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第二章
十四話
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体がポカポカしてきた。
少し、熱が上がってきたかも。
今、私は布団の上で、シンラの腕の中にいる。
体が密着しているから、暖かくて気持ちいい。ちなみに二人とも今はちゃんと服を着ています。
「体が良くなるまで、このまま大人しくしているんだよ? 人間は無理すると、すぐに死んでしまうんだから」
「うん……」
ここには医療機関もなさそうだし、ただの風邪でも怖いもんね。
私は色々なワクチンとかしているけど、それがどこまで通用するかは未知数だし。
「志帆、頼むから本当に無茶しないで……俺の元からいなくならないで……」
……シンラ?
泣いてるの?
神でも涙って出るんだね……ちょっとビックリした。
「シンラごめんね……疲れてるのに」
「……神は疲れないけど、たまに休んでしまいたいと思うことはある」
「それ、疲れてるんだよ……」
「いや、ただ志帆と一緒にいたいだけ……」
可愛いことを言ってくれますね。
最近のシンラは本当に甘々だなぁ……。
「シンラ、寝ないの?」
「志帆が寝たらね」
別に気にしなくても良いんだけどね。
シンラには入口が消えてしまったこととか、色々と聞きたかったのに、余計な心配かけて本当、自分は何をやっているんだろう。
「シンラ、結界とか大丈夫だったの?」
「あ……うん、まぁ……明日話すよ」
「そう……わかった」
?
なんか急に黙って、私の顔を見ているけど、シンラどうしたのかな?
もしかして、ちょっと眠くなってきちゃったのかしら。先に寝ていいのに。
「志帆……やっと、俺に敬語やめてくれたね」
「え……」
ごめんそれ、全く意識していなかった。
敬語は社会人だった時の癖で、つい出てしまうだけなんだけど……。
「嬉しい……」
「はは、そんなことで……」
敬語とか、下の名前は呼び捨てが良いとか、気にするところがちょっと学生の恋愛みたいで、ある意味微笑ましくなってくる。
シンラは二百年も生きている神様なのにね。
「そんなことでも気になるんだよ。たぶん、俺はこの世界と天秤にかけても志帆を取る。志帆の存在全てが愛おしくて、どうしようもないんだ……」
「シンラ……」
私はシンラの頬に両手を添えて、自分からキスをした。
その……なんか急にしたくなってしまったのだ。
でもちょっと、積極的過ぎだったかしら。
シンラが目を開いたまま、顔が固まっている。
ど、どうした……そんなにビックリした?
少し経ってシンラは、はっと我に帰った後、顔が真っ赤になっていって、いきなり目を逸らした。
えぇ……ちょっ、なんでですか。
あなた、もっと私に色々と大胆なことをしているじゃないですか。私からのキスはなんかダメでしたか。
「シ、シンラ? ご、ごめん嫌だった? もう私からはしないようにするから……」
「ち、違っ……嬉しすぎて……」
「ほぇ……」
あ、さいですか。
そうですか……嬉しい……んだ。良かった。
「ずっと俺の独りよがりだと思っていたから……志帆の気持ちを無視して、ただ契約で縛っているだけだと……」
私、シンラに好きって言ってなかったっけ……。
会った瞬間からすでに心を奪われていたこと。
シンラに体を無理矢理繋げられて、一度は恐怖したけど、それでもちゃんとシンラを感じていたこと。
それを今、本人に伝えたら、ぎゅっと抱きしめられた。
私たち先に体を繋げてしまったから、色々と順番が違っていたかもしれない。
確かにちょっと、心が追いついていない部分もあった。シンラとの性行為がこのところ連続だったのは、焦りの裏返しだったんだね。
「……志帆、熱が上がってる」
「そうかも……」
「無理しないで」
「大丈夫……もう少しだけ……」
シンラと長いキスのあと、私は自然と意識を失っていた。
少し、熱が上がってきたかも。
今、私は布団の上で、シンラの腕の中にいる。
体が密着しているから、暖かくて気持ちいい。ちなみに二人とも今はちゃんと服を着ています。
「体が良くなるまで、このまま大人しくしているんだよ? 人間は無理すると、すぐに死んでしまうんだから」
「うん……」
ここには医療機関もなさそうだし、ただの風邪でも怖いもんね。
私は色々なワクチンとかしているけど、それがどこまで通用するかは未知数だし。
「志帆、頼むから本当に無茶しないで……俺の元からいなくならないで……」
……シンラ?
泣いてるの?
神でも涙って出るんだね……ちょっとビックリした。
「シンラごめんね……疲れてるのに」
「……神は疲れないけど、たまに休んでしまいたいと思うことはある」
「それ、疲れてるんだよ……」
「いや、ただ志帆と一緒にいたいだけ……」
可愛いことを言ってくれますね。
最近のシンラは本当に甘々だなぁ……。
「シンラ、寝ないの?」
「志帆が寝たらね」
別に気にしなくても良いんだけどね。
シンラには入口が消えてしまったこととか、色々と聞きたかったのに、余計な心配かけて本当、自分は何をやっているんだろう。
「シンラ、結界とか大丈夫だったの?」
「あ……うん、まぁ……明日話すよ」
「そう……わかった」
?
なんか急に黙って、私の顔を見ているけど、シンラどうしたのかな?
もしかして、ちょっと眠くなってきちゃったのかしら。先に寝ていいのに。
「志帆……やっと、俺に敬語やめてくれたね」
「え……」
ごめんそれ、全く意識していなかった。
敬語は社会人だった時の癖で、つい出てしまうだけなんだけど……。
「嬉しい……」
「はは、そんなことで……」
敬語とか、下の名前は呼び捨てが良いとか、気にするところがちょっと学生の恋愛みたいで、ある意味微笑ましくなってくる。
シンラは二百年も生きている神様なのにね。
「そんなことでも気になるんだよ。たぶん、俺はこの世界と天秤にかけても志帆を取る。志帆の存在全てが愛おしくて、どうしようもないんだ……」
「シンラ……」
私はシンラの頬に両手を添えて、自分からキスをした。
その……なんか急にしたくなってしまったのだ。
でもちょっと、積極的過ぎだったかしら。
シンラが目を開いたまま、顔が固まっている。
ど、どうした……そんなにビックリした?
少し経ってシンラは、はっと我に帰った後、顔が真っ赤になっていって、いきなり目を逸らした。
えぇ……ちょっ、なんでですか。
あなた、もっと私に色々と大胆なことをしているじゃないですか。私からのキスはなんかダメでしたか。
「シ、シンラ? ご、ごめん嫌だった? もう私からはしないようにするから……」
「ち、違っ……嬉しすぎて……」
「ほぇ……」
あ、さいですか。
そうですか……嬉しい……んだ。良かった。
「ずっと俺の独りよがりだと思っていたから……志帆の気持ちを無視して、ただ契約で縛っているだけだと……」
私、シンラに好きって言ってなかったっけ……。
会った瞬間からすでに心を奪われていたこと。
シンラに体を無理矢理繋げられて、一度は恐怖したけど、それでもちゃんとシンラを感じていたこと。
それを今、本人に伝えたら、ぎゅっと抱きしめられた。
私たち先に体を繋げてしまったから、色々と順番が違っていたかもしれない。
確かにちょっと、心が追いついていない部分もあった。シンラとの性行為がこのところ連続だったのは、焦りの裏返しだったんだね。
「……志帆、熱が上がってる」
「そうかも……」
「無理しないで」
「大丈夫……もう少しだけ……」
シンラと長いキスのあと、私は自然と意識を失っていた。
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