多すぎやしないか?
そろそろセクハラで訴えるぞ。
この世界に警察いないけど。くそ。
「ソア、女神の誓いで付いた、俺の背中の文字見てくれねーか?」
「文字? 肩だっけ」
「そう」
私は机に腰かけたリオの横に周り、左の後ろ側のワイシャツをめくって見てみた。
「……?!」
「な? 読めない文字だろう? こんなこと初めてなんだとよ」
「そ、そうね」
(私の本名が英語で書いてある)
誓いの魔法で使われたのは、ソアの名前ではなく、陸見香桜の方だったようだ。
もしかしてこれ、本気で逃げられないパターンな気がするんだけど。
「肩の文字にキスして、ソア」
「なんでよ」
「そしたら、外に出してやる」
ズルい……と思いつつ、私は彼の肩の文字に口を当てた。
その際、ぽわっと唇に何か影響を受けた気がしたが、リオは特に反応していない。
「約束だからな。出ていいぞ。好きな馬を使え。でも、しばらくは心配だから俺もついてていいか?」
「え、それじゃあ意味がな……んっ」
リオは今度は突然、私の唇に一瞬だけどキスをした。
「わかった、これでチャラ。気をつけて行けよ」
最後に私の顔がカァァァと熱くなる。
いきなりセカンドキスを持っていくな!
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