国で暗殺されそうなので、公爵やめて辺境で美少女専門テイマーになります

竜頭蛇

文字の大きさ
上 下
20 / 67

混沌の応接間

しおりを挟む

 部屋の至るところにちらほら見える純金製の甕、装飾がやたら精緻で細かいツボ、職人が丹精込めてこさえただろう甲冑。

 成金趣味の塊のような部屋だ。
 そこらの王族でもここまで金を脳裏にちらつかせる部屋は持っていないだろう。

「あなたは何をしようと企んでいるですかぁ!!」

 そんな応接間のテーブルの向かいから、もはや疑問の体もなしていない問を代表は俺にぶつけてくる。
 企画の対価のポイントをもらいに来たんだよ、コノヤロー!!
 と怒鳴り散らしたくなったが、怒鳴ってもなにもいいことはないので、出された紅茶の湖面を見つめて気を落ち着かせる。

「いやいや、企んでいる何もありませんよ。僕たちはただポイントを貰いに来ただけですから」

「陰謀を教えるつもりもなく、更に私たちからポイントまでせしめようというんですか!」

 陰謀……。
 なるほど、食器屋のおっさんが何か代表に吹き込んだようだ。
 それで代表がなぞのハイテンションで俺の要求を突っぱねるわけか。
 やってくれるな。

「誤解ですよ。……食器屋のご主人やってくれますね。お陰でこちらは大変ですよ」

「そ、そんな、脅迫はもっと強いものだったと!? だ、だいひょおおおお!!」

「 我々を脅しポイントを集め、ピュトンの大寒気の前に一体何をしようというのです!」

 なんだこいつら、キ〇ガイの振りをして適当に誤魔化そうとしてないか。
 何かハイテンションすぎて怖いな。
 てか、精霊様たち何やってんだよ、援護してくれよ。

 俺のサイドに座っている他の面子を見る。
 精霊様は紅茶を飲むふりしながらクリムゾンの横顔をちらちら見て、「やべえ、どうやって機嫌なおそう」みたいな顔をし。
 クリムゾンは門の前に居た時と同じ様に、扇で口元を隠してツンとしている。
 仮面Z子は「お紅茶おいしい」みたいな感じで紅茶をがぶ飲み。

 だめだ、全員使えねえ。
 俺で何とかするしかないようだ。
 適当に話し合わせて、こっちもキ〇ガイの振りすればあっちも冷静になるだろう。

「単純なことですよ。大寒気を消すというだけの」

「あ、あなたは六帝龍のうちの一匹、氷絶龍ピュトンを討伐するというのか! そんな事をすれば大寒気のビジネスも展開する我々にも大ダメージが」

 うーん。代表の顔が青くなっていく、行き過ぎだったらしい。
 代表がドン引きしてるな。少し明るい方に話題そらして、方向修正するか。

「我々の幸せのためです。それにあなた方が損をすることなど何も起こりません」

「……しょ、正気じゃない。どうやってそんなことを」

「だ、代表! ですがアダルマンティーに対してこの方が起こした奇跡を見たでしょう」

「……」

 俺が幸せと損をしないというどこぞのセールスマンの常套句を吐くと、代表は微妙だったが食器売りのおっさんの反応は前向きに変わった。
 こちらのフォローをした食器売りのおっさんの言葉に瞑目しながら、何かを自分に信じ込ませるようにうんうんと首を縦に振る。

「……わかりました。アニムゾンさん、あなたの言葉を信じましょう。ですが、約束をたがえれば、我々とて何かしら手を打てせてもらうことはお見知りおきください」

 代表が俺の目をまっすぐ見て、絞り出すような声でそう言うと小切手に筆を走らせる。

「ではまずそちらの要求のポイントの方を。これが我々露天商が出せるポイントの最大値となります」

 こちらに突き出される小切手を見ると、1の後ろに五桁の0が並んでいた。
 10万ポイント獲得だ。
 太腹にもほどがある。俺のキ〇ガイスラングがよほどお気に召したらしい。

「ポイントありがとうございます。我々はやることがあるので。では」

 俺はソファから直立し、態度でここから出ると他の面子に意思表示すると、踵を返して応接間から退出した。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜

EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」 優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。 傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。 そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。 次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。 最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。 しかし、運命がそれを許さない。 一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか? ※他サイトにも掲載中

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生して貴族になったけど、与えられたのは瑕疵物件で有名な領地だった件

桜月雪兎
ファンタジー
神様のドジによって人生を終幕してしまった七瀬結希。 神様からお詫びとしていくつかのスキルを貰い、転生したのはなんと貴族の三男坊ユキルディス・フォン・アルフレッドだった。 しかし、家族とはあまり折り合いが良くなく、成人したらさっさと追い出された。 ユキルディスが唯一信頼している従者アルフォンス・グレイルのみを連れて、追い出された先は国内で有名な瑕疵物件であるユンゲート領だった。 ユキルディスはユキルディス・フォン・ユンゲートとして開拓から始まる物語だ。

貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する

美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」 御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。 ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。 ✳︎不定期更新です。 21/12/17 1巻発売! 22/05/25 2巻発売! コミカライズ決定! 20/11/19 HOTランキング1位 ありがとうございます!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

処理中です...